総合格闘技団体・UFCやプロバスケットボールリーグ・NBA、プロアメリカンフットボールリーグ・NFLが、アメリカ特許商標庁(USPTO)による「模倣品・海賊版対策における今後の戦略」のパブリックコメント募集に対して、連名で、海賊版ライブ配信の課題に対応することを求める声明を発表しました。

Comment from UFC, NBA & NFL

(PDFファイル)https://downloads.regulations.gov/PTO-C-2023-0006-0041/attachment_1.pdf



UFC, NBA & NFL Want to Fight Live Streaming Piracy With 'Instant' DMCA Takedowns * TorrentFreak

https://torrentfreak.com/ufc-nba-nfl-want-to-fight-live-streaming-piracy-with-instant-dmca-takedowns-230828/

Sports leagues ask US for “instantaneous” DMCA takedowns and website blocking | Ars Technica

https://arstechnica.com/tech-policy/2023/08/sports-leagues-ask-us-for-instantaneous-dmca-takedowns-and-website-blocking/

デジタルミレニアム著作権法(DMCA)により、プラットフォームは著作権侵害コンテンツを発見したとき、迅速に削除することが求められています。しかし、UFCやNBA、NFLといったプロスポーツの試合の違法配信は削除が間に合わないケースがあるとのこと。

このため各団体は、ライブコンテンツの場合、侵害コンテンツを「迅速に」削除するという要件は、削除要求に応じてコンテンツを「即時またはほぼ即時に」削除しなければならないことを意味するように変更を求めています。

また、UFCは別途、海賊版サイトのブロックをISPに義務づけるよう求める声明も発表しています。これは、アメリカ国外で運営されている海賊版サイトの多くが削除要求に応じない一方、アメリカには侵害目的のウェブサイトのブロックをISPに求める「サイトブロッキング」の制度がないためで、UFCは「適切な保護手段を備えたサイトブロッキング制度は、UFCを含むすべての著作権者の、著作権侵害への対処能力を大幅に促進するものです」と説明しています。

Comment from UFC (Ultimate Fighting Championship)

(PDFファイル)https://downloads.regulations.gov/PTO-C-2023-0006-0040/attachment_1.pdf



このほか、サッカー・プレミアリーグからは海賊版ライブ配信がネット上にアップされることを防ぐ、自動コンテンツ認識ツールについてコメントが寄せられています。プレミアリーグは、自動コンテンツ認識はすでにYouTubeやFacebookには導入されており、導入されていないプラットフォームにおいては権利所有者が自ら操作可能なライブ削除ツールが必要だと述べています。

Comment from The Football Association Premier League Ltd

(PDFファイル)https://downloads.regulations.gov/PTO-C-2023-0006-0024/attachment_1.pdf



なお、コンピューター通信産業協会(CCIA)はこの動きに対し、「現行の著作権法と商標法において、オンラインサービスプロバイダー側には、侵害を積極的に監視し取り締まる義務はありません。むしろ、これは各サービスの裁量とポリシーの問題として置いておく必要があります。積極的な執行義務を課すのは、効果が薄れ、言論の自由や合法的な取引にマイナスの影響を与えることが避けられず、計り知れない予期せぬ結果を招くことになります。デジタルサービスは、革新の意欲を失い、法律が要求することだけを行うようになり、誰の利益にもなりません」と、既存の仕組みで十分であるという見解を示しています。