日本を守る“最強の盾”となるか? 海自「イージス・システム搭載艦」既存の護衛艦との違いは
艦橋が違法建築っぽい?
1番艦の就役は2027年度を予定
防衛省は2023年7月28日(金)、2023年度版の防衛白書を公表しました。今回の防衛白書では、防衛省が取得を進める新艦種「イージス・システム搭載艦」の新たなイメージ画像が公開されたのがポイントです 。
イージス・システム搭載艦は、配備が中止された陸上配備型イージス・システム「イージス・アショア」の代わりとなるものです。従来のイージス艦は対空レーダーとしてSPY-1を搭載するのに対し、イージス・システム搭載艦は「イージス・アショア」用だった「SPY-7」レーダーを搭載することが特徴です。
また、従来のイージス艦はBMD(弾道ミサイル防衛)だけでなく、警戒監視や海上交通の防衛など、ほかの護衛艦などと同様、様々な任務を担当します。いっぽう「イージス・システム搭載艦」の任務はBMDがメインです。ただ、発表された内容を鑑みると、艦首にソナーを備えるなど、これまでの計画よりも既存のイージス艦に寄ったものに「軌道変更」される模様で、対潜能力や対水上戦闘能力なども付与されます。
従来のイージス艦「あたご」(画像:海上自衛隊)。
防衛省が明らかにしたイージス・システム搭載艦の概要は、基準排水量は1万トン台前半、速力は約30ノット(約55.6km/h)、乗組員は約200人とのこと。なお、荒天時の運用も想定した耐洋性(航洋性)や居住性を向上させた艦として設計するそうです。
主要装備は、弾道ミサイルやHGV(極超音速滑空兵器)への対処能力を持つ「SM-6」対空ミサイルですが、将来的にはアメリカのミサイル防衛庁が開発中の対HGV新型迎撃ミサイルなども運用できるよう拡張性が確保されます。また前述の通り、対潜能力や対水上戦闘能力も付与されるため、国産の「12式地対艦誘導弾能力向上型」の艦対艦ミサイル仕様や機関砲などの近接武器、ソナーなども備える予定です。
防衛省は、2023年度予算にイージス・システム搭載艦の整備費用として2208億円を計上。2024年度から建造に着手し、2027年度に1番艦、2028年度に2番艦が就役する予定です。
イージス・システム搭載艦が2隻そろうと、これらが主に日本近海でBMDを担当することで、既存のイージス艦8隻は南西諸島方面の洋上侵攻阻止に振り向けることが可能になると防衛省は説明しています。