これから住宅を購入する人の多くが「少しでも住宅ローン金利が低いタイミングで購入できれば」と考えているでしょう。2022年頃から、日本以外の先進国では大幅な利上げが行われたことがたびたび報道されてきました。日本の住宅ローン金利は今後はどのように推移していくのでしょうか。住宅価格の動向も気になるところです。

住宅購入者や住宅購入検討者は住宅ローン金利や住宅価格がどうなると予測しているのか、ARUHIマガジンによる『住宅購入に関する調査2023』の結果をもとに紹介します。

約半数が「住宅ローン金利は上がる」と予測

今後の住宅ローン金利の予想

ARUHI『住宅購入に関する調査2023』調査結果より

まずは、住宅購入者と住宅購入検討者に、今後の住宅ローン金利がどのように推移すると思うか聞いたところ、「急激に上昇」が8.5%、「徐々に上昇」が42.0%という結果に。「今とほとんど変わらない」が26.9%、「徐々に低下」が3.2%、「急激に低下」が0.8%でした。

2022年の同調査では、上昇を予測する人が36.6%だったのに対し、2023年は50.5%と半数を超え、昨年以上に金利の上昇を予測している人が多いことが分かりました。

ARUHI『住宅購入に関する調査2023』調査結果より

住宅購入者と住宅購入検討者の回答を比較すると、住宅購入者が思う住宅ローン金利の推移は「急激に上昇」が7.0%、「徐々に上昇」が40.6%、「今とほとんど変わらない」が23.0%、「徐々に低下」が1.1%、「急激に低下」が0.5%でした。

一方、住宅購入検討者は、「急激に上昇」が10.1%、「徐々に上昇」が43.4%、「今とほとんど変わらない」が30.7%、「徐々に低下」が5.3%、「急激に低下」が1.1%で、住宅購入検討者のほうがやや金利上昇を予測する人が多い結果に。また、住宅検討者のほうが「わからない」と回答した人の割合が少なく、金利の動向に注視している人が多い様子がうかがえます。

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どのような理由で、住宅ローン金利の今後を予測したのでしょうか。全回答者に自由回答で聞いた理由を一部紹介します。

金利上昇を予測
低金利政策の影響がまだ当面続くが、海外の利上げがあるのでそれに徐々に引きずられると思う(住宅購入検討者・40代・男性)
固定金利が上昇したのにともない変動金利も緩やかに上昇すると思う(住宅購入検討者・40代・男性)
世界的に金利が上昇しているから(住宅購入者・50代・男性)
金融緩和が縮小されそうだから(住宅購入検討者・40代・男性)
給与が上がれば金利も上がると思うから(住宅購入者・30代・女性)
日銀の政策転換があり今後は上がりそうだから(住宅購入者・30代・女性)

金利低下を予測
政府が住宅ローン金利対策にもっと踏み込むと思うから(住宅購入検討者・50代・女性)
世界情勢が落ち着いてくると思うので(住宅購入検討者・50代・男性)

金利は変わらないと予測
急に変動したら大変だから(住宅購入検討者・40代・女性)
景気はそんなに急に動かない(住宅購入者・40代・女性)
上昇すると困る人が多いので(住宅購入検討者・40代・男性)
日銀の政策はそう簡単には変わらないと考えている(住宅購入検討者・60代・男性)
大規模緩和が維持される(住宅購入検討者・50代・男性)
日本の景気が悪いので、急に上げることはできない(住宅購入者・50代・男性)

金利が「上昇する」と予測した人は、海外の先進国で住宅ローン金利が上昇している状況や物価の上昇や賃上げ、日銀の総裁交代により、金融緩和政策がいつまで継続されるのか不安視する意見が目立ちます。

一方、金利が「下がる」もしくは「変わらない」と予測した人は、コロナ禍の暮らしがやっと落ち着き始めたタイミングの今、金利が急に上昇することはないだろうと予測している人が多いようです。

住宅価格も「上がる」という予測が優勢

今後の住宅価格の予想

ARUHI『住宅購入に関する調査2023』調査結果より

住宅購入者と住宅購入検討者に、今後の住宅価格がどのように推移すると思うか聞いたところ、「急激に上昇」が7.2%、「徐々に上昇」が33.0%、「今とほとんど変わらない」が26.5%、「徐々に低下」が13.2%、「急激に低下」が2.2%という結果に。

2022年の同調査と比較すると、上昇すると考えている人は2022年の36.2%から2023年は40.2%、低下すると考えている人は2022年の15.0%から2023年は15.3%と、住宅価格は上昇すると予測している人が増えていました。

ARUHI『住宅購入に関する調査2023』調査結果より

住宅購入者と住宅購入検討者の回答を比較すると、住宅購入者が思う今後の住宅価格の推移は「急激に上昇」が5.3%、「徐々に上昇」が35.0%、「今とほとんど変わらない」が20.7%、「徐々に低下」が13.3%、「急激に低下」が1.3%でした。

一方、住宅購入検討者は、「急激に上昇」が9.0%、「徐々に上昇」が31.0%、「今とほとんど変わらない」が32.3%、「徐々に低下」が13.0%、「急激に低下」が3.0%という結果に。資材価格の高騰などにより2021年頃から住宅価格が上昇していると言われるなか、これから住宅を購入する人は、今後も上昇すると考えている人と同じくらい、現状維持を予測する人も多いようです。

【世帯年収別】今後の住宅価格の予想

ARUHI『住宅購入に関する調査2023』調査結果より

世帯年収別で見ると、「急激に上昇」「徐々に上昇」と回答した人は、年収400万円未満の世帯が33.9%、400~700万円未満の世帯が42.4%、700~1,000万円の世帯が35.3%、1,000万円以上の世帯が48.6%で、年収1,000万円以上の世帯は半数近くが住宅価格の上昇を予測しています。

どのような理由で、住宅価格の今後を予測したのでしょうか。全回答者に自由回答で聞いた理由を一部紹介します。

住宅価格の上昇を予測
物価が上がってきているので住宅の建築費も上がると思われるから(住宅購入検討者・30代・男性)
新築物件の建築資材が高騰しているから(住宅購入者・60代・女性)
物価が上がっているので(住宅購入者・30代・女性)
原材料の価格上昇と働き手不足により労働賃金が上昇するから(住宅購入者・40代・男性)
物価が上がることで仕入れや人件費といったコストが今以上に膨らむ(住宅購入者・40代・男性)
そのようなニュースを聞いたので(住宅購入者・50代・女性)

住宅価格の低下を予測
一部の魅力的な建物は変わらないと思うが、一般的には人口数が減少しているので、需要と供給が合わなくなってくると思う(住宅購入者・30代・女性)
少子高齢化で需要が減る(住宅購入検討者・50代・男性)
首都機能の郊外移転、人口減少、空き物件の増加などのため(住宅購入者・50代・男性)
供給過剰になる(住宅購入検討者・40代・女性)
空き家がどんどん増えている状況で、住宅価格は下がっていくと思われる(住宅購入者・50代・女性)
金利の上昇により買い控えが起きそう(住宅購入検討者・40代・男性)

住宅価格の上昇を予測している人は、建築資材の高騰を含む物価上昇の影響を考える人が多く、人材不足を指摘する意見もありました。また、そうした報道に触れ、住宅価格の上昇を感じている人も多いようです。

住宅価格の低下を予測している人は、人口の減少や少子高齢化を理由とする回答が多く、空き家の増加などにより住宅価格が下がると予測する声も目立ちました。

まとめ

今回の調査結果は昨年と同様、住宅ローン金利も住宅価格も「上がる」と予想する人が多数派となり、特に住宅ローン金利に関しては、半数を超える人が上昇を予測する結果となりました。日本は今のところ、金融緩和政策を継続していますが、今後は楽観視できないと考える人が多いようです。また、住宅価格に関しても、物価が高騰している今、住宅価格も上がると予測する人が少なくありません。これから住宅購入を考えている人は「もっと早く購入しておけばよかった」と後悔することがないよう、今後の動向をチェックしましょう。

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【調査概要】
調査エリア:全国47都道府県
調査対象者:住宅購入経験者(直近1年以内)・検討者(直近3年以内)の25~69歳の男女
調査期間:2023年3月3日~3月8日
有効回答数:600サンプル
調査手法:クロス・マーケティングモニターへのインターネット定量調査
調査機関:株式会社クロス・マーケティング