波乱含みの中京記念 高配当をもたらす使者はコース巧者と夏場に強い2頭
夏の中京開催が今週で幕を閉じる。フィナーレを飾るのは、サマーマイルシリーズ第2戦となるGIII中京記念(7月23日/中京・芝1600m)だ。
ちなみに、京都競馬場の改修工事によって、中京競馬場で開催されるのは4年ぶりのこと。昨年と一昨年は小倉・芝1800mで、3年前の2020年は阪神・芝1600mを舞台にして施行されてきた。
同レースについて、デイリースポーツの大西修平記者はこう語る。
「過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気が勝ったのは2018年と2021年の2回。トップハンデ(タイも含む)の勝利も2013年と2014年の2回だけと、"荒れる"ハンデ重賞と言えます。
実際、3年前には最低人気(18番人気)のメイケイダイハードが大金星を挙げて、3連単では330万2390円という超高額の配当が飛び出しています。その他の年も、3連単はすべて万馬券。過去10年のうち半分は10万円超えの高配当をつけています。
今年は、4年ぶりに本来の舞台である中京競馬場での開催となりますが、こうした波乱の傾向に変化はないと思います」
そんな波乱含みのレースにあって、どんな馬が狙い目となるのか。大西記者はこんな見解を示す。
「人気や実績にとらわれることなく、コース適性や展開利のある馬に、ハンデに恵まれた馬。そして暑い夏場ゆえ、状態のいい馬を狙っていくのがポイントになるのではないでしょうか」
そうして、大西記者は2頭の穴馬候補をピックアップした。
「まずは、セルバーグ(牡4歳)が気になります。前走のリステッド競走・米子S(6月17日/阪神・芝1600m)では2番人気に推されながら12着と大敗を喫しましたが、直線での不利が痛恨でした。
中京記念での一発が期待されるセルバーグ
もともとスッと反応するというより、じわじわとギアを上げていくタイプ。(米子Sでは)ようやくエンジンがかかりかけたところでブレーキをかける形となって、まったく力を出しきれませんでした。
昇級初戦となった2走前のリステッド競走・六甲S(3月26日/阪神・芝1600m)では、勝ち馬とコンマ4秒差の4着。オープンでもやれる力は示しています。デビュー当初から厩舎の評価が高かった馬で、ここにきて本格化してきた印象があります」
中京のマイル戦では、過去に4戦して1勝、3着2回、着外1回と相性は悪くない。休み明けを叩いての今回は、十分に反撃が見込める。
「久々の前走を叩いて状態も上向き。中京での実績もあり、力の要る馬場でも結果を出しているように、最終週の荒れた馬場もぴったりでしょう。
前走の大敗もあってか、ハンデも55kgに落ち着きました。このメンバーが相手でも一発の魅力は大いにあると見ています」
大西記者が推奨するもう1頭は、およそ5カ月半ぶりの休み明けで挑むベテラン馬だ。
「シュリ(牡7歳)です。同馬の巻き返しにも期待しています。
昨秋のGIII京成杯オータムハンデ(中山・芝1600m)を競走除外となって以降、不振が続いていますが、冬場は硬さが出るタイプ。ここ2戦は、それで本調子ではなかったことも災いした印象があります。
この中間は、じっくりと間隔をとって立て直しに成功。帰厩後も栗東の坂路を主体にして、丹念に乗り込んできました。7月16日の追い切りでも、52秒1−11秒7といった好時計をマークして、シャープな伸び脚を披露。レースに向けての態勢は、万全と言っていいと思います」
昨夏のGIII関屋記念(新潟・芝1600m)でも、12番人気ながら2着と激走。大穴実績があり、今回も人気薄での激走に期待が膨らむ。
「そもそも関屋記念で2着に奮闘したように、夏場に調子を上げてくる馬。中京コースも過去に2勝を挙げています。ハンデ57kgも背負い慣れた斤量で、能力を発揮するうえでの支障はないでしょう。
典型的な逃げ馬がいないなか、アナゴサン(牡5歳)か、この馬が主導権を握りそうなメンバー構成。極端なハイペースにはならないでしょうから、積極策からの押しきりがあっても驚けませんよ」
"荒れる"夏場のハンデ重賞。今年はここに挙げた2頭が高配当の"使者"になるかもしれない。