鍵山優真が完全復活へ「すごく燃えてきています」 新たな4回転や繊細な演技への手応えを語る
大阪で行なわれた全日本強化合宿に参加した鍵山優真
7月8日に公開された、フィギュアスケートの全日本強化合宿。昨年12月の全日本選手権出場以来、左足首のケガの治療に専念して試合には出ていなかった鍵山優真(20歳、オリエンタルバイオ/中京大)は休養している間に見ていた男子シングルの世界の状況に関してこう話す。
「国内だけでも本当にレベルが高いものになっているので、自分のなかでも競技に対する気持ちがまたすごく燃えてきています。世界を見れば、本当にいろんな個性を持っている選手がいて。4回転アクセルだったり、表現がすごい選手がいたりとか。
久しぶりに他の選手たちと一緒になった合宿でモチベーションが上がっていると笑顔を見せる鍵山は、「合宿では新しいジャンプやプログラムの細かいところまで見てもらい、少しずつよくなっていると実感できているし、充実した時間を過ごせています」と語った。
練習では4回転サルコウに何度か臨んで終盤にきれいに1本決めたあと、新ジャンプである4回転フリップにも挑戦。最後には着氷を乱しながらも転倒せず立っていた。
「全日本選手権のあとはいっさい滑っていなくて、滑り始めたのは2月末から。2カ月半ちょっとは休んでいました。そこから最初はスケーティングだけの練習を始め、1週間くらいしてからシングル、ダブルジャンプと少しずつ段階を上げて練習をしていって。
今はもうだいぶ問題もなく不安要素も取り除いてこれているけど、しっかり様子を見ながら焦らずにやっていけたらいいなと思っています」●プログラムは継続「よりよくなっている」
鍵山はプログラムについて、昨季のショートプログラム(SP)『Believer』とフリー『Rain, In Your Black Eyes』の継続を明かした。
「両方とも昨季と同じプログラムだけど、ところどころでちょっと振り付けを変えたり、ブラッシュアップをしてよりよくなっているので、その違いも楽しんでいただければと思っています。
ショートは歌詞を聞くとずっと力強いという感じではないので、脱力感も意識してメリハリをしっかりつけて演じようと思っています。フリーもよりよくするために美しいポーズだったり、音のひとつひとつをしっかりとらえているので、そのあたりは成長している部分だと思います」
そんな思いは、曲かけ練習で演じたSPでも見えていた。最初のサルコウは2回転になったが、そのあとは3回転ルッツ+3回転トーループを跳ぶと、トリプルアクセルを降り、フライングシットスピン、ステップシークエンス、チェンジフットコンビネーションスピンと続けた。
後半の滑りは以前のような力強さや勢いを前面に出すようなものではなく、動き全体にキレがありながらも、緩急がより明確になって軽快さも感じられた。
「ショートは最初から最後まで力強い曲になっているので、自身も最後まで100%でやってしまうと観ている人も息ができない感じになって疲れてしまうと思う。だから強い部分と脱力する部分のメリハリをつけることで、プログラム全体の立体感というのがしっかり活きてくると思うし、飽きずに見ていただける部分になるかなと考えています」
シーズンの目標にするのは、グランプリ(GP)ファイナル進出や世界選手権だが、左足首のケガを再発させないように、焦らずにやっていきたいとも話す。
「GPシリーズの前に何戦か試合があるのでそこでプログラムの手応えをしっかり確認して、GPシリーズあたりからは4回転を何種類か入れてしっかりと以前の状態に近づけていけたらいいかなと思っています」
現状、4回転は左足を強く使うトーループを避けるなど、自分のなかで制限をしている。SPのジャンプは、4回転はサルコウだけで、2本目に3回転ルッツ+3回転トーループを入れ、最後はトリプルアクセルという構成でまずは完成度を意識していきたいという。
また、フリーに関しても最初の試合は4回転をサルコウ1本だけで臨んでプログラム全体の完成度を上げたうえで、GPシリーズからは4回転フリップを入れる構成にしたいと考えているという。
「新しく挑戦している4回転フリップも今日の練習では降りられなかったけど、みんな集まっているなかで気持ちも高まっているし、手応えはしっかり感じています。プログラムを通した時もジャンプ一本一本の手応えというのはしっかり感じているので、あとはしっかり体力をつけて試合に臨んでいければと思います。
ケガ明けで練習に復帰してからは、ジャンプだけではなく細かいステップワークとかスケーティングなどもすごく意識して練習してきたので、前よりもっと繊細になっているのかなと実感もしています。ジャンプは以前のものに徐々に近づいてきていると思うので、あとは安定性をしっかり高め、自信がつくまで練習をしていけたらいいと思います」
着実に復活へ向けての道を歩めればいいと考える鍵山の表情には、余裕もにじんでいた。自分のスケートをしっかり戻せば大丈夫だという自信が、彼の心を支えている。