ラグビーW杯まであと約3か月! 注目度が増す「フランス」の勘違いされている食文化
コロナ禍明けの日本で関心が高まりつつある海外旅行。日本旅行が2023年版海外旅行の人気ランキングを3月に発表していましたが、注目は第7位のフランス。2023年9月には日本も参加するラグビーワールドカップを開催し、これから注目度がどんどん上がりそうです。
同大会は外国から60万人の観戦者を受け入れる見込みで、試合を楽しむだけでなく、フランスの多様で豊かな文化を体験してほしいと考えているそう。では、世界中の人々はフランスの文化ついてどう見ているのでしょうか?
そこで、今回はフランスの食に注目しながら、主に英語圏の情報を調査。いくつか興味深い記事を見つけて、フランス人に確認してみました。すると、結構デタラメなことが判明。英語圏の人たちの思い込みが、ネット空間でフランスの食文化のイメージをある程度形成しているのではないかとさえ思えてきます。英語圏で語られているフランスの食を巡る「おかしな」マナーや文化を3つ取り上げましょう。
1: 路上で食べてはいけない
フランス人といえば路上でバゲットを食べるイメージがありますが、英語圏の情報でまず驚いたのが、「フランスでは路上で食べ物を食べてはいけない」という話。フランスを象徴する食べ物・バゲットだけは例外とも言われています。
しかし、実際にフランス人の男性やママさんに聞いてみたところ、「そんな話は聞いたことがないし、誰もそんなことは考えてないと思う。なんで路上で食べてダメなの?」とのこと。もしそのような条例やルールがあったとしても、フランス人は誰も守らないだろうと言われています。
2: 職場のデスクで食べない
路上での飲食と同じようなバイアスは、ビジネスシーンでも見られます。英語で書かれたこの記事によれば「フランスの職場ではデスクで食事をしてはいけない」とのこと。労働環境を整える観点から、従業員が仕事をする場所(例えば、パソコンデスク)で食事を取ることは法律で禁じられています(新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにこの法律は緩和されたと同記事は述べています)。
今回の調査でその法律を詳しく調べることはできませんでしたが、フランス人に確認してみたところ、実際は少し異なるようです。確かにフランス人はデスク(作業をする場所)で基本的に食べませんが、職場にはキッチンや休憩室のような場所があり、そこで食事を取ることが一般的。経営者側は食事を取る空間や休憩室を社内に設置することを国によって義務化されているのです。そのため、フランス人も職場で昼食を食べるのですね。
さらに、コロナ禍で変化したことは、フランス人の間で「職場にお弁当を持参する」という文化が根付いたこと。これまでのフランスでは「ランチは外食」が主流でしたが、コロナ禍明けの現在では、かなりの数のフランス人がお弁当持参に切り替わって、職場で食べることが主流になりつつあります。
3: お子さまメニューはない
海外のあるツアー会社が英語で書いた記事などによれば、フランスでは、子どもでもこのような自国の食文化を誇りに思っているそう。だから、フランス人は食事において大人と子どもを区別せず、「子どもは親と同じ料理を食べるのが当たり前」という考え方から、レストランなどではお子さまメニューがないと思われています。
しかし、フランス人に確認したところ、これは完全な間違い。どこのレストランでもお子さまメニュー(フランス語で「Menu enfant」)があり、ないところのほうが珍しいぐらいだと言います。一般的なお子さまメニューの内容は飲み物(ジュースやシロップ)、メイン(ハンバーグや魚フライ、フライドチキンなど)、副菜(インゲンソテーやサラダ、フライドポテトなど)とデザート。お店によっては、おまけや風船などのプレゼントがあります。
少し高級なレストランでメニューにお子さま向けの食事が記載されていない場合でも、予約時などに「子どもがいる」と事前に伝えておくと、特別メニューを考案してくれることが多いそうです。また、メニュー考案までいかなくても、その場でお客さんに頼まれれば、大人用メニューの半分の量で子ども向けプレートを作ってくれたり、その日お店にある子どもが好きそうな食べ物を使ってお子さま料理を作ってくれたり、臨機応変に対応してくれるとのこと。実際には、子どもにやさしい人や料理店がたくさんあるようです。
英語圏で誤って伝えられているフランスの食文化にまつわる話を3つ取り上げました。英語を使えば、情報量は増えますが、今回調べた限り、その中には英語圏の人々が持つフランスに対する先入観やバイアスが含まれていることがわかります。英語圏の一部の人たちはフランスの食文化に高尚なイメージを持っているように見えますが、フランス人の実際のライフスタイルとは少し違うようです。