(C)松本零士/零時社・東映アニメーション

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BS12トゥエルビ〈日曜アニメ劇場〉の6月放送回は、2023年2月13日に逝去した漫画家・松本零士を偲び、ロマンとファンタジーに溢れる ”松本ワールド” 関連作をラインナップ。
6月4日(日)は『銀河鉄道999 エターナル・ファンタジー』『銀河鉄道999 永遠の旅人エメラルダス』の2作品が放送される。

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1998年公開の『銀河鉄道999 エターナル・ファンタジー』は、1981年『さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅』から17年ぶりに製作された『999』劇場アニメの第3作。1996年から『ビッグゴールド』(小学館)で連載されていた原作「エターナル編」のアニメ化で、原作どおりの容姿をした鉄郎が主人公を務める初の劇場作品でもある。

物語では、原作の「アンドロメダ編」(1977〜1981年「週刊少年キング」連載)、およびそれをベースとしたTVシリーズ(1978〜1981年放送)のラストから1年後の世界が描かれる。
機械帝国崩壊後は新政府が発足し、表面上は平和に繁栄しているように見える地球だったが、人々は新たな支配者に虐げられて凍てついた地下世界へと追いやられ、星野鉄郎は危険分子として幽閉されていた。

処刑執行寸前の鉄郎を救ったのは、懐かしいメーテルと999号。地球を脱出した鉄郎にメーテルは、宇宙の総ての光を覆い隠し支配しようとしている ”闇” と戦うために鉄郎を探していた、と告げる。
こうして鉄郎はメーテル、車掌、不思議な力で復活したガラスのクレア、グレードアップした999号の電子妖精カノンと共に、再び遥かなる宇宙へと旅立つことになる。その行く手には、金属生命体メタノイド戦士や ”地獄の聖母騎士” ヘルマザリアが立ちはだかるーー。

監督は、後にアニメ『ONE PIECE』で初代シリーズディレクターを務める名匠・宇田鋼之介。999号や宇宙空間の描写には当時の最新CGが導入され、効果的に原作のテイストを落とし込んだキャクター作画も、現在の目で見ても線の濃厚さや豊かな表情芝居など見どころも多く、非常に魅力的だ。

(C)松本零士/零時社・東映アニメーション

併せて放送される『永遠の旅人エメラルダス』は、TVシリーズ第22話「海賊船クイーン・エメラルダス」(1979年放送)を再構成して1980年に放送されたTVスペシャル。メーテルと並ぶ人気を誇る松本ヒロインであるクイーン・エメラルダスがゲスト登場する人気エピソードだ。
海賊船クイーン・エメラルダスに急襲された999号は、強制的に海賊惑星へと停車させられてしまう。そこでエメラルダスはメーテルに決闘を挑み、負けたメーテルは体を奪われそうになるが……。

終盤で描かれるエメラルダスの気高さやメーテルとの絆、エメラルダスとの関係を通して謎めいたメーテルの素顔や過去が垣間見えるところは本作の大きなポイントだ。
さらに松本メカファンに注目してもらいたいのは、このエピソードだけに登場する999号の特別車両「装甲車」だ。それ自体が意志を持つ戦闘機械で、上下左右にブラックホール砲各3門ずつを配備、クイーン・エメラルダス号との激突シーンはまさに『999』ファン必見の名場面と言える。

そして、この2作を観ることで改めて気付かされるのは、ベテラン声優の「さすが」としか言いようのない存在感だ。鉄郎役の野沢雅子、メーテル役の池田昌子、車掌役の肝付兼太という主演の3人は両作品に出演しているが、まるでキャラクターと完全に一体化したかのように、17年のブランクをまったく感じさせない確かな声と演技を披露している。
時の流れを超えた永遠の主人公たちを見事に表現して松本零士作品の世界を支えた3人の声の力を、ぜひ今回の2作連続放送で確認してほしい。

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