学校でのタブレット学習はメリットだけじゃない? できることとデメリットを解説
IT教育の必要性が高まるなか、タブレットを用いたタブレット学習が広がっています。最近では幼児教育にタブレットを用いている幼稚園や保育園も見られます。今回はタブレット学習の概要を解説するとともに、タブレット学習を行うメリットやデメリットについても紹介します。
タブレット学習とは
タブレット学習とは「iPad」や「Androidタブレット」、「Windowsタブレット」などのタブレット端末で、アプリケーションを使って行う学習のことを指します。
タブレット学習の特徴は、タブレット端末とアプリがあれば自立した学習が可能になる点で、極論を言えば教師や親、さらには授業時間のスケジューリングなども不要になります。
ゲーム感覚で勉強することができ、間違った問題などは解説を見てから再度挑戦することで、より理解を深めることができます。時間を決め、集中して行うことができれば、知識や情報を得る手段として有効に活用できるでしょう。ただし、そのためにはアプリとして利用する教材が勉強する本人の趣味や性格に合ったものである必要があります。
タブレット学習を行うにあたっては、まず学習する本人の嗜好や性格をつかんでおくことが大切だといえるでしょう。
タブレット学習のメリット
では、タブレット学習を利用するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。代表的なメリットについて解説します。
動画の説明がわかりやすい
タブレット学習では、動画を使った学習が可能です。教師が言葉で伝えたり、黒板に板書したりするだけでは伝わりにくい内容も、動画やアニメーションを用いることでわかりやすく伝えることができます。
具体的には「漢字の書き順」や「算数の繰り上がり」、「理科の実験」などが挙げられます。特に理科の実験は、実際に行うと場合によってはケガをすることも考えられるため、動画で伝えることで安全性が確保される点はメリットといえるでしょう。
動画のメリットは、何度でも繰り返し見ることができる点です。わからないことや興味を持った内容について繰り返し閲覧することで、理解や興味を深めることができます。小さな子どもにも概念的に理解させることが可能になるというメリットもあります。
子どもの理解度にあわせて勉強できる
限られた授業時間では、どうしても勉強に乗り遅れる子どもが出てしまいます。もちろん、授業内容が理解できないケースもありますし、体調不良などで学校を休んだ場合はその授業の内容を知ることができません。
しかし、タブレット学習を取り入れていれば、子どもの理解度にあわせて学習を進めることができます。理解できなかった部分については、タブレット学習を利用して振り返りながら理解を深めることができますし、授業に参加できなかった場合もタブレット学習を使えば勉強についていけなくなることはないでしょう。予習や復習に活用するなど、空いた隙間時間を有効に利用して学習できる点もタブレット学習を取り入れるメリットです。
採点の手間が省ける
通常の学習方法ですと、一定期間ごとにテストを実施し、教師が採点して子どもの理解度を測るというやり方が主流でした。この方法は教師に採点という作業の負担がかかり、子どもの理解度に合わせた解説に時間を割けないというデメリットがありました。
しかしタブレット学習だとアプリが自動的に採点し、その場で間違いを指摘してくれるため、教師や親の手間が省けると同時に、どうして間違えたのかまで理解することができます。
学習するうえでは、間違えた問題に対して「なぜ間違えたのか」をしっかりと理解することがとても大切なのですが、タブレット学習ではそれをスムーズに行うことが可能です。
書籍や教材がシンプルになる
学習に必要となる情報量は膨大です。学習内容のすべてを教科書や参考書にまとめるとかなりの分量となります。持ち運ぶのも大変で、かさばるため保管場所に困る場合もあります。
しかし、どんなに情報量が膨大だったとしても、タブレット端末が一つあればすべてをそれに集約できるため、自宅の勉強部屋も学校の机もすっきりし、持ち運びもラクになります。複数の教科の情報を一括で管理できる点もメリットといえるでしょう。
タブレット学習のデメリット
タブレット学習にはメリットがたくさんありますが、デメリットも存在します。いったいどのようなデメリットがあるのでしょうか。タブレット学習の代表的なデメリットを挙げてみます。
強制力が弱くなることがある
タブレット学習は子どもの自主性に大きく依存しています。しっかりと学習時間を決め、計画通りに集中してタブレット学習を行えればいいのですが、集中力がかけてしまい、ついつい遊んでしまう子どももいます。
自立型の学習形式であることをしっかりと理解し、まず学習する習慣を身につけることがタブレット学習の有効活用には必要になります。そのため、学習する習慣が根付いていない、未就学児童や小学校低学年程度の子どもには学習の強制力が弱い点がタブレット学習のデメリットといえるでしょう。
一日の過ごし方を表にして、「この時間はタブレット学習にあてる」など、それぞれの家庭でルールを作ることも対策方法の一つです。「いつでもできるから後でする」とルーズな学習スタイルを許し続けてしまうと、「いつまでたってもやらない」ことにつながります。このことを子どもが理解して自主的に学習をするようになるまでは、親が学習を促す必要があります。
視力低下・健康への影響の可能性がある
米ハーバード大学医学大学院が研究した結果によると、タブレット端末の液晶画面から発せられるブルーライトによって睡眠の質が低下することがわかっています。
また、タブレット学習を行う際の姿勢や時間によっては、視力の低下を招く可能性があるため、学習する時間の合間に必ず休憩を入れることや、ブルーライトカットの効果があるシートを液晶画面に貼る、メガネを使用している子どもならレンズをブルーライトカット仕様のものにするなどの対策が必要です。
特に長時間の使用や寝る前の使用には十分に気をつけるようにしましょう。
※出典:保健指導リソースガイド 「寝る前に電子書籍を読むと睡眠の質が低下 ブルーライトが原因」
※出典:HARVARD MEDICAL SCHOOL 「E-Readers Foil Good Night’s Sleep」
紙に字を書く機会が減る
普段の勉強をタブレット学習だけで完結させてしまうと、紙に字を書く機会が減ります。その結果、字を書くことが下手になったり、紙に字を書くことで思考をまとめるという作業ができなくなったりする可能性があります。
実際に自分の手で字を書くという行為は、脳が字を覚えたり、文章をまとめたりすることとつながっており、それができなくなると、文章による表現力が不足してしまうことにもなりかねません。
紙の教材はかさばるというデメリットがあるものの、最小限の紙の教材をタブレット学習と併用することが必要です。学習効率を上げるためにも、タブレット学習と紙の教材を上手に使い分けるようにしましょう。
ゲームなどで遊んでしまうことがある
タブレット学習用の端末に、学習のために使うアプリだけをインストールしているならいいのですが、端末を家族と共有し、ゲームなどのアプリもインストールしている場合は、学習の途中にゲームアプリなどで遊んでしまうことがあります。
できればタブレット学習専用の端末を用意することが望ましいのですが、難しい場合はゲームアプリなどの利用制限の設定を行うか、ゲームをする時間を決め、それ以外はゲームをしないなどのルールを作り、守らせるようにしましょう。
そのためには、学習の様子をときどき親がチェックすることも大切です。
タブレット学習はあくまで学習補助
便利に利用できるタブレット学習ですが、「タブレット学習はあくまでも学習の補助的存在」だと考えておきましょう。
特に学習する習慣がついていない子どもには、まず「勉強をする」という心構えを身につけさせることが重要です。勉強する習慣を身につけ、そのうえで補助的な教材としてタブレット学習を活用してみてはいかがでしょうか。