前節に直接対決したソン・フンミン(左)と三笘。(C)Getty Images

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 先週末のリーグ戦で、ブライトンはトッテナムに1−2で敗れた。

 結果とは別に、プレミアリーグにおけるアジア最大のタレント2人が同じピッチでプレーするのを見るのは興味深かった。そう、ブライトンの三笘薫とトッテナムのソン・フンミンだ。

 両雄の状態は大きく異なっていた。ブレイク中の前者は得点やアシストが止まらない。その評価はイギリス国内で急速に高まっており、いまやサッカーファンの間にも浸透している。一方、今季のソン・フンミンはおとなしく、ゴールを量産した昨シーズンと別の選手のようだ。

 この試合に先駆けて、24 時間放送の『SKY Sports News』で、ブライトンが話題になっていた。プレゼンターの背後にあるグラフィックは、三笘がチームの主役であるかのように前面に表示されていた。実際、彼は主軸であり、他チームのファンがブライトンについて尋ねられたとき、最初に思い浮かべるプレーヤーではないだろうか。

 記者席のモニターで見たキックオフ前の映像でも、ブライトンの22番とトッテナムの7番は頻繁に抜かれていた。そして試合が始まると、いきなり10分に驚異的なシュートで先制点を奪ったのは、ソン・フンミンだった。このゴールで自信を取り戻したのか、以降も本来の躍動感のあるプレーを見せた。

 その7分後に、今度は三笘がネットを揺らしたが、ハンドでゴールは取り消しとなった。ロンドンで、英国の観衆が見守る中で、“アジアのスター”のやり合いは見応えがあった。

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 後半には、三笘がボックス内でピエール・エミル・ホイビュアに倒されてPKかと思ったが、審判は笛を吹かなかった。このプレーは後に誤審だと認められている。ブライトンと三笘にとっては、何とも不運な判定だった。

 それでも、日本人アタッカーはいつも通りに印象的なパフォーマンスを見せ、ブライトンのチャンスにほとんど関わっていた。

 トッテナムのDFは三笘に激しいタックルを何度も浴びせていたが、それだけ警戒しているという証拠に他ならない。ソン・フンミンと同じように、三笘はもはやプレミアのスター選手として認められたのだ。今後もますます、ファジカルでこの有望株を止めようとするチームは増えるだろう。

 ソン・フンミンが素晴らしいゴールを決めてトッテナムが勝ったが、三笘も貢献度では負けていなかった。 サッカーでは、結果が出ないこともあるのだ。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)