「脂漏性角化症」について医師が監修!シミやいぼで悩んでいませんか?

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年齢とともに増えるのがお肌の悩みです。

年を重ねるごとに増えるシミやいぼを、気にされている方も多いのではないでしょうか。

加齢による肌トラブルの中でも、代表的なものが顔や首周りにポツポツとできるいぼです。高齢期にみられるこういったいぼは、脂漏性角化症かもしれません。

ここでは、脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)について解説します。発症する年齢の目安や原因などの基礎知識に加え、治療法や治療にかかる期間も詳しくご紹介しました。

いぼでお悩みの方はぜひご一読ください。

脂漏性角化症とは?

脂漏性角化症とはどのような病気でしょうか?

高齢になると、顔や手・首などに出っ張った黒いシミのようなものが現れます。これが脂漏性角化症です。老人性いぼともいいますが、一般的ないぼとは原因や症状が違い、当然治療法も異なります。
いぼの形状はさまざまです。ポツポツと小さいものから広範囲にわたるシミ状のもの、ボタンのように飛び出したものやゆるやかにふくらんでいるものなど、一定した形はありません。また色も、濃い黒から肌よりもやや暗い程度のものまでさまざまです。
発症する部位は前述した顔・手の甲・首周りが多く、そのほか背中や胸などにできることもあります。基本的には、手のひらと足の裏以外は全身のどこでもいぼができる可能性があります。
脂漏性角化症は良性腫瘍なので健康に大きな影響を与えることはありませんが、いわゆる「老けた」外見を呈するというのが大きな欠点です。自然に治ることはありません。治したい場合は適切な治療が必要です。

発症する原因を教えてください。

脂漏性角化症は、主に紫外線の影響で発症すると考えられています。ほくろやシミと同じく、紫外線によって増加するメラニン色素の沈着が大きな要因です。
しかし、紫外線だけが原因とはいえません。脂漏性角化症は、日にさらされることのない胸や背中に発症することもあるからです。肌の老化や遺伝の要因が複雑に絡み合って起きるため、発症しやすさは人によって大きく異なります。
角化症」とは不要な角質が厚く重なり、肌の一部が硬くなる症状全般のことです。通常不要になった古い角質は、肌のターンオーバーによって排出されます。
しかし、肌の老化が進むとうまく出せずに積み重なってしまいます。それもまた脂漏性角化症の原因の1つなのです。

発症しやすい年齢を教えてください。

別名を老人性いぼという通り、高齢になるほど発症しやすくなるのが脂漏性角化症の特徴です。高齢期では、脂漏性角化症は非常に高い頻度でみられます。しかし、高齢期の方しか発症しないというわけではありません。
40代でも脂漏性角化症に悩む方は多く、早い場合は20代からみられるケースもあります。若い人でも注意が必要です。

痛みや痒みはありますか?

ほとんどの場合ありません。しかし、まれに軽い痒みやチクチクした痛みをともなうこともあります。
この症状がある場合は、脂漏性角化症によく似た悪性腫瘍の可能性があります。できるだけ早く皮膚科を受診してください。
また、出っ張っているいぼの場合は、服などに擦れて痛みや痒みを生じる場合もあります。

脂漏性角化症の治療

脂漏性角化症は何科を受診すれば良いでしょうか?

基本的には皮膚科を受診してください。ただし目の周りにできる脂漏性角化症については、眼科でも受診が可能です。
目の周囲の皮膚は眼科の専門分野になります。目に近い位置に脂漏性角化症を発症した場合は眼科で診てもらうと安心です。
また、治療方法によっては美容外科やスキンクリニックで扱うこともあります。例えばレーザー治療を利用するときなどは美容の範疇に入ります。

治療方法を教えてください。

一般的なのは凍結治療です。凍結治療は患部に液体窒素をあてることで組織を破壊する治療法で、凍結した組織は1週間から2週間で自然に剥がれ落ちます。
簡単に施術できて安全性も高いのが利点です。その反面、しみの色が残ることもあり、きれいには消えないことが多いという弱点もあります。
またレーザー治療もよく行われます。主に炭酸ガスレーザーを使用して、患部を削り取る方法です。凍結治療よりも痕が残りにくくきれいに治療できますが、痛みがともなうため多くの場合で局所麻酔が必要になることと、高額になりやすいことが欠点です。
さらに、根本的な治療を望む場合は手術という選択肢もあります。このように、治療法は複数ありそれぞれに長所と短所があります。
ご自身の望む結果と突き合わせて、よく考えて選びましょう。適切な治療方法を選ぶためには、医師とよく相談することも重要です。

手術することもあるのでしょうか?

患部の大きさや深度などにより、手術で切除するという選択肢もありえます。根本的な治療を望む場合も同様です。
ただし手術する場合も、何日も入院するようなことはありません。局所麻酔による手術で、日帰りになることがほとんどです。比較的軽い手術になりますが、手術である以上ある程度のリスクはあります。医師とよく相談して決めてください。

治療期間はどのくらいでしょうか?

一般的な凍結治療であれば、完治までは半年から1年ほどかかります。通常、一度の施術でいぼが取れることはないので、間をおいて何回か通院する必要があります。
一方レーザー治療であれば、多くの場合治療は1回のみです。いぼの数が極端に多いなど例外はありますが、ダウンタイムも含めて1週間ほどで終わるので、早く治療したい方には便利です。

治療は保険適用でしょうか?

凍結治療は健康保険が適用になります。レーザー治療の場合ケースバイケースですが、ほとんど保険適用外と考えてよいでしょう。
繰り返しになりますが、脂漏性角化症は良性の腫瘍です。つまり「取らなくてもよい」いぼです。取らなくてもよいいぼをあえて取り、顔周りをきれいにしたいという場合は、美容的処置と判断されて保険適用外になります。

脂漏性角化症のセルフケア

脂漏性角化症はセルフケアできますか?

残念ですが、脂漏性角化症のセルフケアはたいへん難しいといわざるを得ません。脂漏性角化症のいぼは、一般的にいぼといわれるものとは違い外用薬で治すことはできません。セルフケアはできないといってよいでしょう。
ただし予防という意味でのセルフケアは有効です。脂漏性角化症は紫外線が原因ですので、日焼け対策をしっかりすることで発症の確率を下げることができます。
また、お肌のコンディションを整えることも重要です。古い角質を溜め込まない適切なスキンケアで、ある程度の予防効果が期待できます。肌によくない影響を与える睡眠不足や過度の飲酒・喫煙・ストレスは避けてください。
適度な運動バランスのよい食生活で正常なターンオーバーが保たれれば、紫外線によるダメージは大きく緩和されます。

市販薬を使用しても良いでしょうか?

脂漏性角化症には市販薬を使用しても効果はありません。一般的ないぼには、いぼを取るための市販薬があります。しかしそれは脂漏性角化症以外のいぼが対象です。
いわゆるいぼ取り薬の代表的なものは、角質をやわらかくするヨクイニン(ハトムギエキス)配合の外用薬です。ヨクイニンが脂漏性角化症に効いた例はなく、治療効果は期待できません。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

脂漏性角化症には、特効薬はありません。1番のセルフケアは体と肌の健康を保つことです。
美肌の大敵であるストレスと睡眠不足を避け、規則正しい生活で正しいターンオーバーを促進しましょう。新陳代謝が活発であれば、古い角質が排出されメラニン色素の沈着も起こりにくくなります。
また紫外線対策も忘れず行ってください。お出かけの際は帽子や日傘を活用するなど、ちょっとした対策で脂漏性角化症を予防することができます。また日焼け止めの使用も効果的です。

編集部まとめ


高齢期に気になる脂漏性角化症についてまとめました。健康に大きな影響はないとはいえ、顔や首などの目立つ部位にできるいぼは気になるものです。

適切な治療を行えば治る疾患なので、ぜひ皮膚科の医師にご相談ください

また、脂漏性角化症を発症するのは高齢期の方だけとは限りません。20代や30代の方でも注意が必要です。脂漏性角化症は蓄積した大量の紫外線が原因といわれています。

早い時期からの対策で紫外線を浴びる量を減らして脂漏性角化症を予防しましょう。状況に応じたスキンケアも予防に効果があります。

そして高齢期に入ってもシミやいぼのないきれいな肌を保つためには、心も体も健康であることが1番です。規則正しい健康的な生活を強くおすすめします。