首・肩からくる頭痛の原因は? 整骨院での治療(施術)と自宅でのケアについて教えて
現代社会では、頭痛に悩まされている方が非常に多く、とくに「肩や首からくる頭痛」の発症者が多いと報告されています。そこで「首・肩からくる頭痛の治療と自宅でのケア」について、柔道整復師の椿原先生(ツバキ整骨院)に、Medical DOC編集部が話を聞きました。
首や肩のこりを伴う頭痛の原因は血行不良? 柔道整復師が解説
編集部
頭痛の原因にはどんなものがありますか?
椿原先生
頭痛の原因はひとつではありません。頭痛にもいくつか種類があり、自分がどのタイプの頭痛なのかがわかると原因も特定しやすくなりますね。
編集部
首や肩のこりの延長みたいな感じで痛みます。
椿原先生
頭全体や後頭部から首の後ろ、首の付け根にかけて、幅広い範囲で締め付けられるような頭痛は「緊張型頭痛」かもしれません。頭痛の種類の中で、最も発症者数が多いといわれている頭痛です。
編集部
もう少し詳しく教えてください。
椿原先生
緊張型頭痛は、頭全体や後頭部から首にかけて痛みが生じる頭痛です。「緊張性頭痛」と呼ばれることもあります。主に中高年に発症することが多く、痛みが生じる部位は広いのですが、痛みの頻度や持続時間は人によってさまざまです。また、肩こりや目の疲れ、身体のだるさ、めまいや吐き気を伴うこともあります。
編集部
ほかにはどんな頭痛があるのですか?
椿原先生
緊張型頭痛のほかには、こめかみのあたりから目の奥にかけて、ズキズキとした痛みを引き起こしたり、ギザギザした光が見えたりする「片頭痛」と呼ばれる頭痛があります。片頭痛は男性に比べて女性に発症しやすく、特に女性の中でも若年層から中年層にかけて症状が見られることが多いと言われています。
首や肩からくる頭痛の整骨院での治療法とは? 吐き気やめまいもあるけど大丈夫?
編集部
どうしたら改善されますか?
椿原先生
頭痛に対するケアとしては、医療機関で鎮痛剤を処方してもらうことができます。根本治療としては、整骨院などでの施術を受けることもお勧めします。
編集部
緊張型頭痛を治すにはどんなことをするのですか?
椿原先生
まずは、筋肉の硬さ、こりをほぐしていきます。当院の場合は、「筋膜リリース」という方法でアプローチしています。とくに、頭蓋骨と首の骨とをつなぐように付いている「後頭下筋群」(下図の筋肉の総称)のこりをほぐすと効果的です。編集部
ほかにはどんなことをするのですか?
椿原先生
頭痛が起こる原因のひとつとして不良姿勢が挙げられます。不良姿勢によって頭や首の位置が悪くなり、筋緊張のアンバランスを生み出してしまうのです。整骨院では、首はもちろん、症状によっては背骨から骨盤までアプローチし、正しいS字カーブにしていきます。こうすることで血行が良くなり、頭痛が起こりにくい体にしていくのです。
編集部
再発予防ということですね。
椿原先生
そうですね。背骨が正しいS字カーブになったら、その姿勢を維持できるようにしていきます。例えば、筋肉のこわばりがある部分はストレッチで緩ませる、筋力が不足しているところはトレーニングや電気的刺激によって鍛えていく、などです。これを継続することで頭痛が起きにくくなり、再発の予防が期待できます。
首や肩からくる頭痛の自宅でのケア 簡単にできるストレッチや効果的なツボもある?
編集部
では、自宅でできるケアはありますか?
椿原先生
緊張型頭痛は、肩や首の筋肉の緊張によって血管や神経が圧迫されることで起こります。その結果、血液循環が悪くなったり、後頭部の知覚神経を締め付けたりすることが原因だと考えられています。そのため、筋肉をほぐしたり、血行を促進したりすることが大事です。そうすることで、神経への締め付けも緩和されて楽になります。
編集部
具体的にどんなことをすると良いですか?
椿原先生
痛みのない範囲で首を前後左右にゆっくりと動かしたり、肩を大きく回したりして、しっかりと筋肉を動かすと効果的です。ご自身でのマッサージは、大抵の方が強く行い過ぎという印象です。「痛い=効く」では無いので、痛みを感じない範囲で優しくほぐす程度にとどめてください。また、温めることもお勧めです。筋肉は温められると柔軟性が向上し、緊張が緩和されるので、緊張型頭痛の症状緩和が期待できます。温めるには、入浴が最も効果的ですが、簡便な方法としては、温めたタオルを肩や首まわりに当てるのも良いでしょう。
編集部
ほかには何かありますか?
椿原先生
頭痛が起きないための予防も大事です。スマホやパソコン・ゲーム使用時のうつむき姿勢などで首や肩に負担のかかる姿勢を長時間続けないこと、血液循環を悪くする「冷え」や「ストレス」を避けることなどを日頃から意識してみてください。
編集部
最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。
椿原先生
頭痛は多くの方が悩んでいます。緊張型頭痛はそのうちのひとつで、ほかには脳卒中やくも膜下出血といった生命に直結するような頭痛もあります。軽い頭痛だからといって我慢せず、症状が少ないうちに専門家(専門機関)に相談することをお勧めします。頭痛が緩和されるとQOLの向上が期待できますので、早めのケアが大切です。
編集部まとめ
頭痛の種類や、「緊張型頭痛」の原因と対処法について、お話を伺いました。筋肉だけでなく、血行や神経など、さまざまな要因があるのですね。整骨院では、痛みを取るだけでなく、姿勢を整えたり、その姿勢を維持するような筋肉を鍛えたりといったアプローチをしていただけるとわかり、なんだかちょっと安心しました。
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