子育ての大きなイベントともいえる大学進学。大学進学率は年々上がっており、政府の調べでは2021年度の大学の学部生が過去最多となりました。

子どもの大学進学には入学金や学費など何かと費用が発生しますが、大学受験にもまとまった資金が必要です。この記事では、大学受験にかかる費用総額とその内訳について解説します。

大学の受験費用

まずは大学受験にかかる費用について詳しく見ていきましょう。

大学入学共通テスト

私立大学でも採用が増えている大学入学共通テスト

センター試験に代わり2021年度試験から導入された大学入学共通テストは、高校での学習習熟度をはかるもので、国公立大学を受験する場合には避けては通れない試験です。また、私立大学や短期大学の多くも大学入学共通テストを入学試験に取り入れています。

志望大学や学部によって科目数に違いがありますが、科目数が2教科以下の場合の受験料は1万2,000円、3教科以上の場合は1万8,000円かかります。

国公立大学の二次試験
国公立大学では、大学入学共通テストの後に2次試験を設けています。

2次試験の受験料は1校あたり1万7,000円で、複数校を受ける場合はそれぞれの大学に支払わなければなりません。ただし、夜間大学やフレックスコースなどでは、やや受験料が低いこともあります。

私立大学
私立大学の受験料は学部・学科により異なりますが、1校あたり3万5,000円程度が目安です。大学入試共通テストを併用している大学では、別途その受験料もかかります。

また、医学部・歯学部の受験料はその他の学部よりも高い傾向にあります。

受験費用で注意するポイント

大学受験の費用について考えるときには、いくつかの注意すべきポイントがあります。

併願校が増えれば受験費用も増える
大学受験では、本命校以外にもいくつかの大学を「滑り止め」などとして併願するケースがあります。

受験する大学の数が増えれば大学入学共通テストの科目数も増える可能性があり、2次試験まで進めば受験校の数に比例して受験料も高くなるでしょう。詳しくは後述しますが、2021年度に行われた調査では、大学の平均受験費用は30万円前後(※)という結果が出ています。

さらに、私立大学では願書の発行にも費用が発生します。Web上で出願ができる場合は積極的に活用することで、願書の発行料や郵送料を節約できるでしょう。

※出典:日本政策金融公庫|子供1人当たりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)は減少~令和3年度「教育費負担の実態調査結果」~

受験時の交通費・宿泊費も想定する

遠方での受験では宿泊費や交通費もかかる

他県の大学を受験するなら、宿泊費や交通費、受験期間中の滞在費なども計算に入れなければなりません。当然ながら遠方になるほど交通費は高くなり、受験に家族が付き添うならさらに出費は増えます。

たとえば、東京在住の人が大阪にある大学を受験すると、新幹線を使えば交通費が往復約3万円、ビジネスホテルの平均宿泊料は1泊当たり6,000円~1万円であることをふまえて計算して、1回の受験で4万円前後が必要です。

保護者と2人で行く場合は倍額の8万円、他の大学も受験するならさらに交通費・宿泊費はかさむと考えましょう。

割引制度がある
併願する大学が多いほど受験料は増えますが、学校によっては割引制度を設けているところもあるのでチェックしてみましょう。

たとえば、同じ大学で複数の学部を受験する学内併願では、受験料の割引を行っている学校も多々あるほか、1回の試験で複数の学部・学科を併願できる「全学部統一方式」を採用しているところもあります。また、大学入学共通テスト利用入試を導入している私立大学なら、一般入試よりも受験料が安くなります。併願したい大学が多いときは、こうした割引制度も活用したいところです。

さらに、日本各地の主要都市で受験できる「地方試験」を実施している大学なら、宿泊費や交通費を節約できます。

大学入学時にかかる費用

晴れて大学受験をクリアした後には、入学手続きや入学金の支払いが待っています。

大学入学時にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。日本政策金融公庫による「教育費負担の実態調査結果」から、平均額を見ていきましょう。

学校納付金

大学合格後もまとまった費用がかかる

学校納付金は入学金や寄付金、大学が運営資金を調達するために生徒に発行する債券・学校債など、入学時に学校に支払う費用を指します。大学初年度には、授業料とは別に学校納付金をおさめなければなりません。

大学別の学校納付金の平均は以下の通りです。

国公立大学と私立大学では12万円~18万円の差があり、私立大学のなかでは理系が文系よりも6万円高い結果となりました。また、国公立大学では入学費用の4割程度、私立大学では5割程度を学校納付金が占めています。

出典:日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」

受験費用
前章で解説した受験費用の平均は以下の通りです。

学校納付金と同じく、私立大学理系・私立大学文系・国公立大学の順に費用が高くなっています。国公立大学の受験費用は学校納付金とほぼ同額ですが、私立大学では学校納付金のほうが受験費用より10万円ほど高く、受験時だけでなく合格後の資金をしっかり用意しておくことが大切です。

また入学費用全体に対する受験費用の割合は、いずれも4割程度 です。

出典:日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」

入学しなかった学校への納付金
いわゆる「滑り止め」の大学を受験した場合、併願したほかの大学からの合否通知が来る前に、納付金の締め切りがあることも少なくありません。基本的には、納付後に入学を辞退しても納付金は返還されません。

合格したものの入学しなかった学校への納付金の平均額は以下の通りです。

いずれも10万円前後が入学しない大学への納付金として支払われています。

なお、入学費用の合計はそれぞれ以下の通りです。

出典:日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」

まとめ

統計を見ると、大学受験費用の平均は20数万円~30数万円です。入学時には60数万円~80数万円がかかり、授業料を含めるとこれに100万円前後プラスされます。

教育資金は、住宅資金・老後資金に並ぶ人生の三大資金の一つです。子どもや自身のその後の人生に大きく関わるものなので、しっかりと長期的に準備をしておきましょう。