THE LAST ROCKSTARS

昨年結成されたYOSHIKI、HYDE、SUGIZO、MIYAVIによるスーパーバンド、THE LAST ROCKSTARSが26日と27日、東京・有明アリーナで『THE LAST ROCKSTARS Live Debut 2023 Tokyo - New York - Los Angeles』の東京公演を行った。THE LAST ROCKSTARSは、昨年12月23日に、ファーストシングルとなる「THE LAST ROCKSTARS (Paris Mix)」を、Melodee Music/Ingrooves Music Groupより全世界リリース。今回のツアーは1月26日、27日の有明アリーナを皮切りに、有明ガーデンシアターで29日、30日、そして、アメリカ公演として2月3日、4日をNY Hammerstein Ballroom、10日にLA Hollywood Palladiumの3公演を行う。ライブでは昨年リリースされた「THE LAST ROCKSTARS」をはじめ、新曲「SHINE」、カバー曲など多彩な楽曲を披露。オーディエンスを熱狂の渦に巻き込んだ有明アリーナ2日目の模様を以下にレポートする。(※ネタバレあり)【取材=村上順一】

嘘みたい、みんなの声が聞こえるなんて(HYDE)

幻想的な美しいコーラスが会場に響き渡るなか、メンバーが1人ずつ登場し、バンドのアイデンティティを掲げた「THE LAST ROCKSTARS」でライブの幕は開けた。オーディエンスの身体を揺さぶるダンサブルなロックナンバーで、オープニングに相応しい盛り上がりを見せ、序盤から4人のケミストリーを感じずにはいられない。音源も素晴らしい完成度だが、ロックバンドは「ライブ」で真価を発揮することを痛感させられたサウンドで、有明アリーナを満たした。そして、モニターに時折り映し出されるYOSHIKIの表情も楽しそうだ。

まだまだどんなバンドなのか全貌が見えていないTHE LAST ROCKSTARS。新曲にも期待が高まるなか、沈み込むようなヘヴィなリフが印象的な「6 or 9」を投下。サビでの爆発力がたまらない一曲で、オーディエンスとのコール&レスポンスもバッチリ決まった。続いて、イントロで聴けるEDM的なリードシンセと、4つ打ちのキックがグルーヴィーな「Messiah」と、スタイルが異なるロックチューンで楽しませる。

HYDEが「嘘みたい、みんなの声が聞こえるなんて」と嬉しそうに話し、YOSHIKIは「みんなありがとう。このような3人と奇跡のステージをやれていることを、心から感謝しています。みんながずっと応援してくれたから、こうやってやれていると思います」と、声を振るわせながら感謝を伝えた。そして、ドラマティックなナンバー「Beneath The Skin」は、YOSHIKIによる抒情的なピアノの旋律から、SUGIZOの美しいギターアルペジオで得も言われぬ世界観を構築。そこに乗るHYDEのエモーショナルな歌声もセクシーだ。

また、SUGIZOとMIYAVIのスーパーギタリスト2人によるギターバトルへ。オーディエンスはクラップで2人のプレーを盛り立て、テンションは爆上がり。全くスタイルが違う2人のパフォーマンスは、ギターのポテンシャルを全て曝け出すかのよう。一時も目を離せないスリリングな演奏で魅了した。

続いて、SUGIZOによるバイオリンの演奏を堪能。クラシカルな雰囲気もありながら、エフェクティブな要素も取り入れた、彼ならではの音色でしっとりと会場を包み込んでいく。そこから「Folly」へ。MIYAVIによるアコースティックギターの演奏から、ミディアムナンバー「Hallelujah」へと紡がれ、多幸感で満たされていく。音楽の美しさを堪能したセクションで、バンドの多彩さを見せてくれた。

荘厳なストリングスサウンドをバックにYOSHIKIがステージに登場。クラシカルな楽曲にエネルギッシュなドラム融合させるという、YOSHIKIならではのパフォーマンス。オーディエンスはエモーショナルなYOSHIKIのドラミングに陶酔。そして、ドラムソロの熱をクールダウンさせるかのようにX JAPANの名曲「紅」をピアノで演奏。それに合わせてオーディエンスが、YOSHIKIの演奏に寄り添うように歌い、ファンとの絆を感じさせてくれた瞬間。緊張と緩和を見事に表現した至高のセクションだった。

YOSHIKIが、「気合い入れていくぞ!」とオーディエンスを煽り、X JAPANの「BORN TO BE FREE」、そして、L'Arc〜en〜Cielの「HONEY」が、この4人で披露されたのは大きなサプライズだった。「HONEY」はアグレッシブな部分をフォーカスし、オリジナルとは一味違う一面を覗かせてくれた。

みんながロックスターだからな(YOSHIKI)

ここでMCコーナーへ。4人でこのバンドについて語ると、YOSHIKIは「僕らは敵なしなんです。もし敵があるとしたら自分。敵を作ることはつまらないから、思いっきり楽しもうと、だから敵なしなんです」と、頼もしい言葉を伝え、新曲「Up And Down」、盛り上がり必至のナンバー「Bang!」でボルテージは最高潮まで高まっていく。

YOSHIKIは世界に向かっていくことについて、「世界の壁はとても厚くて、高くてどんなに頑張っても、もがいても崩れない。でも、壊さないというチョイスはないんだなと。この身が粉々になっても壊そうと思っています。翼を広げた僕たちに風を送ってください。翼はボロボロかもしれないけど、みんなが風を送ってくれる限り、オレたちはその壁を飛び越えられる--」と語り、その決意を込めてYOSHIKI feat.HYDEとしてリリースされた「Red Swan」を届けた。静と動、壮大なスケール感のあるナンバーで、オーディエンスの感情を揺さぶった。

本編最後を飾ったのは「PSYCHO LOVE」だ。2022年11月11日に行われた記者会見で、楽曲「THE LAST ROCKSTARS」と同時にティザームービーが公開されたナンバーだ。フルコーラスをライブで体感し、この曲もバンドを象徴する1曲になることを確信。迫り来る心地よいサウンドを我々に届け、ステージを後にした。

アンコールでは、先日公開された新曲「SHINE」を披露。YOSHIKIは「みんなで歌える曲があった方がいいなと思った」と、制作した動機を語り、みんなで歌うパートをYOSHIKI自らがレクチャー。光を探すのではなく、自らが輝こうというメッセージを込めた至極のバラードで、美しいメロディでオーディエンスを扇情。オーディエンスはスマホのライトを灯らせまばゆい光と、優しさが溢れる歌声をステージに届けた。YOSHIKIはその歌声と光景に「Beautiful、みんなすごいね」と嬉しそう。

続けて「みんながロックスターだからな」と会場の一体感を高め、YOSHIKIはステージを降り、オーディエンスを煽る。高揚感が最高潮のなか、ラストは再び「THE LAST ROCKSTARS」を演奏。赤と白の紙吹雪が会場に舞うなか、ライブは大団円を迎えた。世界へ挑戦する4人の覚悟が終始感じられた熱狂のライブ。4人から放たれるロックの持つエネルギーを存分に感じることができたはずだ。残りの公演ではどんな姿を見せてくれるのか、非常に楽しみだ。