「中耳炎」の初期症状はご存知ですか?医師が監修!

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中耳炎とは、耳の中の内耳と呼ばれる部分に炎症を起こす病気です。子供がかかる病気のイメージを持つ方も多いですが、大人も発症する可能性があります。

ウイルスや細菌によって発症する病気ですが、どのような病気かを知らなければ予防することもできないでしょう。

そこで本記事では、中耳炎とはどのような病気なのかをご紹介します。原因・主な症状・治療の仕方・治療中の注意点も併せて解説するので参考にしてください。

中耳炎の特徴

中耳炎はどんな病気ですか?

中耳炎とは、耳の中の中耳と呼ばれる部位に炎症が起こる病気です。細菌やウイルスなどが感染することで、炎症は起きます。また、普段から耳にする中耳炎はほとんどが急性中耳炎と呼ばれるものです。
耳の痛みがおきたり膿が溜まったりします。子供から大人まで発症する可能性がある病気であり、誰しもかかる可能性のある病気です。

中耳炎の主な初期症状を教えてください。

中耳炎の主な初期症状としては、次のようなものが代表的です。

耳の痛み

耳だれ

発熱

耳が詰まったような感覚

ウイルスや細菌に感染したことで炎症を起こして膿が溜まることがあるため、耳が痛む可能性があります。また、耳から何かしらの液体が出てくる耳だれと呼ばれる状態になる可能性もあります。膿であったり、血が混じっていたりと状態はさまざまです。さらに、発熱も発症します。
耳の中にひどく膿がたまっている場合には、耳が詰まったような感覚になることもあります。音が聞こえにくいなどの難聴を感じる可能性もあるでしょう。

子供がかかりやすいのは本当ですか?

子供がかかりやすいのは本当です。これは耳管とよばれる器官が、大人よりも短く未発達であるためです。通常、耳管は中耳と咽頭をつなぐ細い管であり、普段は閉じています。しかし、つばを飲み込んだり鼻をかんだりする際には、この耳管が開くことで圧を一定に保つ役割を持っています。
中耳炎は、咽頭部にあるウイルスや細菌が耳管を通って中耳の中に入ってくることで発症するメカニズムです。大人であれば耳管が長いため、ウイルスなどもそれだけ侵入しにくくなります。しかし、子供の場合は耳管が大人ほど長くありません。そのため、大人よりも中耳炎を発症しやすいのです。

中耳炎の発生原因は何ですか?

中耳炎の発生原因は、細菌やウイルスの感染です。通常、中耳内は無菌状態のため、ウイルスなどに感染することはありません。しかし、先述したようにつばを飲み込む際などに耳管が開き、咽頭部からウイルスなどが侵入してくる可能性があります。
咽頭部は細菌やウイルスなどがあるため、感染リスクがあるのです。特に風邪を引いた際などは、鼻水にもウイルスなどが付着しているため咽頭部にもウイルスが存在します。それらが、中耳内まで届く可能性があるため、風邪などの際に中耳炎を発症することが多いのです。

中耳炎の中にも種類があると聞きました。

中耳炎の中にはいくつか種類があり、大きく分けて3種類あります。

急性中耳炎

滲出性中耳炎

慢性中耳炎

急性中耳炎は、中耳がウイルスや細菌に感染することで炎症を起こすことで発症します。風邪を引いたときなどに発症しやすい傾向がありますが、その理由は咽頭部で増殖した病原体が中耳に侵入してくるためです。
滲出性中耳炎は、急性中耳炎が治りきらずに慢性化することで発症します。炎症が続いた中耳では、粘膜から滲出液というものが分泌されます。この分泌物が、中耳の中にたまることで鼓膜を内側から圧迫するような状態となるのです。
慢性中耳炎とは、滲出性中耳炎がさらに悪化して滲出液によって鼓膜が破れるような状態にまで進行した病気です。通常、鼓膜は破れても自然に治ります。しかし、慢性中耳炎の場合は炎症が続いているために正常に鼓膜が修復されず、常に穴が開いた状態となる可能性があります。

中耳炎の診断と治療方法

中耳炎を疑う際の受診の目安を教えてください。

耳の痛みや詰まるような感覚を感じた場合が、受診の目安です。初期症状では、軽度な痛みや聞こえにくいなどの症状ですが、そのままにしておくと悪化を招きます。先述したような滲出性中耳炎や慢性中耳炎となると、炎症自体も悪化しさらにさまざまな症状が現れる可能性もあります。
特に子供の場合は、痛みをうまく表現できない可能性があり、気づかないうちに悪化しているケースも少なくありません。そのため、初期に現れる違和感を感じた場合でも、受診を行うことが大切です。

中耳炎の治療にはどんな薬を使いますか?

中耳炎の治療には、発熱や痛みを抑えるための解熱剤を使用することが多いです。また、抗菌薬消炎鎮痛薬の投与を行うこともあります。
抗菌薬では、炎症の原因となる細菌やウイルスを殺菌するために使用します。また、消炎鎮痛剤は炎症を抑えるために用いるのです。

症状が進行すると手術をすることもあると聞きました。

症状が進行して、慢性中耳炎などになると手術が必要なケースもあります。慢性中耳炎となると鼓膜が破れて、自然に修復されない可能性があるためです。穴が開いたままとなってしまい大変危険です。そのため、手術を行って鼓膜の修復が必要となります。
また、さらに進行すると中耳真珠腫という病気を発生する可能性があります。真珠腫とは、鼓膜の一部が袋状に陥没し、内部に垢が溜まってしまった状態です。このような状態になると、垢の除去と鼓膜の修復が必要となります。

治療に要する期間の目安を教えてください。

急性中耳炎の場合治療に要する期間の目安としては、軽度の場合であれば約5日程度で改善する可能性があります。しかし、症状の程度によっては治療期間が長引く可能性が高いです。
特に手術が必要となるケースであれば、短期ではありますが3日~4日間の入院が必要となります。そのため、完治までに1週間以上かかるケースもあるでしょう。

中耳店の治療中の注意点

中耳炎の予防には何が効果的ですか?

予防には、ウイルス性の病気などにかからないように手洗いやうがいをすることです。インフルエンザなどウイルス性の感染症は、のどが痛んだり鼻水が出たりといった症状を引き起こします。
これらの症状により、中耳炎のリスクが高くなるため、原因となる病気にならないようにすることが大切です。ワクチン接種なども視野に入れましょう。また、子供の中耳炎の場合には、PCVワクチンの接種も効果があります。

中耳炎を放置するとどうなりますか?

中耳炎を放置しておくと、先述したように慢性中耳炎へと悪化する可能性があります。すると、鼓膜に穴が開くため難聴などの症状が現れる可能性が高いです。
通常は、鼓膜は自然に治りますが、慢性中耳炎になると自然に修復されない可能性があります。そうなると、耳がどんどん聞こえにくくなってしまうため、決して放置してはいけません。

中耳炎になったらお風呂や水泳は禁止すべきですか?

中耳炎になった場合でも、基本的に発熱や耳の痛みなどがひどくなければお風呂や水泳に入っても問題はありません。しかし、症状がひどい場合や、鼓膜に穴が開いているような状態の際には入ってはいけません。
通常は、鼓膜があるため水が中耳に入ることはありません。しかし、鼓膜に穴が開いている慢性中耳炎などの状態であれば、水が中耳内に入ってしまう可能性があります。お風呂や水泳に入っても良いかを判断するには症状の度合いが大きく関係するため、医師と相談のうえで決めましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

中耳炎は、子供から大人まで誰しもかかる可能性がある病気です。しかし、子供の方が大人よりもかかりやすい傾向があります。これは、耳の中の作りがまだ未発達であることが大きく関係します。しかし、大人であっても決して放置してよい病気ではありません。
悪化することで難聴などのリスクも高くなります。そのようなトラブルにしないためにも、専門の医療機関に相談して、適切な治療を進めましょう。

編集部まとめ


中耳炎は、比較的軽い病気のイメージがあり軽視してしまう方も多いでしょう。

そのため、悪化してしまい痛みや発熱だけでなく、耳が聞こえにくいなどの症状に発展するケースも少なくありません。

発症・悪化を防ぐためにも、正しい知識を備えて予防を行いましょう。また、万が一異変を感じた場合にはすぐに医療機関を受診しましょう。

悪化すれば手術が必要な場合もあります。大変な治療となる可能性があるため、防ぐためにも早期受診が大切です。

参考文献

小児急性中耳炎診療(小児急性中耳炎診療ガイドライン作成委員会)