「カフェオレ斑(茶色のあざ)」ができる原因はご存知ですか?医師が監修!

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カフェオレ斑とは、その名の通りカフェオレのような色をした痣のことです。身体の場所を問わずできることがあり、成長で消えることがありますが、残る場合もあります。

ただの痣の場合もありますが、重い病気の可能性もあるため、注意が必要な病気です。そこで本記事では、カフェオレ斑とはどのような病気かをご紹介します。

原因や受診の目安・治療方法・リスクなどを詳しく解説するので、参考にしてください。

カフェオレ斑の特徴と原因

カフェオレ斑の大人・子供それぞれの特徴を教えてください。

カフェオレ斑は、子供と大人で特徴が異なります。

まず、共通の特徴として、痣はカフェオレの色をしたシミのような痣・まだら模様です。

中でも、子供の場合は、生まれたときからこの痣を持っている場合があります。

痣の大きさは、おおよそ0.2㎝~20㎝とさまざまで、全身場所を問わずにできる可能性があるのです。

大人のカフェオレ斑の場合、子供のころからの痣が大きくなっている可能性があります。

そのため、大きさが子供に比べて大きく、15㎝以上のものが複数できている可能性がある点が特徴です。

健康な子供にもできることがあるのですね…。

健康な子供であっても、カフェオレ斑ができることはあります。

健康な子供の10%~20%にこの痣があるといわれているほどです。

また、必ずしも生まれたときから蒙古斑のように痣があるわけではありません。

生まれたときには痣がなくとも、生後にできてしまうこともあります。

その後少しずつ大きくなるケースも少なくありません。

また、成長の過程で必ずしも消えるとは限りません。

大きくなっても消えないケースがあるのです。

カフェオレ斑の原因が知りたいです。

カフェオレ斑の原因は、メラニン色素の異常である場合が多いです。

メラニン色素は皮膚の色を作るものであり、皮膚の浅いところに増えると、その部分が茶色く見えるようになります。

この茶色が、カフェオレ斑となるのです。そのため、一般的なカフェオレ斑は、特に問題ないものとなります。

しかし、稀に病気の影響で発生する場合があります。その病気とは、次のようなものです。

レックリングハウゼン病(神経線維腫症Ⅰ型)

マッキューン・オルブライト症候群

これらの病気は、非常に稀な病気ではありますが、遺伝子に異常があることで発症します。

その結果、症状の一つとしてこの痣が発症するのです。

カフェオレ斑と併発する病気はありますか?

メラニン色素の異常によって発症する痣であれば、併発する病気はありません。

しかし、先述したような病気による痣であれば、併発する可能性があります。

併発が考えられる病気は、悪性腫瘍内分泌症状などです。

レックリングハウゼン病の場合、癌の発生率が健常人と比較してやや高いといわれています。

また、その他にも悪性腫瘍を各部位に発生する可能性があります。

これは、神経繊維腫が全身に多発する病気ですが、一部の方ではこの神経繊維腫が悪性化することがあります。

悪性化したものは悪性末梢神経鞘腫と呼ばれます。

マッキューン・オルブライト症候群の場合は、内分泌症状を併発する可能性があります。

カフェオレ斑の受診と治療

どのような症状が現れたときに受診するのか目安を教えてください。

痣以外の症状があるときが、一つの受診の目安です。この痣は、生まれながらに持っている場合があります。

また、成長の過程でなくなる場合もあるため、見つけたからといってすぐに受診すべきというわけではありません。

しかし、この痣以外にも盛り上がりのある腫瘍を見つけた場合や、他の体の異常を見つけた場合は受診を考える方が良いでしょう。

また、数が多い場合も一つの目安です。

神経線維腫症の場合、6個以上のカフェオレ斑がある場合は疑いがあるためです。

万が一、異常がわからず、不安な場合も受診をおすすめします。

蒙古斑のように生まれたときからある場合は、病気ではないと考えるケースもあるでしょう。

しかし、見慣れない痣というだけで不安に思うこともあるものです。

受診が早ければ病気の早期発見にもつながるため、心配であるときは受診してみましょう。

何科を受診すれば良いでしょうか?

一般的に、痣の症状を受診するのであれば、皮膚科となります。

しかし、もしも他の症状が発症しているのであれば、他の診療科目を受診する必要があるでしょう。

例えば、皮膚の盛り上がりなどがみられる場合は、皮膚科だけでなく整形外科に相談すると良いです。

小児科・骨などの異変が見られる場合は整形外科などに相談が必要となります。/li>

カフェオレ斑の治療方法について教えてください。

カフェオレ斑の治療方法としては、次のような治療方法があります。

レーザー治療

皮膚凍結療法

削皮術

レーザー治療は、痣の部分にレーザーを当てて、痣を消す方法です。

皮膚凍結療法はドライアイスなどで皮膚を凍らせ、その部分の細胞を壊死させて除去する治療となります。

削皮術は、保父の表面を削って痣をとる方法です。

しかし、先述したようなレックリングハウゼン病などの病気によるカフェオレ斑の場合、この病気に対しての治療方法はまだ確立されていません。

カフェオレ斑の治療で手術をすることはあるのでしょうか?

一般的な痣の場合は、必ず手術を行う必要はありません

痣が気になり、除去したい場合で、手術による除去を希望する際に行います。

しかし、レックリングハウゼン病などの病気による痣が発症している場合、神経線維腫などの他の症状を発症しています。

そのため、この神経線維腫などが、悪性腫瘍などになってしまった際には手術を行うことがあるのです。

ただし、この腫瘍も悪性でない場合は、無理に切除する必要はありません。

腫瘍が気になる場合に手術が必要となるということです。

カフェオレ斑の注意点

子供がカフェオレ斑と診断された場合の注意点を教えてください。

子供がカフェオレ斑と診断された場合の注意点としては、定期的に皮膚科や小児科を受診し、成長をしっかり見守ることが必要です。

生まれつき痣を持っていることがあります。

また、生後数ヶ月で痣が出てくることもあります。

特に生まれつき痣を持っている場合は、レックリングハウゼン病の疑いがあるでしょう。

しかし、1歳などの時点では、具体的な症状が少なくわからないケースがあります。

実際には、成長の過程で痣が消えるかもしれません。

仮にレックリングハウゼン病の場合は、痣が増えていくでしょう。

この病気であれば、思春期頃になると、皮膚にわずかな盛り上がりが出てきます。

このように、成長の過程で痣が増えたり消えたりする可能性があります。

また、他の症状が発症する可能性もあるでしょう。

そのため、成長の中で早期発見できるように、皮膚科や小児科を定期的に受診して見守ることが大切です。

カフェオレ斑が濃い・薄い場合それぞれどう対処したら良いですか?

痣の色は、淡い色から濃い色までさまざまです。

そのため、色の濃さによって対処法が異なります。

薄い色の場合は、人目に触れず気にならいない痣であれば対処を早急にする必要はありません。

しかし、痣のある場所によっては気になる場合もあるでしょう。

その場合の対処方法としては、薬の塗布などから対処を始めます。

状態によって薬の種類が異なりますが、トラネキサム酸・ハイドロキノン外用などの薬を使って対処します。

しかし、色の濃い場合、これらの薬だけでは対処しきれない可能性が高いです。

そのため、薬だけでなくレーザー治療を使った対処方法があります。

専門の医療機関に相談して、どういった対処法を取るべきか相談しましょう。

カフェオレ斑は自然に治りますか?

成長の過程で消える可能性はあります。

しかし、必ずしも消えるわけではなく、ずっと残ってしまうこともあります。

特に、レックリングハウゼン病のような病気による痣の場合は、消える可能性は低いです。

カフェオレ斑を放置するリスクを教えてください。

これらの痣を放置すると、最悪の場合重い病気を発症している可能性があります。

レックリングハウゼン病やマッキューン・オルブライト症候群のような病気だけでなく、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。

悪性腫瘍がその一つです。

決して自然治癒するだろうと自己判断せずに、異変を感じた場合は、すぐに専門の医療機関に相談するようにしましょう。

最後に、読者へメッセージがあればお願いします。

カフェオレ斑は、子供のころから誰しも起こりうる痣です。

蒙古斑とは違うため驚くこともあるかもしれませんが、過剰に心配する必要はありません。

しかし、単なる痣ではなく、恐ろしい病気を発症している可能性もあります。

そのため、子供に痣が見られる場合には、定期的な受診をしながら成長を見守りましょう。

早めの受診が、早期発見につながり、治療も進められます。

編集部まとめ


カフェオレ斑は、身体のあらゆる部位に発症する可能性のある痣です。生まれて間もない頃から発症する場合もあり、注意深く見ておくと良いでしょう。

また、生後数ヶ月で現れた後、成長の過程で消えるケースもあります。一方で、消えない場合もあり、恐ろしい病気による痣の可能性もあります。

病気によるものであれば、さまざまな合併症を引き起こす可能性も高いです。決して自己判断で放置せず、異変を感じたら、すぐに専門の医療機関に相談しましょう。

参考文献

カフェオレ斑|medicalnote

マッキューン・オルブライト症候群の新しい遺伝子診断法を開発 |慶應義塾大学

難病と闘う女性「同じ境遇の人の支えに」患者会設立へ活動マッキューン・オルブライト症候群|産経新聞

レックリングハウゼン病|medicalnote

神経線維腫症Ⅰ型(指定難病34)|難病情報センター

神経線維腫症I型はどのように診断されるのでしょうか?|一般社団法人日本小児神経学会

茶アザにはどのようなものがあるのでしょうか?|皮膚科Q &A

扁平母斑|一般社団法人日本形成外科学会

茶色い痕がある?カフェオレ斑ってどんな病気?|ららぽーと横浜クリニック

体の部位アドバイス - 皮膚に関すること|ベネッセ 教育情報サイト

扁平母斑(カフェオレ・スポット)の治療|cosmetic-medicine

神経線維腫症Ⅰ型|神経皮膚疾患分野

神経線維腫症 1 型におけるカフェオレ斑の治療法の検討:
新しいレーザー治療のエビデンスと課題|厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)分担研究報告書