食い倒れ人形・駅の自動改札・おでんの屋台など手作りカートが万博記念公園の坂道を爆走した「Red Bull Box Cart Race Osaka 2022」レポート
©Suguru Saito / Red Bull Content Pool
エンジンやバッテリーなどの動力を持たない手作りカートで坂道を爆走する「ボックスカートレース」はエナジードリンクで知られるレッドブルによって2000年から世界中で開催されています。新型コロナウイルスの影響もあって3年ぶりの日本開催、さらに初の関西開催となる「Red Bull Box Cart Race Osaka 2022」が2022年10月22日(土)に大阪の万博記念公園で開催されたので、白熱と笑いに包まれた個性的過ぎるレースをじっくりと見てきました。
https://www.redbull.com/jp-ja/events/red-bull-soapbox-japan-2022
当日の会場の様子は以下の記事を読むとわかります。
重力と人力だけで進む手作りカートのレース「Red Bull Box Cart Race Osaka 2022」が3年ぶりに日本で開催されたので見てきたよレポート、会場はこんな感じ - GIGAZINE
会場に設置されたレースコースはこんな感じ。全長はおよそ340mです。
スタートはあらかじめ設置された高台の上。コース冒頭にかなりの傾斜がついていて、カートと操縦者の自重で加速する仕組みです。
Red Bull Box Cart Race Osaka 2022では、クリエイティビティ(カートの創造性)、レースタイム(スタートからゴールまでの走行時間)、そしてパフォーマンスという3つの審査基準の総合評価で順位が決まります。このパフォーマンスは出走前にスタートコーナーで、チーム全員で行う短いパフォーマンスのことで、大会でも大きく盛り上がるポイントの1つ。
©Jason Halayko / Red Bull Content Pool
スタートの横には審査員席があり、審査員が10点満点でパフォーマンスを評価します。
Red Bull Box Cart Race Osaka 2022の審査員は、吉本新喜劇の座長を務める芸人のすっちーさん、モデルのアンミカさんとマギーさん、スケートボード選手の四十住さくらさん、レーシングドライバーの笹原右京さんでした。
©Suguru Saito / Red Bull Content Pool
パフォーマンスが終わると、チームメンバーがカートを後ろから押してスタート。最初の坂でどれだけ加速できるかが重要です。押したチームメンバーがカートの後ろを必死に追いかける姿も見られます。
©Suguru Saito / Red Bull Content Pool
カートの坂を下ってすぐにあるのが、レッドブルのロゴが入った段差です。
この段差を越えてスピードを維持できるか、そして段差を超えた衝撃でカートが壊れないかというのが見どころの1つ。
©Jason Halayko / Red Bull Content Pool
ロンドンのボックスカート・レースでは、コースの壁に干し草を固めたブロックが使われていましたが、Red Bull Box Cart Race Osaka 2022では緩衝材にスダレが架かっていて、和風の雰囲気。
もちろんこの壁に衝突するとカートが大きく減速するだけでなく、衝撃によってはカートが壊れて走行に支障が出てしまうことも。カートの操縦者は2人まで乗ることができ、ハンドルや体重のかけ方を調整しながら加速・減速やカートの進行方向を制御する必要があります。
©Jason Halayko / Red Bull Content Pool
そして、竹林の中を突っ切るコースに設置されたのが、巨大な鳥居。
ちょうどこの鳥居をくぐり抜けた後の道は傾斜がかなり緩やかになっているので、カートはここで大きく減速してしまうことになります。時にはチームメンバースタッフが後ろから追いかけてきて、カートを再度後ろから押す場面もよくみられました。
©Suguru Saito / Red Bull Content Pool
その後に待ち構えているのは、ふぐと串カツとたこ焼きを模した3つの巨大なバルーン。
障害物を避けながら、コケないように進む必要があります。
©Jason Halayko / Red Bull Content Pool
ここまでのコースは比較的真っすぐだったのですが、ここで突然の急カーブ。
バンクには大阪城が描かれています。もちろんこのバンクを攻めてもOKで、石垣を模したバンクを爆走したカートには観客から大きな拍手が送られました。
©Jason Halayko / Red Bull Content Pool
さらに大阪城のバンクの後には、再び大きなバンク。
バンクには急な傾斜が付いているので、ここをうまく攻めると最後の加速が期待できますが、あまり攻めすぎると転倒の危険もあるので難しいところ。
©Suguru Saito / Red Bull Content Pool
最後のバンクを超えて、カーブを超えると……
©Jason Halayko / Red Bull Content Pool
ゴールが待ち構えています。
ゴールアーチを超えると、漫才コンビのガクテンソクがチェッカーフラッグを振ります。
ゴール前に設置された巨大な電光掲示板を見ながら、開幕時にテスト走行を務めたバンビーノからインタビューを受ける操縦者。
ゴールを後にする参加者には観客から暖かい拍手が送られました。
©Kunihisa Kobayashi / Red Bull Content Pool
3年ぶりの日本開催で、初の関西開催となった大阪大会ということで、当日は多くの芸人がカートレースに参加。以下は関西ローカル情報番組「せやねん!」のカート。操縦者はスマイルのウーイェイよしたかさんで、カートの前には番組レギュラーの顔写真が並んでいます。
チョロQの公式カートチームには、錦鯉が参加。
ジャルジャルは今レースにはチームプロデュースと自身が走るチームで参加。以下は操縦者としての参加で、映像ディレクター久地々(左、後藤)と夢なし大学生(右、福徳)という設定で走ったもの。
全44組のチームが走り終え、表彰式が始まりました。以下は審査員を務めたすっちーさん、アンミカさん、マギーさん、笹岡右京さん、四十住さくらさん。
最も見事なクラッシュを見せてくれたカートに贈られるBEST CRASH賞は、愛知県から来た「恐竜を唐揚げにして食べたい」チームが受賞。
恐竜を模した見事なカートでしたが、このスタート直後の段差を超えたところで上顎と下顎が吹っ飛んでしまい、会場の爆笑をさらいました。
©Kunihisa Kobayashi / Red Bull Content Pool
ゴールに着いた時にはこんな感じ。操縦者が手にしているのは走行中に吹き飛んだ恐竜の尻尾。
最も美しいカートに贈られるBEST BEAUTY賞を受賞したのはお祭り野郎チーム。
日本のお祭りの神輿(みこし)を見事なまでに再現したカートがこれ。画像ではわかりにくいですが、金色の部分が太陽の光を受けてキラキラと輝いていたのが非常に印象的でした。なお、天頂についている鳳凰(ほうおう)はドライバーの1人である女性です。
お祭り野郎チームの神輿カートを後ろから見たところ。
そして、途中にあるスピードメーターで最高速を叩き出したカートに贈られるMOST SPEED賞は、駒沢アイソレーションチーム。カートは骨組みむき出しの三輪車に豪華な椅子が設置されただけで、ものすごい速度でコースを駆け抜けていきました。豪華な椅子に座っていたのは、ホストのROLANDっぽい格好をした同乗者。
©Suguru Saito / Red Bull Content Pool
ゴール直前のバンクでは大きなバンクでは、あまりのスピードに曲がりきれず、柵にひっくり返って突き刺さるというミラクルが起こり、会場中が大爆笑。その後、スタッフの助けを借りて最後のコーナーを抜けてゴールしました。
©Kunihisa Kobayashi / Red Bull Content Pool
受賞者は表彰式で初めて発表されるため、駒沢アイソレーションに呼びかけますが、登場せず。どうやら柵に衝突したので念のため病院に向かったらしい、というアンミカさんからの情報により、賞の手渡しは後日ということになりました。
そして総合順位の発表。3位はチーム「S&Company」でした。
操縦者二人は食い倒れ人形を模したコスチュームに身を包み、カートを後ろから押すチームメンバーは2025年の関西万博メインキャラクターであるミャクミャク様の格好。スーパーカー型のカートはシルエットがかっこいいと、審査員でレーシングドライバーの笹原さんからも好評でした。
総合順位2位はチーム「飲酒と製作ズ」
レース前に撮影した「飲酒と製作ズ」のカートがこれ。おでんの屋台を忠実に再現したカートで、垂れ幕や提灯が設置されたほか、イスはビールケースでてきています。
しかし、このおでんの屋台の屋根はスタート直後に風圧と衝撃を受けて大破して落下。レース中にもどんどん外装がはがれていき……
©Jason Halayko / Red Bull Content Pool
ゴール直後はほとんど骨組みに。見事なクラッシュぶりだけではなく、操縦者2人が向かい合ってハンドルを引き合うという独特のスタイルも非常に個性的でした。
そしてRed Bull Box Cart Race Osaka 2022を制した総合順位1位のチームは「チームMATEX」でした。
「小型プレスメーカーのマテックス精工と征和工業からなる精鋭4名」で、カートにはその技能が存分に生かされているとのこと。カートのデザインは工具を模したもののようですが、スタート直後のパフォーマンスでは外装が剥がされ、先端にはドリルの代わりにトラの首が回る奇抜なデザインに変身。さらに操縦者もランドセルを背負ったタイガーマスクというシュールな雰囲気で、審査員が戸惑う場面も。しかし、そのスピードはかなりのもので、ものすごい勢いでレースを爆走しました。
表彰式終了後、お立ち台の上に立った3チームでシャンパンかけが行われました。