そう言われると、見た目も「エアバスっぽくない」気も…。

そもそもカナダ・ボンバルディアが開発

 ヨーロッパの航空機メーカー、エアバスが現在販売している旅客機のなかで、もっとも小型のシリーズ「A220」。いまから9年前の2013年9月16日に初飛行したこのA220は、エアバスの旅客機のなかでも一風変わった経緯をもつモデルです。


エアバスA220(画像:エアバス)。

 A220は100席から120席クラスの「A220-100」、120席から150席クラスでより大型の「A220-300」の2タイプで構成されています。A220は新設計の採用や搭載エンジンの影響で、従来機と比べて1席あたり25%の燃料削減、25%のCO2削減、50%の騒音影響範囲の削減が図られています。

 また、最大5.5度の急角度での着陸進入(通常は3度とされる)の認証を得ているほか、1500m程度の滑走路でも離着陸可能な性能であるなど、地方空港の幅広いニーズに応える機能を有しているのも特徴です。小型ながら、航続距離も約6300kmとなっており、東京からシンガポール程度の距離をノンストップで飛ぶことができます。

 このような新鋭機らしい機能を備えたA220ですが、実は開発はエアバスではありません。

 この機は、ANA(全日空)グループが運用するターボプロップ機「DHC8-Q400」や、仙台に本拠を構えるアイベックス・エアラインズが運用するリージョナルジェット「CRJ700」などを手掛けたカナダの航空機メーカー、ボンバルディアにより開発されました。開発当初の型式名ももちろんいまとは異なり、現「A220-100」が「CS100」、現「A220-300」が「CS300」とされていました。

ボンバルディア「CS100/300」が「A220」になるまで

 この機体に「A220」の名が授けられたのは2018年のこと。ボンバルディアはエアバスと業務提携をすることになり、モデル名が変更されました。この業務提携は、この機をラインナップに加えることで、当時もっとも小型の旅客機であった「A318/A319」の後継にできるエアバスと、デルタ航空からの大口契約をめぐりボーイングから機体の投げ売りについて提訴を受けるトラブルのさなかにあり、新たなパートナーを探していたボンバルディアの思惑が一致したものと報じられています。


エールフランス航空のエアバスA318(乗りものニュース編集部撮影)。

 そのため、ヨーロッパなどで開発製造されているほかのエアバス製旅客機と異なり、「A220」の開発・製造拠点はカナダのケベック州ミラベルに構えられているなど、他機とは違うユニークなポイントも多数あります。

 A220は2022年5月、アジア太平洋地域を巡る同型機のプロモーションツアーの一環で、初めて羽田空港に飛来。現在A220は700機以上の受注を獲得しているものの、日本の航空会社からの発注を受けていませんが、エアバスの担当者は「日本で運用をするにも最適な旅客機だ」と話します。

 離着陸に長い滑走路を必要としないA220の性能を活かせば、これまでプロペラ旅客機が主流だった地方空港を一変できる可能性をもつほか、その航続距離があれば、国内線の地方路線はもちろん、日本〜東南アジアの中距離国際線などに、リスクが少なく投入が可能であるとしています。