オーストラリア 完全電気のEV装甲車「ブッシュマスターePMV」発表 メリットは?
航続距離の短さなど、まだまだ課題はありそう。
防御力は既存のエンジンモデルと同等を確保
オーストラリア陸軍は2022年8月10日、国産の「ブッシュマスター」装甲車のEV(電気自動車)仕様である「ePMV」を発表しました。
「ePMV」とは「electric Protected Military Vehicle」の略ですが、「PMV」については従来のエンジン駆動モデルにも付与されていた名称で、日本語に訳すと「防護機動車両」となる単語です。
「ブッシュマスター」装甲車のEVモデルである「ePMV」。車体上部から上半身を出しているのは、オーストラリア国防省のマット・シスレスウェイト副大臣(画像:オーストラリア国防省)。
「ブッシュマスター」は、タレス・オーストラリアが製造する4WD仕様の装輪装甲車で、原型は車重が14.5tあり、出力330馬力を発揮する排気量7200ccの直列6気筒ターボ・ディーゼルを搭載しています。最高速度は100km/h、航続距離は800kmあり、優れた機動性と輸送力(操縦手1名のほかに9名収容)に加え、地雷や即席爆発装置(IED)、大砲の破片や小銃弾などに耐えられる防御力を持っているといいます。
今回発表されたePMVは、エンジンと燃料タンクがなくなり、モーターと充電池を搭載するようになったため車重が11tと軽くなっており、それに伴い航続距離も1回の充電で約100kmとなっています。なお説明によるとより大容量のバッテリーに換装することで、最大300km程度にまでなるそうです。
ペイロードは約4t、防御力は原型と同レベルを維持しているとのこと。なお発表に立ち会ったオーストラリア国防省のマット・シスレスウェイト副大臣によると、ePMVは、エンジン車と比べ静かに行動できる点がメリットであり、EV(電気自動車)の利点を戦場にもたらし、実用試験でその性能を発揮するのが楽しみだと述べています。
※一部修正しました(8月16日10時40分)。