橋でゴツンゴツンいわなくなった? 進む高架橋「無ジョイント化」ゼロにはできない?
橋と橋をつなぐ「ジョイント」部は、橋の構造を保つ重要な部位ですが、一部の高速道路でその数が減っています。これにより通過時の「ゴツンゴツン」という音も減ったものの、構造的には大丈夫なのでしょうか。
数が減っている橋の「ジョイント」
橋を通過する際、「ゴツン、ゴツン」という音と振動の原因になっているのが、「ジョイント」(伸縮装置)と呼ばれる部分です。橋桁と橋桁のつなぎ目などで、一般的には金属が露出しているため、滑りやすいことから二輪車には特に恐ろしいところといえるでしょう。
しかし、このジョイントが近年、高速道路では数を減らしています。
橋のジョイントの例(画像:写真AC)。
ジョイントは多くの場合、クシ形の部材どうしが、やや隙間を空けながら噛み合っています。なぜ隙間が設けられているかというと、温度変化などによる橋桁の伸縮を吸収するためで、これにより橋桁どうしが干渉することなく、構造を保つことができます。
そのジョイントを撤去し、橋桁を構造的につなげる工事が各所で進んでいます。たとえば阪神高速道路では、2022年までの直近5年間で200か所近くのジョイントを撤去したそう。
同社は、まとまった期間の通行止めを伴うリニューアル工事を各所で進めており、その際にジョイントレス化を積極的に行っています。「供用中のジョイント撤去は難しいため、通行止め工事ならでは」だといいます。
ジョイントレス化の理由は、走行環境の改善だけではありません。ジョイントが損傷すると、漏水により橋内部の腐食につながることもあるため、構造物の長寿命化や耐震性の向上、維持管理の省力化も考えての改修です。
“縦目地”にもメス
ジョイントは進行方向に対して垂直に交わる横方向のものだけではありません。進行方向に並行の“縦目地”と呼ばれるものもあります。
阪神高速道路によると、縦目地のジョイントは、「横から橋桁をつないでいる箇所」に見られるそう。たとえば、本線の高架橋にもう1車線分の橋桁をつなげて拡幅した箇所や、ランプ橋がつながる一部出入口の分合流部、料金所の前後で幅が広がる箇所などです。
2022年6月からは、西船場JCTの1号環状線→16号大阪港線合流部で本線を拡幅した箇所にある縦目地ジョイントを撤去する工事のため、2年間の車線規制が始まりました。この縦目地、ライダーにとっては特に怖いポイントだったためか、歓迎する声がSNSなどで寄せられました。
最新のジョイントの例。滑り止めが施されている(中島洋平撮影)。
とはいえ、縦目地も含め、ジョイントには撤去できるところと、できないところがあるといいます。たとえば、つないでいる橋桁の周囲(鋼製かコンクリート製か、など)が同じで、高さも同程度、かつ直線であることなど、一定の条件でジョイントレス化が可能だそうです。
阪神高速に限らず、なくせないジョイントには、滑り止めを施すなどの改良も進められています。