「大和トンネルを先頭に」ではなくなった? 東名の渋滞ポイント 拡幅でどう変わったのか
東名高速の「大和トンネルを先頭に●km」という渋滞情報の定番フレーズが、あまり聞かれなくなりました。悪名高い渋滞ポイントが拡幅されて1年、どう変わったでしょうか。
東名の渋滞ポイント変わったの?
2022年のお盆も、全国の高速道路で激しい渋滞が予想されています。NEXCO中日本管内で発生する最も長い渋滞は、8月14日(日)、東名高速上り線の神奈川県内で最大50kmとされています。
ただこの渋滞の発生箇所、「綾瀬スマートIC付近」とされています。例年であれば、その近くの「大和トンネル付近」とされていたことでしょう。
拡幅工事前の大和トンネル(画像:NEXCO中日本)。
綾瀬スマートICは2021年3月に開通。それから1年ほどのあいだに、ラジオの渋滞情報などでも、「大和トンネル付近を先頭に」という表現から、「綾瀬スマートIC付近を先頭に」との言葉を多く聞くようになりました。
渋滞のポイントが変化したのでしょうか。NEXCO中日本東京支社に聞いたところ、「大和トンネルの付近に(綾瀬スマート)ICができたので、そちらの名称を使っています」とのこと。
大和トンネルの渋滞は、トンネル付近のサグ(下り坂から上り坂へ変わる箇所)での速度低下が大きな要因です。実態としては、渋滞の先頭が「綾瀬スマートIC付近」というのも、「大和トンネル付近」とニュアンスは同じだそうです。
拡幅された大和トンネル 実際どう変わった?
しかしながら、大和トンネルを含む前後区間は2021年7月に拡幅され、上下1車線ずつの付加車線を追加した片側4車線運用になっています。この拡幅事業は大和トンネル付近の渋滞緩和のために行われたものです。
実際、渋滞の状況はどう変化したのでしょうか。
NEXCO中日本東京支社は、「渋滞の回数は減少しています」としつつも、「その要因は今後分析していきます」と回答しました。
現在の上り線は、海老名SAの合流車線から続く付加車線が綾瀬スマートIC付近でいったん途切れ、そこから約1km先で、再び左側に付加車線が現れて、トンネルの先まで続きます。この“再び現れる”付加車線が2021年7月に開通した箇所です。
大和トンネル付近を先頭にした渋滞は、トンネル前後の上り勾配で速度が低下し、交通量が多い区間であるために、渋滞が伸長する傾向があります。加えて、海老名JCTや厚木ICからの合流など、複数の要因が加わり、冒頭で紹介したように50kmも伸びてしまう――その根本の要因が大和トンネルにあると考えられています。
そこで、大和トンネルの交通容量を広げて流れをスムーズにするのが拡幅の目的。さらにこれを横浜町田IC付近まで延伸させる事業も進行中です。
付加車線設置の概要(画像:NEXCO中日本)。
ただ、トンネル前後の付加車線が開通した直後に走行した際は、付加車線が空いているにも関わらず、あえて移るクルマが少なかった印象でした。
NEXCO中日本東京支社は、付近の跨道橋に横断幕で「付加車線運用中」と掲示するほか、LEDの道路情報板などでも、その存在を周知しているといいます。2022年のお盆も、相変わらず50kmもの渋滞になるのでしょうか。それとも、付加車線の効果で緩和されるのでしょうか。