ウエスタンデジタルが、サンディスクブランドのSDカード「エクストリームプロ」シリーズのUHS-I製品を発表した。8月12日から販売が開始される。

「エクストリームプロ」シリーズのUHS-I対応新製品(512GBモデル)。仕様上のデータ転送速度は読み出し200MB/秒、書き込み最大140MB/秒だ

○サンディスクSDカードの定番フラグシップ

エクストリームプロシリーズのSDカードは、同社製SDカードのフラグシップとして絶大なる信頼性と高速性をプロフェッショナルユーザーに提供してきた。まさに業務用メモリカードの定番中の定番ブランドで、個人的にも愛着があり、お世話になってきた。

このシリーズの製品は、UHS-I規格のものとUHS-IIのものがあり、容量によってその対応が異なる点に注意が必要だ。

今のところ32GB、64GB、128GB、256GBが端子の追加されたUHS-II対応だが、今回発売される512GBと1TBの製品についてはUHS-Iとなっている。同社は、UHSについてはかなり慎重だということがよくわかる。このあたりはキオクシアなども同様の方針のようだ。

○エクストリームプロ向けカードリーダーも登場

このカードの興味深いところは、SanDisk QuickFlowテクノロジーを搭載し、パフォーマンスを最適化することで、最大200MB/秒の高速転送速度を実現している点だ。

同社のSDカードリーダー「SanDisk Professional PRO-READER SD and microSD」に装着して読み書きすることで、この最大速度を発揮できるという。

サンディスクのSDカードリーダー「SanDisk Professional PRO-READER SD and microSD」に差し込んでみる

カタログスペックとしては、読み出し最大200MB/秒、書き込み最大140MB/秒の高速データ転送ができるとされている。スチル、ビデオカメラなどにカードを装着しての撮影時には、安定して信頼度の高い書き込みができればそれでいいのだが、撮影が終われば、素材としてコンピューターのストレージにデータをコピーして各種の処理を行うことになる。

その読み書きの速度が速すぎて困ることはない。何しろ、コンピューターのSSDストレージは、NVMe M.2 SSDなどで、すでに6〜7GB/秒クラスの製品も珍しくはないのだ。

○公称値超えの転送速度を見せつけてきた

「SanDisk Professional PRO-READER SD and microSD」は、USB 3.2 Gen1に対応するポートを搭載し、データ転送速度は500MB/秒だ。UHS-Iカードのパフォーマンスを最適化し、UHS-I規格を超えたスピードでの読み書き速度を実現する。逆にいうと、SDメモリーカードの速度はその程度の帯域でまかなえるものであり、8Kビデオの撮影などでも困らない。

だからこそ、撮影時よりも撮影後のデータの取り回しが高速にできることのほうが重要だ。それに、撮影時の高速性が必要なら、SDカードよりも、CFexpressなどの、さらに高速なフォームファクタのカードを選ぶほうががよさそうだし、撮影デバイスも、それができるような仕様になっているはずだ。

新しい「エクストリームプロ」UHS-I SDカードは、専用カードリーダーを使えば読み出し最大200MB/秒、書き込み最大140MB/秒の高速データ転送というのがカタログスペックだが、実際に、このカードリーダーに新カードを装着してベンチマークをとってみると、シーケンシャルリードとライトできちんとこの速度が出ることがわかった。話半分くらいのつもりで試してみたら、本当にそうだった。

「SanDisk Professional PRO-READER SD and microSD」と組み合わせた際のCrystalDiskMark 8.0.4の値

○10年後もSDカードのニーズは残るだろう

SD規格は1999年夏に、パナソニック、サンディスク、東芝によるSDグループによって開発、発表された規格だ。翌年の2000年にはSDアソシエーションが設立されている。

今から22年前のことで、意外に新しい規格だ。SD規格はメモリーカード規格のメインストリームとして今日までの間、その主流の座を維持してきた。高速なSD Expressや大容量のSDUCといった新規格も発表されている。

ただ、高速大容量の規格のためのフォームファクタとしての現在のSDカードは現役をそろそろ引退しようとしているのではないかというイメージもある。ただ、ニーズそのものはこれから10年たっても堂々と残っているだろう。

だからこそ、エクストリームプロシリーズに加え、エクストリームプラスシリーズや、エクストリームシリーズまで、各シリーズともにスピードアップが実現された製品群がお目見えした今回のサンディスクの発表には、SD規格の生みの親がほどこす手厚さが感じられ、20年以上SDカードのお世話になってきた世代としては、ちょっと感慨深いものがある。