新品タイヤの皮剝きメソッド【ライドナレッジ060】(ピックアップ)
なぜ新品は滑りやすいのか?
ツーリングスポーツのカテゴリーでグリップと安定性で信頼されているミシュラン・ロード6
タイヤを新品に交換すると、最初は滑りやすいのでタイヤの表面が剥けるまで徐々に慣らしながら走るよう、注意を受けることがある。
いわゆるタイヤの皮剝きだが、それって何キロまで?どうやったら剥けるの?など色々わかりにくいことだらけだ。
昔は新品タイヤに成形するための金型から抜き取りやすいよう塗ってある離型剤が表面に残っていて、これが滑りやすく呆気なくスリップして転ぶことが少なくなかった。ただ最近では金型の材質から進化して離型剤は僅かで基本は拭き取ってあるのと、タイヤショップも脱脂するのでこれが原因ということはなくなってきた。
試しに路面に接する新品タイヤのトレッドを手で触ってみても、ツルツルした感触はないはずだ。
では皮剝きとはどうなることを指すのか。それは出荷時の平滑な表面では、路面の小さな凸凹やうねった状態などに追従しきれないからだ。わかりやすくいえば、浴槽や食器洗いの芯材となっているスポンジのように、空洞と繊維状で構成された変形しやすい状態になることが先決。
見た目には鑢(やすり)で表面を擦ったような跡ができれば、以後は通常の温度などのウォームアップで走行に支障はなくなる。
また内部のカーカスといって、プロファイル(断面)を形成するための構造材となっている繊維類も、走ることで回転しながら変形して揉まれることでしなやかに路面追従できるようになっていく。
トレッドにこんな感じで路面と馴染んだ跡がつけば皮剝きは終了
ではタイヤの皮剥きの方法はというと、急のつく動作を控えつつ、しかしあまりに用心してそうっとを続けていると表面が剝けない。加速も減速も弱→強へジワッと変化させて、凹ませる或いは揉むように荷重を増やしながら、数百メートル~長くても1キロも走れば事足りる。
それでは直線だけなので、タイヤの両端がまだ触っていない状態が残っていて不安では?という声が聞こえてきそうだが、荷重の中心が路面と接した後ならば、そこより外側はタイヤが凹んで接地する領域なのでまず問題はない。逆にスラロームしても荷重はほとんどない状態なので、皮剝きにはならない。
もちろん新品でなくても、ワインディングでのコーナリングには予め暖めるなどウォームアップが必要なのはいうまでもない。
一通りの慣らしを終えたら確認して欲しいのがタイヤの空気圧。新品なのにもう確認?と思われるかもだが、荷重をかけられ撓んだ後のトレッドは伸び、タイヤの容積が増える分空気圧は減ってくる。1日後にでも空気圧は再度チェックして適性圧にしておこう。