※この記事は2017年06月28日にBLOGOSで公開されたものです

28日、東芝の定時株主総会が幕張メッセで開かれ、会場には多くの株主と報道陣が詰めかけた。決算報告や有価証券報告書の提出が遅れるという、異例の事態の中での株主総会となった。

株主総会は東証2部降格などに対する綱川社長の陳謝で幕を開けた。謝罪にあわせ、壇上の役員も全員起立し頭を下げる。ヤジを投げかけることこそなかったものの、株主たちは険しい表情で役員を迎えた。

綱川社長は17年3月期の連結業績の見通しについて述べたあと、注目される半導体メモリー事業の売却については、本年度中の売却完了を目指すと強調した。

報告が終わり、質疑応答が始まると、株主からは厳しい言葉が相次いだ。

「上が変わらなければ企業風土は変わらない」
「三流会社に成り下がった危機感がない」
「一度上場廃止をしたほうがいいのでは」
「経営陣は仲良しクラブか」

追及の声が起こるたび、場内に拍手が鳴り響く。役員は時折汗を拭きながら、謝罪を繰り返した。さらに、株主の追及は役員の移動手段にまで及んだ。

「役員は今の状況でも公用車の使用やグリーン車、ビジネスクラスなどを使っているのか」

この質問に対しては綱川社長も少し驚いたのか「遠方ではビジネスクラスを使い、車はセキュリティのために公用車を使用するが全体的には減っている。この件はこれ以上控えたい」と濁すように答えた。しかし、この質問の後には「公用車で移動するべきだ」と意見する株主もいた。

株主からは、原発事業からの撤退を求める声もあがった。ある株主は「原子力発電事業は世界のトレンドからずれている」と訴えた。また「なぜ失敗した原子力事業を続けるのか」との指摘もみられた。

最後に、綱川社長が「一昨年と同じく決算報告ができずに申し訳ない」と謝罪し、3時間に及ぶ株主総会は閉会した。

厳しい言葉がほとんどの株主総会とはなったが、「みんな東芝を愛している」という言葉を投げかける株主もいた。東芝は株主からの愛に答えることができるのだろうか。

【取材・文:河邑俊輝】