※この記事は2017年06月22日にBLOGOSで公開されたものです

   東京・調布市仙川町2丁目の交差点で元SMAPの木村拓哉の運転する大型外国車「ハマー」が20日、信号待ちしていたバイクに追突すると言う事故が起こった。その弾みでバイクは前方の乗用車に激突する、いわゆる玉突き事故になった。もっとも、けが人がなかったのが不幸中の幸いだったかもしれないが、警察の調べに木村は「考え事をしていて、ブレーキを緩めてしまった」と説明したと言う。

 何の考え事をしていたのが気になるところではあるが、その事故の2日前には、今年9月の契約更新を前に元SMAPメンバーの香取慎吾、草磲剛、稲垣吾郎が独立を表明、当初は独立が噂されていた中居正広は木村と共にジャニーズ事務所に残留することが発表された。

中居正広の"ジャニーズ残留"に衝撃

 香取、草磲、稲垣の独立と、木村の残留は当初から予想されていた動きだったので驚くことではなかった。が、しかし〝独立派〟の当然、一人だと思われていた中居の残留には正直言って驚かされた。

 言うまでもなく、SMAPについては連日競うように報じられている。SNSなどの普及もあって今や芸能の専門家以上に普通の人の方が詳しかったりする。文字通り「1億総コメンテーター」といったところか。しかも、芸能の専門家なんかより余計なしがらみがない分、真実に近いことを語ってくれるかもしれない。

 とは言いつつも、10月以降の動きについては、人によって見解に相違がある。とにかく不透明な部分が多いのも確かだ。現時点では「おそらく」と言う〝推測〟でしかないだろうが、今後の流れについて筆者なりの〝見立て〟を語ってみたい。

 まず、SMAPで必ず登場してくるのはマネジャーのI女史である。I女史はメンバーから頼られていたが、中でも木村、香取、草磲に対しては別格だったと言われる。それだけに、木村が歌手の工藤静香と結婚する際、I女史は大反対だった。

 そこで、工藤はメリー喜多川副社長に頼り、結婚にこぎつけたわけだが、現実としてはI女史の不安が的中、SMAPの人気は大きく下落したと言われている。そういった苦い経験もあったのだろうか、メンバーを管理していく上で他メンバーの結婚はタブーになった感じだった(一番悔しい思いをしたのは、あるいは稲垣吾郎だったのかもしれないが…)。

 ところで今回、独立解散劇が勃発して大きな話題になったが、実は、木村が結婚する前にも解散独立のウワサがあった。SMAPの解散で、I女史が木村と独立するのでは…というものだった。だが、その一方で「解散しても中居はジャニーズに残る」とも言われていた。中居自身の気持ちの中では、ずっとジャニーズから離れる気はなかったのかもしれない。言うまでもなく中居の司会センスは天才的だし、例えSMAPを離れたとしても十分にやっていくだけの才能があった。

 そこでジャニーズの内情に詳しい記者が言う。

 「中居というのは、基本的にジャニー喜多川社長のことが大好きなんです。ジャニー社長も中居を可愛がってきた。ただ、今回の騒動では、中居も独立することを前提に動いていたし、彼は彼なりに考えたと思いますよ、だけど、最終的にはジャニー社長の説得に応じたというか、ジャニー社長を裏切ることができなかったのでは。もちろん残留を決意するにあたっては、他のメンバーのことも考えたはずです。自分が残っていればって。もともと、彼はグループの解散には慎重でした。そういった意味で考えるとSMAPの再結成を彼なりに模索しているのかもしれません。ただ、それも実は、お世話になったジャニー社長への恩返しなのでしょうけど」。

  もちろん、真相は分からないが…。

独立組の香取、草磲、稲垣はどうなる?

 では、独立していく香取、草磲、稲垣はどうか?

 3人は、I女史の設立した事務所に入ることは間違いないだろう。

 I女史は、総合免税店「ラオックス」の傘下にプロダクションを設立している。日本のソフトビジネスを中国に広げようとしているのだろう。その一つがネット事業になるのだが、市場はもちろん中国圏であることは間違いない。これまで、ジャニーズはネットを使った事業を展開してこなかった。そう言った中で、I女史はコンテンツ事業への参入をメインに考えているに違いない。実際に、ドラマで交流を深めてきた脚本家の野島伸司氏とも連絡を取り合っていたと言う噂がある。この部分に関しては今後、機会があったら語りたい。

 しかし、ここにきて中国ばかりがクローズアップされているが、もちろん国内での展開も考えてきているはずである。

 2年前の2015年。SMAPは番組70周年を迎えた「NHKのど自慢」に初めて出演したことがあった。異例の生出演だった。メンバーは「のど自慢」のPRも積極的に務めた。要するに、SMAPはNHKに大貢献したことになるが、番組への出演を引き受けたのはI女史の判断だったことは確かだ。しかし、それは今から考えると、独立後を考えての巧妙な戦略だったのだろう。

 SMAPの「のど自慢」出演は大きな話題となった。業界内では「受信料支払いキャンペーンへの協力」とか「紅白の司会狙い」など、さまざまな憶測が出たほどだった。もちろん、そう言った部分もあったかもしれない。が、実際には独立した後のことを考えての行動だったと思われる。さらに言うなら先々のことを計算しての駆け引きだった…。

 理由は単純だ。ジャニーズを独立したらメディアの出演は当然、激減する。特に、民放への出演は厳しくなるはずだ。だが、NHKに関しては、そういった部分でのダメージは少ない。

 他にも理由がある。今、テレビ局各局は経費削減が急務となっている。中でも制作費はどんどん削られている。その場合、真っ先に影響を受けるのがギャラ。このことはタレントを抱える芸能プロダクションにとっては深刻さを増す要因になっている。

 ところが、制作費の削減にイケイケの民放に対して比較的に安定しているのがNHKだと言われている。「民放に比べたら…」と言う時代もあっただろうが、今は違う。NHKを相手にしていた方が賢いのである。マネジメントに詳しいI女史のこと、独立後のことを考えたら、NHKとの関係を深めておくことが得策だと考えたはずだ。

 もっとも、昨年来の騒動でI女史の計算は狂ったことも確かだろう。が、基本的な方向性は変わっていないはずである。ただ、ここまで来ると運の強さもある。3人の独立に際して、ジャニー喜多川社長が異例のコメントまで出したインパクトは大きかった。本来なら独立した3人のレギュラー番組は終了となるだろうが、すでに、NHKは「ブラタモリ」でナレーションを務める草磲は継続を明らかにしている。この流れで民放各局も継続に向けて検討していく可能性がある。

 よくも悪くも、ここまでSMAPを取り巻く状況や実態が晒されてしまっている以上、ジャニーズはもちろんテレビ局やスポンサーもファンの声を無視することは出来ないだろう。特に世間的には「メンバーが虐められている」と見られていることが事態を複雑にしている。

 それぞれ思惑や考え動きがあるだろう。だけど、今やジャニーズへの残留を決意した中居が、そのカギを握っているような気がしてならない。