※この記事は2017年06月07日にBLOGOSで公開されたものです

俳優の橋爪遼の覚醒剤逮捕が芸能界に波紋を巻き起こしている。

俳優・橋爪功の息子が覚せい剤で逮捕

名字からも分かる通り、父親は名優・橋爪功。世に言う典型的な「二世タレント」である。業界内からは「また、二世の犯罪かよ」と言った声まで出た。

それにしても、良くも悪くも「親の名を汚すバカ息子」が絶えないことを実感するような事件となった。

思い起こせば、薬物では名優だった若山富三郎さんの息子・若山騎一郎や藤田まことさんの息子・藤田知樹、さらに俳優で歌手の中村雅俊の息子・中村俊太、歌手だったヒデとロザンナの息子・加藤来門。他にも元チェッカーズの竹内享の息子2人が大麻、さらに女優の大空真弓の長男に至っては3度も逮捕されている。

薬物以外でも、司会者でタレントのみのもんたの次男・御法川雄斗は窃盗未遂、女優の高畑淳子の長男・高畑裕太は強姦致傷容疑で逮捕(示談成立で不起訴処分)されたのは記憶に新しいところ。挙げたらキリがないほどだが、二世の事件では親の方が、その後の処理に引っ張り回されている。

もちろん、二世だからと言って、全員が悪いと言うわけではない。が、どうしても父親や母親が偉大なほど目立つものである。しかし、総じて二世タレントには「札付き」が多いように思う。

もっとも、それは芸能界ばかりではない。政界の二世なんかも似たり寄ったりだ。かつて、俳優の押尾学がMDMAの使用で逮捕された時は、取材していると大物政治家の息子の名前がポンポン出てきたものである。素行が悪い。

結局は親の育て方の問題だろう。家庭教育がなっていないのだ。

もちろん決めつけられはしないが、何不自由なく育てられ…。もしかしたら小さい頃は俳優、女優、タレントの息子だからとイジメに合うようなこともあったかもしれない。が、だいたいは親のプライドもあって、有名幼稚園から小学校、高校、本人に、その気さえあれば大学にだって進学出来る。

もちろん就職だってテレビ局や大手広告代店なんかに、(ちょっとくらいデキが悪くても)親のツルの一声で入ることが出来る。芸能界に入っても親の顔だ。オマケに何かとチヤホヤされる。多少の苦労や悩みがあっても、金に苦労することもなく…。ま、何かと世間、一般の感覚とはかけ離れているのが二世なのかもしれない。

ただ、最近、二世と言われる中でも、歌手・松田聖子の愛娘・神田沙也加には感心したのは事実。

沙也加の父は離婚したとは言っても現役の俳優でタレントの神田正輝である。思い起こせば聖子と正輝の結婚の時は〝世紀(聖輝)の結婚〟と言われ、それこそ社会現象化したほどだ。

そんな母親と父親の一人娘だったら、まさに〝一四光り〟。鬼に金棒である。ところが、そんな親の〝光り〟を一切借りず自らの実力で道を切り開き、ミュージカル女優として立派に自立、成長してきた。しかも、あの母親が嫉妬するほどに…。

そこには、親ではなく演出家の宮本亜門や舞台で共演した大地真央らの支えもあったらしい。正直に言って、彼女は本当に苦労してきたと思うが、今更ながら「大したもの」だと思う。多くの二世タレントは彼女の生き方を学んで、親から自立すべきである。

それはさておき話は橋爪遼である。

別の男の捜査から…

今回の覚醒剤逮捕。「埼玉県内で覚醒剤を所持していて警視庁築地署に逮捕された」と言うのだが、当初は実業が掴めなかった。そこで、ある情報筋に聞いた。すると、どうやら遼と一緒にいた男の捜査から発覚したというのである。

発覚のキッカケは「覚醒剤を所持している40代男性がいる」という〝情報〟を得た築地署の捜査員が埼玉県内にある共同住宅に踏み込んだことだった。そこに居合わせたのが遼だった。要は「飛んで火に入る夏の虫」というわけだ。

実は、こう言ったケースはたまにある。昨年の暮れに〝のりピー〟こと酒井法子の元夫、高相祐一容疑者が「医薬品医療機器法(旧薬事法)」違反で警視庁組織犯罪対策5課に逮捕された一件もそうだった。

高相容疑者は、たまたま捜査員が入った東京・渋谷のマンションにいた。そこで所持品を調べたところ「危険ドラック」を所持していたという。ま、本人にとっては「運が悪かった」程度にしか思わないだろうが…。

遼の場合も同じ。捜査員が所持品を調べたところ覚醒剤が出てきた。

「これは何だ」
という問いに、遼は素直に
「覚醒剤です」
と答えたというのだ。

そこで、築地署は「覚醒剤取締法違反(所持)」の容疑で現行犯逮捕。その後、尿検査をしたところ「陽性反応」だったことも明らかになっている。「もはやこれまで…」と思ったのか、「使っていました」。事情聴取では素直に供述しているという。容疑が固まり次第「使用」でも再逮捕となる。

こういった事態に、所属事務所は遼を解雇処分とし、即刻契約を解除した。実に行動は早い。ただ、事務所は切ってしまえば「関係ない」と言えても、親子の縁は切るわけにはいかない。父親の橋爪功はマスコミからの取材攻撃に「何が何だか分からない」と答えるのが精一杯だ。

功にとって、遼が〝愚息〟だったかどうかは分からないが、親としては、「そんなはずない」と信じきっていたに違いない。当然だろう。そう考えたら功のショックの大きさは計り知れないが。

30歳息子の責任は親もとるべきか

で、気になるのは、父親である功の今後の俳優活動である。

親である以上は「自粛」すべきか、あるいは、ここは息子だけの責任にして、父親としては「謝罪」だけでいいのか?

世論の多くは「自粛の必要ない」「30歳になった息子の責任まで…」などと、父親の功を擁護する声が高まっている。

もしかしたら、そうなのかもしれない。しかし、私は、ここは敢えて親としての責任は取るべきと考える。

確かに、遼は30歳。社会的にも立派な成人男性である。

先週3日のTBS「新・情報7days」で北野武(ビートたけし)は「父親に責任はない」と言い放っていた。だけど、いくら30歳とは言っても、現実的には息子のしでかしたことである、何と言っても社会的影響も大きい。だとしたら少なからず親としても責任は取るべきだろうと思う。

遼は、そもそも数年前にも薬物疑惑が報じられたことがあった。だとしたら、少なくとも「信じられない」と言ってしまうのは無責任である。しかも同じ屋根の下で暮らしていたことも考えたら…。やっぱり、己の立場も考えたら息子の万が一も頭の片隅に入れておくべきだろう。

今後の捜査は薬物の入手経路、常習性、交友関係へと広がっていくことになるし、だとすると事件のなりゆきは正直言って不透明だ。

いずれにしても親として、ここは事の重大さを遼自身に分からせなければならない。そう考えたら、やはり父親として苦渋の選択をしなければならないだろう。

とは言っても、功が出演している映画「家族はつらいよ2」は公開されたばかり。妙に皮肉にも思えるところがタイミングだが、中止は出来ないだろう。

その他、「やすらぎの郷」(テレビ朝日)など既に収録済の番組、あるいは収録途中のものも多いだろうし、現場に与える影響も大きい。そう言った意味では考慮しなければならないが、ここは納得できるどこかで親としてのケジメは必要だろうと思う。