【ダイジェスト】憲法改正をめぐって与野党代表の議論が白熱!ネット党首討論が開催 - BLOGOS編集部
※この記事は2016年06月19日にBLOGOSで公開されたものです
6月19日(日)20:00より、東京・六本木のニコファーレにて、参院選2016「ネット党首討論」を開催される。この企画は、ネット事業者10社によるネット選挙応援プロジェクト「わっしょい!ネット選挙」による共同企画の一環となっている。
安倍自民党総裁をはじめ、各党からは代表クラスが出演者し、司会は社会学者の古市憲寿氏、進行はフリーアナウンサーの馬場典子氏が務めた。
討論中には、古市氏が生活の党と山本太郎となかまたちの小沢一郎共同代表に「僕、できれば再婚相手見つかったか聞いてみたいんですけど」と話を振り、小沢氏が「党首討論に関係ない」と不快感を露わにする一幕も。
その後、古市氏が「…これ読んだ方がいいんですか?この通り読めばいいの?"先ほど小沢代表に対しまして、大変失礼な発言をいたしました。発言を撤回し心よりお詫び申し上げます。」とスタッフから渡された"お詫び文"を読み上げ、「でも政策ってのはやっぱりマニフェスト読んでも判るじゃないですか。こういう場っていうのは人柄を見ることが醍醐味だと思うんですよね。聞き方は失礼だったかもしれないけど人柄を知りたかった。小沢さんが最近何をしているのかなって」と釈明した。
それに対し小沢氏が「こういう場でそういうことを言うなんておかしい。そんなことと党首討論は関係ない」と再び不快感を示すと、古市氏が「だから今お詫びしています」と反論。小沢氏は「お詫びするならお詫びらしくきちんとしなさいそんな言い草ないでしょう!」と怒り、会場は一瞬緊張感に包まれた。
各党の経済政策に関する主張
まず、経済をテーマに各党が2分ごとにスピーチを行った。自由民主党
自由民主党の安倍晋三総裁は、「40兆円の税収を取り戻した」「雇用は110万人増えた」「47都道府県すべてで有効求人倍率が1倍以上」「パートを含めた賃上げの実現」といった例を挙げて、アベノミクスの成果を強調した。一方で、効果を実感できてない人もいることから、「アベノミクスは道半ば」だとし、よりギアを挙げていくべきだと主張した。その上で、アベノミクスで得た果実を子育て・介護・奨学金といった社会保障にあて、「成長と分配の好循環を回しながら、みなさんにもっと『景気がよくなった』と実感していただける社会を作っていきたい」と述べた。
民進党
民進党の岡田克也代表は「総理は、自分の“都合のいい”数字を挙げている」とし、「実質所得の低下」「消費の低迷」「国民の8割が景気回復を実感していない」などの点を指摘したまた、金融政策の効果を認めつつも、構造改革が進んでないことに批判的に言及。金融政策による円安誘導も限界を迎えており、「アベノミクスは行き詰っている」と批判した。
その上で、格差の拡大が進んでいることから「成長と分配の両立」が必要だと主張。社会保障や貧困対策を行うことで「安心して消費できる環境」をつくることが重要性だと説いた。
公明党
公明党の山口那津男代表は、高校・大学生の就職率、賃金が改善していることをあげ、安倍総理の主張をフォローした。さらに、大企業のみならず、中小企業でも賃上げが起きており、税収増が実現していると強調。アベノミクスの成果を実感できていない部分にも分配して、「成長と分配の好循環を実現していく」と話した。日本共産党
日本共産党の志位和夫委員長は、「アベノミクスの失敗ははっきりした」と主張。大企業が最高益を挙げる一方で、実質賃金、個人消費が低下していることを指摘した。志位氏は、アベノミクスをやめて格差を正すために、「税金の集め方」「税金の使い方」「働き方」の3つの「Change」を実現すべきだとした。具体的には消費増税を中止し、富裕層や大企業に応分の負担を求め、財源とすべきとすると当時に、子育てや奨学金などの社会保障に回すべきだとした。
おおさか維新の会
おおさか維新の会の松井一郎代表は、金融緩和については肯定的に評価しながらも、財政政策、規制緩和が不十分だったと主張。また、消費税については凍結すべきだと指摘。その分の社会保障財源については、“身を切る改革”として議員報酬、公務員数の削減を提言した。社会民主党
社会民主党の吉田忠智党首は、経済政策を「トリクルダウンではボトムアップだ」とし、地域別最低賃金の引き上げ、中小企業への支援、同一労働同一賃金などの必要性を主張した。また、消費税については、引き上げるべきではないとし、不公平税制を是正することで社会保障にあてるべきだと話した。生活の党と山本太郎となかまたち
生活の党と山本太郎となかまたちの小沢一郎代表は、実質所得の減少やエンゲル係数の上昇を指摘し、「アベノミクスのもとで国民生活は苦しくなっている」と述べた。景気回復の条件として、個人消費の回復が必要だと主張。そのためにこそ、雇用や社会保障政策を重要視すべきだと述べた。日本のこころを大切にする党
日本のこころを大切にする党の中山恭子代表は消費増税について、「所得が倍増するぐらいまで凍結すべきだ」と述べた。また、「公共工事は決して悪ではない」として、景気回復のために積極的な財政政策を行うべきだと主張。そのために、老朽化したインフラをアップデートすることの重要性をアピールした。新党改革
新党改革の荒井広幸代表は、アベノミクスの成果を認めつつ、今後は格差対策に力をいれるべきだと主張。また、自らを「提案型の政党」であると強調。他の野党の主張について、「悪い、失敗だというばかりで景気が悪くて喜んでいるように私には受け取れる」と話した。経済政策についての討論
各党のスピーチの後に挙手制(1回の発言は30秒)で討論が行われた。
討論では、給付型奨学金など社会保障の財源についての議論や労働法制について、与野党間で白熱した議論が行った。
一方で、おおさか維新の松井氏から、民進の岡田氏に対して社会保障財源を赤字国債とすることや、民主党時代の行財政改革が不十分だったのではないか、との指摘があった。
各党の憲法に関する主張
続いて、民進党の岡田氏から順番に各党が憲法についての見解を述べた。岡田氏は「日本国憲法の『平和主義』が侵されているとして、大きな危機感を持っている」と主張。自民党の改正草案について、「集団的自衛権の行使を限定なくできる国」にするものだと指摘すると同時に、安倍首相が憲法改正の“争点化”を避けていると話した。
一方で、憲法改正の議論そのものについては「やぶさかではない」としたが、「与党が数の力で押し切ろうとする姿勢を示し続ける限り、よほど慎重にやらねばならない」と述べた。
山口氏は、公明党の憲法に対する見解を、「現在の憲法は基本的によいものだ」という前提に、新たに形成された価値を加える「加憲」という立場をとっていると説明。ただ、憲法については、国会で議論すべきものであるにもかからわらず、現状では、国民に問いかけるほど議論が成熟していないと話し、国会内でより議論すべきだと主張した。
共産党の志位氏は、まず安保法制の廃止を主張。あわせて、安倍政権が憲法解釈を変更したことについて「立憲主義の破壊」だと述べた。
また、自民党の改憲案については、「国家権力を縛るのではなく、国民を縛り付けるもの」だとし、 「これを許してよいかどうかは今度の選挙の大争点」だと主張した。
おおさか維新の松井氏は、憲法改正すべき点として、9条以外にも、国と地方の統治機構改革、教育無償化などがあると指摘。東京への一極集中を是正するためにも、憲法改正によって、統治機構改革を進めるべきだと強調した。
社民党の吉田氏は、現在において、憲法の理念がいかされていないと主張。総理には、「真正面から憲法を争点にしてほしい」と要望した。
生活の小沢氏は、「安倍総理の進めようとしている憲法の改正には賛成できない」と強調。安全保障については、「国連を中心とした平和活動に注力し、日本も積極的に協力すべきだ」と述べた。
日本のこころを大切にする党の中山氏は、公約で「自主憲法の制定」を掲げ、近日中に草案を公開すること目指していることを明らかにした。現在の憲法を「独立国家の憲法ではない」と主張し、「憲法について、大いに議論すべきだ」と話した。
新党改革の荒井氏は、今回の安全保障法制の必要性を強調。安全保障法制の成立において、新党改革や日本のこころなどの野党が修正協議を加え、集団的自衛権の行使に国会の同意が必要としたことをアピールした。
安倍首相は、先日のサミットの例なども挙げて、安全保障法制によって、日米の同盟関係が強化されたと主張。さらに、憲法成立から70年を経て、時代にあわせて「変えるべきものは変える」責任を果たしていく必要があると話した。
また、憲法改正は最終的には国民投票で果たされることを強調し、「今回の選挙の結果を受けて、どの条文を、どういう風に変えていくか議論を進めていきたい」と述べた。
白熱する憲法をめぐる各党の議論
憲法についても、経済政策同様、30秒ごとの討論が行われたが、より白熱した展開となった。まず松井氏が、志位氏に対して、「教育の無償化などについての憲法改正にも反対なのか」と質問し、志位氏が「教育の無償化は憲法改正なしでも実現し得る」と応じたところから、安倍首相が「志位さんは、よい改正であっても憲法改正には反対なのではないか」と指摘。さらに首相は志位氏に「自衛隊については現在でも憲法違反と考えているのか」と質問し、「憲法9条と自衛隊は今でも矛盾している」との回答を引き出した。
しかし、志位氏は、「自衛隊は現状でも憲法違反だが、それは一時のことであって、段階的に合意を経て、9条との矛盾状態を解消していきたい」と付け加えた。これに対して、安倍首相は「違憲だと言いながらも、先の熊本地震などでも活躍した自衛隊の災害出動については評価するというのは失礼じゃないか」と反論した。これに対して、志位氏は「こうした矛盾した状況を生み出したのは自民党ではないか」と応答したが、おおさか維新の松井氏などは、「どうも憲法を改正しようとしているように聞こえる。そうした主張はごまかしだ」と指摘した。
また、民進党の岡田氏が、「首相が選挙が近くなると、“憲法改正”という争点を隠すのがおかしい」と指摘すると、首相は「憲法改正は自民党が結党以来の主張であり、それ自体に隠すも何もない。ただ、現時点で具体的に変更する条文が決まっていない」と応答した。
さらに、こうした憲法に対する議論は与野党の共闘のあり方についても発展。自民党や公明党は、「自衛隊を違憲だとする共産党と組むのか?」「こんなにも考え方に違いがあるのに統一候補を出すのか」と民進党の岡田氏を追及。
岡田氏は、「公明党と自民党も憲法に対する考え方はまったく違う」「まだ、いろんな問題が乗り越えられないからこそ、現時点で政権を共にすることはない」と反論した。