「おおさか維新は″教育無償化″」【各党に聞く福祉・若者政策】 - BLOGOS編集部

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※この記事は2016年03月20日にBLOGOSで公開されたものです

今年7月に実施される参院選。憲法改正の争点化や18歳選挙権などに注目が集まっているが、各党は福祉・若者世代向けの政策についてどのように考えているのだろうか。

BLOGOS編集部では参院選に向け、主だった党の担当者にインタビューを実施。今回は、おおさか維新の会所属の浦野靖人衆議院議員に話を聞いた。【大谷広太(編集部)】

■高齢者からの理解も得られるようになってきた

ー多くの方にとって「おおさか維新の会」と言いますと、橋下さん・松井さんのイメージが強く、政策面でも「大阪都構想」に代表される、道州制・地方分権といったワードが連想されるのではないかと思います。

一方で、綱領には「受益と負担の公平」「現役世代の活性化」「機会平等」という項目を立てて、「社会保障制度」「現役世代と女性の社会参画を支援」「教育と就労の機会の平等を保障」を謳っていますね。

浦野:私たちが訴えている具体的な政策の中で他党にないものは、生まれてから大学までの学費を全て無償化する「教育無償化」なんです。今年の参院選の公約にもおそらく掲げることになるでしょう。

ただ、「言うは易し」で、「財源をどうするのかと?」という疑問が出てくることと思います。行政に非常に大雑把に試算してもらったところ、現時点では3.7兆円あれば「教育無償化」は実現できるという答えが返ってきました。ここで私たちが訴えている、「地方分権」や「公務員改革給与改革」が出てくるのです。「将来のために、全国の公務員さんの給与2割カットしようね」ということが実現できれば、5兆円ほど捻出できるんです。
私たちは、「今あるお金の中から、若い世代への投資を増やしていきたい」という政党なのです。

すでに大阪府では私学も含め「高校無償化」を実施していますが、その財源も、他の部分を削って振り分けるということで実現させましたが、このような考え方や政策に対して、年配の方々からはもちろん厳しいご批判をいただきました。「おおさか維新」と言ったら、何かうがった見方をされてしまうと言いますか(笑)。

ー高齢者層からの理解は得られたのでしょうか?

浦野:所得制限はもちろんかけていますが、お金の問題で勉強がしたくてもできないという子どもたちを減らしていきたい。自分たちで将来を選択できるようにしたいというのがおおさか維新の考え方なのです。このことを有権者の皆さんい丁寧に説明してきた結果、最近では年配の人から「子どもの世代、孫の世代にお金をちゃんと使っているね」「次の世代のために、誰かが我慢する、それはもう当然のことだね」という評価を頂けるようになってきました。

ただ「聖域無く」ということで議論をスタートはしましたけれども、福祉分野の中で「これは切ってはダメでしょう」というものは残しています。障害者福祉等、真の弱者に対する予算などについては、大阪ではそんなには手をつけていないんですね。

■教育無償化の効果は"一石多鳥"

ー女性の社会進出、少子化についてはいかがでしょうか。

浦野:現状は、収入のプレッシャーで働かざるを得ないという方が非常に多いのではないかと思います。それが「女性の社会進出」に当たるのかと言えば、必ずしもそうとは言えないでしょう。やりたいこと、なしたいことがあって社会に出て行くことこそが「社会進出」だと思うんです。

まさに、「教育無償化」がそこに繋がってくるんです。私たちは、専業主婦でなければいけない、という主張をしているわけではありませんが、お金のために働きに出なければならない、という生活も変わってくることで、少子化や子育てにも良い効果が出てくるのではないでしょうか。望めば自分のチャンスの選択肢も増えていきますから、子どもたちのためにもなる。

生まれてから大学卒業まで、教育費に平均一千万円以上がかかっていますから、その分のお金を他のことに消費してもらえるということでもあります。個々の家庭で使えるお金が消費に回れば税収に回る。税収が上がるのであれば、さらに福祉に対するお金も回るようになります。"一石多鳥"の政策ではないでしょうか。

■与党は切り込めない

ー政府与党では、そこまで大胆な政策を打ち出せないのだ、と。

浦野:「幼児教育無償化」とか、少し言っていますけれども、それですら条件をつけようという及び腰ですから。「なんでできへんねん?」と聞かれると、「そういう党だから、としかよう返されへん」と言うのだけれど(笑)。

もともと大阪に限らず、国も財源不足、もっと言えば借金だらけの異常な状態です。その中でどこを削るべきかと言ったら、一番手厚く税金を投入しているところからだろうということは、もちろん国民も気づいていると思います。でも選挙の事を考えると、他の党はそれを言いにくい。

私ももともと自民党の大阪府議ですが、「"やるやる"言うてやれへん人たちの集まりや」「このままじゃ大阪あかんわ」と気づいたからこそ、若い世代の議員と一緒に大阪維新の会(当時)を立ち上げたんです。

我々がなんで説得力があるか、と言えば、大阪で22議席の議員定数の削減、議員報酬の3割削減も実現させたからだと思います。あのとき、大阪では大きく報道はされましたけれども、自民党をはじめとした、大阪維新以外の議員たちが全員でバリケード築いて議場を封鎖して、議長が議長室から出られないように、力で排除しようとしたんです。そんな中、なんとか自分たちで削れるものを削ったからこそ、皆さんにもお願いできる。自分たちはぬくぬくしたところで「身を切る改革」と言っても説得力はありません。「自民党がようしてくれんかった議員の削減やりおった、言うたこと、ちゃんとやりよる」という印象を持って頂けていると思います。

今、特に「世代間格差との戦いや」と。それをなんとかしようという思いがあります。大阪で示したように、国政でも実績を示してしていけば、全国でも信頼を勝ち取って行けると考えています。

(うらの やすと)1973年生まれ。大学卒業後、天美保育園へ保育士として勤務。平成22年、大阪府議会議員選挙3期目当選。平成24年、衆議院議員選挙大阪15区にて当選(現在2期目)幼稚園教諭第一種免許、保育士資格も持つ。

・衆議院議員 うらの靖人
・@uranoyasuto - Twitter