オシャレは「イケメン」だけに与えられた特権か? あなたの誤解を解く「ファッション」再入門 - MB(ファッションブロガー・プロバイヤー) - BLOGOS編集部
※この記事は2016年02月24日にBLOGOSで公開されたものです
あなたはオシャレをどんなものだと思っていますか?「センスが必要」「お金がかかる」「イケメンに限る」
こんなキーワードが頭をチラつく人も多いと思いますが、実はこれらすべて嘘です。一つ一つ解説し、オシャレに対する”大きな誤解”を解いて頂きます。
「オシャレにはセンスが必要」は嘘
雑誌でも日常会話でも登場する「センス」ですが、そもそも「センス」とは一体何でしょうか。一般的な定義で考えるならば芸術家が持つそれなどを「センス」と呼ぶのであり、「先天的な才能が必要なもの」というイメージが強いでしょう。仮にオシャレをするのに「センス」が必要だとして、また「センス」が先天的なものとして定義されるとすれば・・・「オシャレは才能によって構築するしかない限られた人だけが楽しめるもの」となります。これを本気で信じている人は意外と少なくないのですが・・・そんなことは有り得ません。嘘です。
オシャレの定義は一般的には「客観的な見た目の格好良さ」です。「客観的」な訳ですからつまり「特別な才能を持った限られた人」が判断するものではなく、「その他大勢に類する一般の人」が判断するものです。才能をもった限られた人しか理解できないものが「センス」であり「オシャレ」だとするのであれば、ここに矛盾が生じます。
一般の多くの人がオシャレかどうかを判断するのですから、才能のある人間にしか楽しめないというのはそもそもがおかしな話な訳です。ショップスタッフやデザイナーやスタイリストが特権のような優位性を守るために「センスが必要」などと謳うことはありますがそれらはすべてハッキリと、嘘です。
所詮オシャレなんぞは客観的に判断されるものです。オシャレになることは至極簡単です。「感覚で限られた人しか作れないもの」ではなく「誰でも論理的に作ることが出来るもの」です。
人の価値観は十人十色ではありません。10人中10人が「オシャレだね」と言うことはないにしても、10人中7人程度なら「オシャレだね」と思う「総意」が存在します。街でするオシャレは結局「見た目」でしかないのですから、「多くの人が良いと感じる見た目」には一定の法則があり論理性があるのです。生活環境などが似通っている同じ人間ですからね。法則がきちんとあるのです。スタイリストはその法則を使っているだけです。「センス」なんてものは彼らの大義名分なだけであり、実はこの世に存在しません。
ユニクロでもオシャレは可能
そう考えるとオシャレにお金が必要ないことも理解できるでしょう。
何度も繰り返しますがオシャレとは論理や法則で構築するものです。多くの人に「オシャレだ」と思わせる法則があるのですから、その法則に基づいて洋服をピックアップしていけば、別にユニクロでもオシャレは可能なのです。素材は遠目で良し悪しはほぼ分かりません。また、デザインは特別こだわって過度な装飾である必要がありません。つまり、高価な洋服を追いかける必要などないのです。全身ユニクロでもオシャレは可能です。
そもそも「洋服=お金」と考えるのであれば六本木の社長は皆オシャレになりますが、実際はそうではありませんね。またお金がないはずの薄給ショップスタッフはダサくならなければいけませんが、これも違います。
「洋服に論理性がある」とは誰もが言えなかったことです。それを言ってしまうとユニクロでオシャレが出来ることがバレてしまうため、業界全体が困るから。だからこそアパレルブランドなどは「素材の訴求」にこだわるわけです。「素材が良いからオシャレでしょ?」と冗談みたいな接客をしてくる店員さんは多いですが、それは商売を成り立たせるためです。オシャレの絶対的な価値基準として「素材の良し悪し」を設定しておけば商売は安泰な訳です。しかしながらその馬鹿馬鹿しさはここまで読んだ方ならば容易に理解できるでしょう。
オシャレは限られた「イケメン」だけに与えられた「特権」なのか?
巷でよく言われる「イケメンに限る」もオシャレに論理性を見い出せない人の言い訳に過ぎません。ではオシャレな人は全員イケメンでしょうか?
私はショップスタッフを採用する人事の仕事をしていたこともありますが、イケメンを採用するなんていう基準は存在しません。大体、お店を周って店員さんの顔や体型をよくよく見てくださいよ。言っちゃなんですが「イケメン」な人はそう多くないですよ。
私をはじめブサイクだからこそ「服でカバーしよう」と頑張って服が好きになった結果、店員さんになるんです。それっぽく見せていますが、顔がデカかったり胴長短足だったり目が小さかったり、皆それなりにコンプレックスを抱えている人ばかりです。でも彼らは「ブサイクでもオシャレに見せる」技術を持っている訳です。
例えば「顔を小さく見せる方法」「脚を長く見せる方法」「大人っぽく落ち着いた印象に見せる方法」などを感覚的あるいは論理的に熟知しているため「雰囲気イケメン」になれているのです。
上述の通り、彼らはユニクロでもオシャレができます。そういった法則を知っていますから。洋服屋さんがどんなお店に配属されてもそれなりにオシャレを作ることが出来るのは法則があるからなのです。
もちろん「年齢」も関係ありません。後述しますがオシャレの大原則「ドレスとカジュアルのバランス」を用いれば過度な装飾や派手な着こなしも必要ありませんから年齢に左右されず楽しむことができます。実際私の媒体の購読層は20代よりも40代以上の方が多いのです。
オシャレに対する誤解、ある程度は解けましたでしょうか?
オシャレは作れるものです。センスもお金も見た目も必要ありません。誰もが広く楽しめるものです。抵抗を持つ必要などはありません。
私は3年に渡りオシャレの法則を普及すべく活動をしております。地道な活動が実り、昨年度発売した書籍「最速でおしゃれに見せる方法」(扶桑社)ではamazon全体での売れ筋ランキングで3位を獲得。過去10年間において類を見ない「メンズファッション書籍でのベストセラー」を記録しております。
また、単年で3冊もの書籍を発売させていただき、現在各メディアなどからも多く注目されております。毎週日曜日に配信しているメールマガジンは有料ながらなんと5000人もの会員を抱えた「メディア」に成長しています。この数字はメルマガビジネスの老舗である堀江貴文さんの会員数にも匹敵するのものです。(大手配信サイトまぐまぐにて堀江さんは会員数2位、私は現在3位。毎月の増加部数は私がぶっちぎりの1位です。)
そうまでして私がこのオシャレの法則を普及しているのは何故なのか。それは多くの人にオシャレの楽しさを知ってもらいたいからです。
オシャレはどんな自己啓発書よりも優れた自己成長の手法です。誰もが経験したことがあるでしょう、新しい服に袖を通した際の興奮と感動を。オシャレをしていると自信がつき、外に出たくなり、女性と話してもおどおどせず、レストランで店員さんを堂々と呼べます。自己啓発では「自信を持て」「自己変革せよ」と色々なことが書かれていますが、自分の内面を変えることはそう簡単なものではありません。しかし外面ならば、オシャレならば簡単です。着用するだけで変わります。そして外面が変わると内面も変わるのです。明るく堂々と自信にみなぎった生活が送れます。
誰もが簡単に実現できて、性格と生活をその日に前向きに変えることができる。こんなに素晴らしい文化を「センス」だ「お金」だと既得権益を守るべく歪んだ業界に捻じ曲げられて、限られた人にしか与えないのは社会にとって損失です。だからこそ私はこうしてオシャレを普及させるべく行動をしているのです。
「ドレス」と「カジュアル」のバランスが最大の肝
ではどうオシャレをすべきか。
詳しくは私のサイト「最も早くおしゃれになる方法KnowerMag」や書籍「最速でおしゃれに見せる方法」をご参考頂きたいですが、ここではほんのさわりだけ紹介しましょう。
すべての洋服は「ドレス」と「カジュアル」に分類されます。スーツで使うようなものが「ドレス」であり、Tシャツやスウェットなどリラックスした普段着が「カジュアル」です。街でのオシャレはこの二軸をいかにバランスよくミックスさせるかが最大の肝となります。
ドレスにより過ぎれば「仕事帰り」「ビジネススタイル」に見られます。「キメすぎ」といった評価もここに属します。カジュアルにより過ぎれば「だらしない」「子供っぽい」と見られます。「野暮ったい」などの評価はここに属します。
この二軸をバランスよく混ぜることで、「格好良いけどキメすぎない」「ラフだけど大人っぽい」などの評価が得られ、それが「オシャレ」につながります。女性は「スーツ姿の男性がネクタイを外した瞬間」が好きと言います。張り詰めたドレススタイルの中、フッと気が抜けた余裕のある表情に人は色気を感じるものです。これも「ドレス」と「カジュアル」のバランスの一種です。
より細かいことはここでは説明しきれませんので、是非サイトや書籍をご覧ください。より論理的で数学的な内容が展開されています。
一つ「ドレスとカジュアルのバランス」の例を挙げるとこんなスタイル。
ボーダーTシャツというカジュアルなリラックスウェアを、スーツで活用するようなスラックスでドレスにバランスをとっています。これがもしボトムスがインディゴデニムだったら野暮ったくカジュアルに寄るでしょう。もしトップスがテーラードジャケットだったら仕事帰りに見られるでしょう。この「バランス」こそがオシャレの秘訣です。ちなみにこの画像で写っているアイテムのほとんどが安価なものです。スラックスに至ってはユニクロです。
30代40代ともなると「ファッション」に対して諦めが進んでしまいますが・・・しかしながら諦める必要などありません。オシャレは実に簡単に論理的に数学的に構築できるものです。またオシャレほど簡単に人生を変えてくれるものもありません。どうか騙されたと思って一度論理を学んでみてください。オシャレはあなたが思うよりも難しくなく、お金が掛からず、開かれた素晴らしいものなのですから。
【プロフィール】
MB(エムビー)ファッションブロガー・プロバイヤー。アパレル企業にて店舗運営、ECサイト運営を行い、バイヤーとしては100以上のブランドとの取引経験がある。ブロガーとしては2012年にWEBサイト「現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法 Knowermag」を開設、2014年度には、メルマガ「最も早くオシャレになる方法 現役メンズバイヤーが伝える洋服の着こなし&コーディネート診断」の配信を開始し、同メルマガは大手メルマガ配信サイト「まぐまぐ」で人気ランキング3位を獲得、2014年度「まぐまぐ大賞」を受賞している。2015年には著書「最速でおしゃれに見せる方法」(扶桑社)を発売。同書はamazon全体のランキングで3位を記録するなど、ベストセラーとなっているほか、テレビ、ラジオ、雑誌などにも多数出演している。