※この記事は2014年10月20日にBLOGOSで公開されたものです

20日、後援会の収支報告書の記載に不備があったとして、野党、マスコミから追及を受けていた小渕優子経済産業大臣が会見を行い、辞意を表明した。

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大きな疑念があると言わざるをえない

この度は、私の担当する政治資金団体の収支報告書の記載に際して、様々な疑問を提示されました。そのことにつきまして、野党の皆様から数々のご質問をいただき、本来あらねばならない審議に大きな影響を与えてしまったことを重く受け止めています。

このように大変お騒がせしてしまったこと、ご心配をおかけしていることに対し、国民の皆様、私を長く支援してくださっている後援会の皆様、地元群馬の皆様、ご迷惑をかけているすべての皆様に心からのお詫びを申し上げます。

今回、大きく分けて二つの問題が指摘されていると理解をしております。まず一つ目は、資金管理団体における物品購入に関し、指摘を受けている点です。2つ目は後援会の観劇旅行など、行事関連費用問題であると理解をしております。

まず一番目の問題である資金管理団体における物品の購入等についてご説明を申し上げます。

事務所費や組織活動費に計上されている物品の購入などにつきましては、実際に購入したことを領収書などで確認する作業を進めておりますが、公私の区別につきましては、しっかりつけさせていただいていることを改めて申し上げたいと思います。その上で、報道などで問題であると指摘された品について、いくつかご説明をさせていただきます。

地元群馬の名産である下仁田ネギやこんにゃくを購入した点ですが、政治活動でおつきあいのある県外の方への贈答であり、なおかつ地元の名産を紹介することは地元群馬の振興にもつながるものと思っておりました。

ベビー用品や化粧品などの購入につきましては、私が子を持つ女性議員であることから、報道などで、私の子や私の化粧品の購入ではないかとの誤解を示されるコメントがありました。

しかし、ベビー用品は父の代からご支援いただいている県外の方の家族の出産祝いやお誕生祝や社交儀礼として購入したものであり、また化粧品や服飾品などは私が団長として、海外に出張した際のお土産として購入し、お渡ししたものでした。

一部報道には、関係者に品物を贈るのは、個人としての社交であるからポケットマネーで行うべきであるとのご指摘がありますが、会社や団体が経済活動の中で、関係者に経費で社交儀礼をするのと同じく政治家が政治活動を行う中で、様々な人と交流を持ち、人脈を広げていくことは重要な仕事の一つであり、政治活動の経費の一つとして認められるものと思っています。

また、私の義理の兄が経営する服飾雑貨店から物品を購入している点ですが、このお店は、私の姉がデザインした品物を販売しており、一般の品物とはまた違った話題で、交流を深めるきっかけとなるので、大変重宝をしています。

次に、小渕優子後援会が実施した観劇会等の後援会行事の収支に関する疑問について、ご説明を申し上げます。後援会の収支報告書によれば、観劇費用として計上された入場料やバス代などの支出額が観劇の参加費として、参加者から徴収した収入額を上回っている年があることから、不足分を後援会で補てんしたのではないか。そうだとすれば、選挙区のものに対する寄付であり、公職選挙法に抵触するのではないか、とのご指摘がありました。

観劇会は、私の後援会の女性部大会の一環として行われている重要な後援会行事であり、私も毎年ではありませんが、日程のあう限り、ご挨拶に伺っています。ただ、私は参加された方や事務所の関係者から、皆さん実費をいただいていると聞いておりましたので、そもそも後援会などが、参加費の全部または一部を肩代わりをしているとは思っておりませんでした。そのような次第ですので、今回このような報道に接し、大変驚き、すぐに後援会の方に「本当に参加者から実費をいただいているのか、確認していただけますか」とお願いをいたしました。そして、今日までに後援会から報告を受け、わかったことについてご報告を申し上げます。

まず、観劇会は小渕優子後援会、女性部大会の一環として行われた後援会行事の一つであるとのことです。平成19年から毎年行われ、今年も10月に行われたとのことであります。平成24年の収支報告書には、観劇会の記載がありませんでしたが、実施したことは後援会事務所で確認をいたしました。

この観劇会は公演を貸し切って行っています。だいたい1回の公演で千人程度。これを2グループで行っていますので、毎年の参加人数は2回で2千人超で実施しているとのことです。

参加者からいただく費用は、平成19年は一人1万1千円でしたが、その後は、今年まで1万2千円になっているとのことです。費用の中には、入場料や食事代、バス代も含まれています。なお、一部報道で観劇の参加費だけで1万2千円程度になるのではないかというご指摘がありましたが、通常の公演の場合と比べて、貸切の場合は、相当安くしていただいているとのことであり、その点の疑念はないものと思います。

劇場の定員に限りがあるので、毎年後援会の各地区に参加可能人数を割り振りします。そして、各地区の責任者が参加者を取りまとめます。参加希望者には、申込書に名前などを記入していただき、あわせて参加費として一人1万2千円を責任者があずかります。そして、集めた参加費を後援会事務所に持参していただいていたとのことです。

(実物を見せながら)これは今年の参加費と小渕優子後援会女性部大会申込書が入って、後援会事務所に持参をしていただいたもののコピーです。中には、「会費を添えて申し込みます」と書かれて、お名前、住所が書かれたものが人数分すべてそろっております。

マスコミの皆様も地元で取材を行って、参加者の方から参加費の徴収をされていることを確認されているようですが、後援会も平成22年の参加者名簿を元にして、電話や訪問して参加費の徴収について確認をさせていただいています。

昨日、現在までにお尋ねした753名の全員が、1万2千円を支払って参加されていることを確認しております。また、参加費を集めていただいた後援会の責任者の中には、預かった会費を専用の銀行口座に入金し、管理していただいた方もいらっしゃいました。

この方は平成22年から、後援会の複数の地区を回って各地区ごとに参加費を預かると、参加費の預かり専用口座に入金し、管理をしていただきました。(実物を見せながら)これがこの専用口座の預金通帳のコピーです。全地区分の参加費が集まると、後援会事務所にご持参をいただいているとのことです。

このようにきちんと後援会の皆様からは、参加費をいただいております。とすると、歴年の小渕優子後援会の収支報告書に記載には大きな疑問があると言わざるを得ません。実費として徴収した収入が過少に記載され、不記載となっているものが多額に上っていると思われます。すなわち、毎年の参加人数の実数が、現在後援会事務所で名簿などを元に再確認していますが、観劇の一回公演で少なくとも千名参加していることからすれば、二回公演分で二千名の参加があるということになります。そこで1万2千円×2千名イコール2千4百万円の観劇代の参加費用が収入に計上されていなくてはならないことになります。

しかしながら、平成22年は372万8千円、平成23年は369万3千円となっています。平成24年に至っては、収入も支出も計上されておりません。これではご指摘を受けている通り、大きな疑念があると言わざるをえません。平成24年度分の支出を含め、かかった費用の点も再度確認する必要があると思っております。

このように収入と支出の双方について果たして、その実態があったのなかったのか否か。私自身、大きな疑念を持ったところであり、後援会を含めた関係政治団体の収入と支出の両面にわたり、収支報告書の内容のすべてを第三者的な観点から調査していただく必要があると考えております。

そこで、関係する政治団体とは関係のない外部から弁護士や税理士などの専門家を入れて、客観的な調査をしていただくことにしました。政治団体間の資金のやり取りも収支報告書上「あった」とされているので、その収支と真実「あったのか」ということも含めて調査をしていただくことにしました。

ただ、調査範囲は多数の団体、個人に及ぶことから相応の調査期間を必要とする状況にございます。このような状況となっていることは、私といたしましては誠に不徳のいたすところであり、自らの関係政治団体の政治資金問題について、引き続き、しっかりと調査をし、正さなければならいところはしっかり正し、一日も早く、ご支援をいただいている皆様の信頼を取り戻すことに専念をしたいと思います。

自らのこうした問題によって、経済産業大臣として、経済政策、エネルギー政策に停滞をもたらすことは、これは許されることではありません。ここで、大臣の職を辞し、こうした疑念をもたれていることについて、しっかり調査をし、皆様方にお示しができるよう、このことに全力を傾注してまいりたいと考えております。

安倍内閣の一員として、経済の再生、女性の輝く社会の実現、その他様々な課題に対し、何一つ貢献ができなかったことを、心から申し訳なく、お詫びを申し上げたいと思います。

私自身わからないことが多すぎる

―改めて、今回の件をどのように受け止めているか。

私の担当する政治資金団体の記載をめぐって、様々な疑念を提示され、このような形でお騒がせしていることを本当に申し訳なく思っております。今日ここで、お示しできたこと、そして引き続きしっかり調査を行っていかなければならないことになります。

もう一度、皆様の信頼を取り戻すことが出来るよう、出来る限りの調査をし、お示しをさせていただきたいと思っております。

―辞任を決めたタイミングは?

先週の委員会の中で、自分自身そのような気持ちを持って行ったと思います。

―原発の再稼働など課題が山積みする中での辞任となるが、その所感は?

経済産業大臣としても、様々な課題がありました。また女性政策につきましても、多くの期待をいただいていたことは充分に承知をしております。その中で、その役割を充分に果たすことができなかったことを本当に残念に思っているとともに、たくさんのご期待をいただいた方々に対して、申し訳ない思いでいっぱいです。

―収支報告書の不備について、何故いままで気づくことができなかったのか?また、福島第一原発事故への関わり方や今後の政治活動について?

私自身、自分が代表を務める政治資金管理団体に関しては、その監督責任があるものと思っております。また、それ以外の政治資金管理団体について、長年、私が子供のころからずっと一緒に過ごしてきた。そういう信頼するスタッフの元でお金の管理をしていただいていました。その監督責任というものが、充分ではなかったのか、と思っております。

福島の件については、経済産業大臣ではなく議員の一人としても、これまで経験したこともない事故に対して、次の世代のためにしっかりやらねらばならないことをやらなければならない。これは一政治家であっても同じことだと思っております。

私の後任の大臣の方が、しっかり進めていただけるものと考えております。

―このタイミングでの辞任は、野党の求める国会での説明責任の放棄ではないのか? 議員辞職の可能性は?

今回、様々な調査をし始めたところ、ここから先からのことについては、私の事務所や後援会による調査では、わからない。しっかり第三者を入れて、調査をしないと解明できないと思っています。そうしたことと共に、それが果たして、その経済産業大臣としての重責と両立することができるのかと、言われれば、それは難しいという判断をいたしました。

大臣の職は辞することになりますが、議員としてしっかりこの政治家としての、説明責任を果たしていきたいと考えております。

―他人事のように聞こえる部分もあるが、ご自身の責任についてはどのように考えているか?

決して他人事だという思いではありません。ただ、本当に申し訳ないのですが、私自身がわからないことが多すぎます。私自身も何故こうなっているのか、という疑念を持っております。

私が代表を務めます政治資金団体において、信頼するスタッフが収支報告書を提出するときに、「収支報告書を提出してきます」という報告をもらっていました。何かあれば、私の方に言ってくるものだと。そう思っていました。ですので、代表者としての監督責任については、私自身が甘かったと思います。

―調査結果によっては、公職選挙法に抵触する可能性も出てくるが。

これから調査を進めていただきますが、そうした法律に引っかかっていくのか、どうなのかも含めて、これからのことでありますし、私自身がしなければならないことは、私を信頼して、応援してくれていた多くの方々いますので、その方々に対して、きちんと説明ができる状況にしなければいけない。それに力を尽くしていきたいと考えています。

―毎日新聞の報道で、選挙区内、群馬県内の男性にワインを送っていたとの報道も出ているが?

それについては、私も今日の新聞を読んで知ったところであります。そうしたワインがあることも承知をしていますし、ただ当然のことながら、選挙区外に何かの形で使っているものと承知をしています。当然のことながら、私がお渡ししたということではないと思います。しかし、その辺りのことを含めて調査したいと思います。

―先ほどから監督責任というお話をされているが、具体的にどのような点が甘かったと考えているのか?

こういう形になった以上、すべてが甘かったのだと思います。私自身の責任は重いと思っています。

―自身が認識しきれていなかったことについて、不満もあると思うが?

これについては、私自身もその全体像、私が関係する政治団体の中でのお金のやり取りというものもあります。何故、その時に、そういうお金が出入りがあったのか。どうしてこういう収支になっているのか。現段階で、すべてを見通すことが出来ない状況にあります。

この場で、すべてを明らかにして、皆様方にご理解をいただくことができないことは、私も忸怩たる思いでおりますが、正直申し上げて、その全体像がわからない。すべてがわかっていることではない。ですので、第三者も入れて、中立的な方に入っていただいて、一から調べていただくしかないと思っています。

―今日は総理とどのような話をしたのか?

私からは、このようなことになってしまったことについて総理にお詫びを申し上げました。総理は、総理自らが、今回の私のことに対して、公式にお話をされる機会があるのかないのかわかりませんが、総理のコメントはそちらから聞いていただければと思います。

―小渕大臣は今回の改造内閣の目玉だったと思うが、その目玉である人物が辞任することになってしまったことについて。

自分自身が、目玉であったかどうかというのはわかりません。しかし、安倍政権においては様々な政治課題が山積している中、一丸となって走っていかなければならない。その矢先に、私自身のこうした問題で大きな影響を及ぼしてしまう。そのことについては、とても重く受け止めています。

―1千万円以上の不透明な支出があるわけだが、それが地元の有権者、選挙区民対して一切使われていないと言い切れるのか?もし、収支の問題で公職選挙法違反が明らかになった場合、議員辞職をする考えはあるのか?

これまで物品の購入について、様々なご指摘をいただいてまいりました。今日のワインの購入については、しっかりと調査をしていきたいと思いますが、現段階で提示されていることについては、今確認されている段階では、そうした形で選挙区内にお配りしたということないという風に承知をしております。

まずは今、しっかりと調査をし、そしてそれをお示しすることが一番大事なことではないかと思っております。

―閣僚の中には、もっと大きなスキャンダルを抱えた方もいらっしゃるが、にも関わらず小渕大臣が辞任することになって、これが“めくらまし”になっているのではないか、という無念さはないのか

いまご指摘を受けて、そういうことが思われているのかというのをはじめて知りました。

―最年少で閣僚になり、40歳で初の女性の経産大臣になりました。そのことを踏まえて、いまどのように感じていらっしゃるか。また、今後の政治活動への姿勢をお聞かせ下さい。

34歳で少子化対策の担当大臣を拝命をいたしました。そして、この度、経済産業大臣という重責を頂戴し、このようなことになってしまいました。特に、それ以上でも以下でもありません。

政治家としては、すべて一から出直そうと思っております。後援会…。私が大事にしていた後援会の皆様に、後援会の方々の名誉を傷つけることでもあり、かつ私に頂いていた信頼を損ねてしまうということになってしまいました。もう一度、ゼロからその信頼関係を、その信頼を取り戻していけるように、出直しの気持ちでやっていきたいとおもいます。

ありがとうございました。大変お世話になりました。