※この記事は2014年10月05日にBLOGOSで公開されたものです

※10月5日でBLOGOSはサイトオープンから5周年を迎えます。本シリーズでは、2009年から現在までの政治、社会の動きをBLOGOS上で当時話題を集めたエントリと共に振り返っていきます。(BLOGOS編集部)

映像を流出させた元自衛官・一色正春氏 写真一覧
2010年11月には、インターネットが政治に及ぼした影響を考える中で、最大の事案の一つともいえる「尖閣諸島中国漁船衝突映像流出」が起こった。これは、那覇地検が保管していた中国漁船が衝突する映像を現役の海上保安官がYouTubeに流出させるという事件であった。

この事件をめぐる民主党政権の対応を石破茂氏(現地方創生担当大臣)は下記のように批判していた。
「映像を公開しないことによって守られる利益」とは何であり、それは公開することによって得られる、例えば「我が国の行動の正当性や中国船の不当性などを内外に明らかにする」というような利益を何故上回るのか。政府からそのあたりの説明も全くありません。

「公務員はいかなる理由に基づくものであっても、政府の方針に反した行動をとるべきではない、それが許されるなら組織は成り立たない」というのはその通りですが、その政府があまりに酷い状態であった場合はどうなのか。 「政治と行政は責任の取り方が違う」と言ってすべての責任を下部行政機構に押し付ける、などという政府はさすがに今まで存在しなかったため、今回このような問題に初めて逢着したのです。

尖閣諸島沖事案映像流出について

一方で、元外交官の佐藤優氏は、民主党政権の弱腰な対応に批判的ながらも、映像を流出させた一色正春氏の行動の問題点を指摘した。
筆者も、政府はあの映像を国民に公表すべきであったと思う。中国に対する菅直人政権の弱腰外交に対して、筆者は論壇人の中でもっとも厳しく批判している一人だ。しかし、それ故に「力の省庁」に所属する官僚による下剋上を看過してよいということにはならない。筆者自身、外務官僚時代には、機微に触れる情報を扱うことが多かった。それ故に、秘密情報を用いた官僚の下剋上が、国家を崩壊させ、国民に不幸をもたらすことについて強い危機意識をもっている。

【佐藤優の眼光紙背】尖閣ビデオ流出は官僚によるクーデターだ

この問題の一連の対応のまずさから当時の仙谷官房長官に問責決議案が出され、参議院を通過している。この様子は、みんなの党の幹事長だった江田憲司氏(現・維新の党共同代表)のエントリで知ることができる。
 先週、参議院で、仙谷官房長官、馬淵国土交通大臣の問責決議案が通った。我々みんなの党は、仙谷氏については決議案を自ら提出、馬渕氏については、自民党提出の決議案に消極的に賛成という形で、あえて濃淡をつけた。

 その理由は、尖閣問題に関し、一連の事態を主導したのは仙谷官房長官で、その責任が一番重いと考えているからだ。加えて、仙谷氏には、自衛隊は「暴力装置」他数々の暴言、失言もあった。

支持率1%でも辞めない・・・内閣の要に問責決議

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