「拉致問題の解決に、“オールジャパン”で取り組んでいきたい」-山谷拉致問題担当大臣スピーチ全文 - BLOGOS編集部
※この記事は2014年09月26日にBLOGOSで公開されたものです
9月25日、先日の内閣改造で国家公安委員長、拉致問題担当大臣に任命された山谷えり子氏が外国特派員協会で会見を行った。質疑応答では、山谷氏が「在日特権を許さない市民の会」(在特会)関係者と一緒に写っている写真が報道されたことについて、質問が集中した。本記事では、拉致問題解決への意気込みを語った冒頭のスピーチを紹介する。「拉致問題の全面解決に取り組んでいく」
皆様、こんにちは。拉致問題担当大臣の山谷えり子でございます。日本の“今”を世界に発信していただいております外国特派員協会の記者の皆様の前でお話をさせていただくことを、光栄に思っております。
実は私も皆様と同じく、外国特派員協会のメンバーでございます。私の夫、そして夫の父親もメンバーでございました。二人はもう亡くなりましたが、今日はきっと心配で、あるいはニヤニヤしながら、この辺にいるのではないかなと思っております(笑)。
これまで私は、内閣府拉致問題担当政務官、拉致議連事務局長、自民党の拉致問題対策本部長として北朝鮮による拉致問題に関わってきましたが、この度、拉致問題担当大臣を務めることとなりました。
9月3日に拉致問題担当大臣に就任して以降、拉致被害者ご家族との面会や、いわゆる特定失踪者のご家族との面会、国民大集会への参加など、積極的に拉致問題の関係者との面会をしてきましたが、どの場においても拉致問題、その解決の期待の大きさを感じております。期待に応えるべく全力で取り組んでまいります。
また、古屋拉致問題前大臣とは、私が自民党の拉致問題対策本部長の時に頻繁に意見を交わして、連携してまいりました。大臣交代後も、いままでとまったく変わらない形で連携をしながら、今その古屋前大臣は自民党の拉致問題対策本部長でございます。党の中で、行動をしていただけること、非常に力強く感じているところでございます。
拉致問題の解決は、日本にとって与野党の対立問題ではありません。オールジャパンで取り組んでいきたいと思います。
私は、拉致問題の担当大臣に就任後、国際的な活動といたしましては、スイスのジュネーブにおいて9月10日国連の場で、「北朝鮮による拉致を含む人権侵害に関する国際シンポジウム」を日本政府主催で行いました。
このシンポジウムは、今年の2月に北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)が「拉致問題を含む北朝鮮による人権問題に関する報告書」が出され、続く3月には、国連人権理事会において、「北朝鮮人権状況決議」が採択されたこと等を受け、国連をはじめとする、国際上の場で現在わかっている北朝鮮の人権問題の改善、解決に向けた機運を維持・向上するために開催したものであります。
私は、このシンポジウムにおいて基調講演を行いました。日本としても、引き続き国際的に連携をしながら拉致問題を含む北朝鮮の人権問題の解決に向けた役割を果たしていく決意を述べたものでございます。
また、北朝鮮による拉致問題の悲惨さについても強く訴えてまいりました。ここで、私が基調講演で読んだ、元北朝鮮工作員の証言に基づく当時13歳の中学生であった横田めぐみさんが拉致された時の状況についてご紹介したいと思います。
※英語で、当時の状況を紹介
こうした北朝鮮による日本人拉致被害者について、COIの報告書では、その数が100名を超える可能性を指摘しています。さらに日本以外にも、韓国に加え、レバノン、タイ、マレーシア、シンガポール、ルーマニア、フランス、イタリア、オランダ、中国といった諸国からの拉致について言及されているところでございます。
この報告書の作成にあたって、私は昨年、自民党の拉致問題対策本部長として、また超党派の拉致議連の事務局長として、5日間にわたって調査を受け、ヒアリングをうけました。その時、COIの委員長であるマイケル・カービー氏は、「国連の文章というのはとても美しいけれども、そのまま本棚に入って、ホコリをかぶるということもある。しかし、この件に関しては、具体的な行動を促して、必ず解決に向かって進める。そういう報告書を作るんだ」という意気込みを語ってくださいました。
この2月に報告書は出されました。カービー委員長が言われた通り、本当にいいお仕事をしていただいたと思っております。ホームページにもアップされておりますので、約400ページでございますけれども、英語でアップされておりますので、お読みいただければと思います。
また、このシンポジウムには、各国の大使、外交官、政策決定者、様々な方々にお越しいただきまして。またシンポジウムの後に、各国の大使ともお会いいたしまして、この年末に向けて国連の場で、どう北朝鮮の人権問題の議論を展開していくか。また、どのような決議をとっていくか、についてお話ができました。大きな成果であったと考えております。
今後の拉致問題の展望について申し上げます。
北朝鮮の特別調査委員会による調査に関する通報については、これまで北京の大使館ルートを通じてやり取りしてきておりまして、日本側からは5月の合意の履行状況、調査に関する最初の通報時期について照会してまいりました。
先週北朝鮮から、「特別調査委員会はすべてに日本人に関する調査を誠実に進めている。調査は全体で1年程度を目標としており、現在まだ初期段階にある。現時点で、この段階を超えた報告を行うことはできない」と連絡を受けたところでございます。その後、北京の大使館ルートを通じて、調整を行ってきたところ、北朝鮮側から調査の現状について説明を受けるための日朝外交当局間会合を9月29日、中国の瀋陽で開催することとなりました。
日本側としては、北朝鮮側が拉致被害者をはじめとするすべての日本人に関する包括的、全面的な調査を迅速に行い、その結果を速やかに通報すべきと考えており、こうした観点から今回の会合において北朝鮮による調査の現状をしっかりと聴取し、見極める考えでおります。
先週の金曜日には、ご家族の皆様と外務省の担当局長を交えた意見交換の場を持ちました。そこでは、ご家族の皆様からただいま申し上げたような北朝鮮側の対応に対する強い不満、プロセスの長期化に関する懸念、我が国としての今後の交渉姿勢に対する意見などが寄せられました。
これまであまりにも長い年月を待ち続け、被害者ご家族の高齢化も進んでおります。ご家族の側に、このようなお気持ちがあることは、重く受け止めなければなりません。こうした声に誠実に答えながら、拉致問題の全面解決に取り組んでまいりたいと思います。
北朝鮮による調査の過程における北朝鮮側の対応、そこで出る結果は、日本人拉致問題にとどまらず、ある意味北朝鮮における人権問題の改善・解決一般についての重要なテストであると考えます。
北朝鮮が、尊厳をもって我が国を含めた世界の各国との宥和を達成するためにも、北朝鮮の指導部は、人道的・大局的見地に立ち、正しい決断を下して、問題解決に向けた真剣かつ具体的な行動をとる必要があります。
以上、この場を借りて、このことを強く申し上げ、私の話を終えたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答で拉致問題関連の質問をしたのはNHKのみ
―今日、政府が29日に日朝の協議を行うということを発表されましたが、北朝鮮側からは初期段階を超える結果は出せないということを言われているが、政府間協議の場では、どのように北朝鮮側の姿勢を問いただしてくのか。一方で北朝鮮側としては先日、ソン・イルホ大使も先日、「日本側に提示するという準備は出来ている」という趣旨の発言もされていますが、もしその4つの分科会があるなかで、拉致以外について北朝鮮側から提示された場合、日本政府としてはどのように対応されるのか教えていただきたいと思います。(NHK)拉致問題担当大臣としてのスピーチを頼まれて、今日ここに参りまして、拉致問題の質問をしていただきまして、ありがとうございます。
最初の報告は夏の終わりから秋の始めごろということでございまし たが、先日の報告というより連絡、「初期段階であるからそれ以上のことは言えない」というような、それは、とても報告とは呼べるものとは言えませ ん。
そのような連絡を受けまして、日本といたしましては、それは一体どういう意味なのであるか、調査の内容、色々な分科会での作業、どのくらい開いてどういうことを今、プロセスの中でやっているのかどうかを当然、聞かなければならないわけでございます。
北京の大使館ルートを通じて、そのことを申し入れて参りましたところ、9月29日、中国の瀋陽において、日本の外務省、伊原アジア大洋州局長と、そしてソン・イルホ大使が会合を開くことがセッティング がされているという状況であります。でありますから、どのようなやりとり、あるいは北朝鮮側の回答がくるか、今はまだわからない状況ですので、余談を持って何かということ をですね、この場でお話するというのは難しい状況にございます。
■関連記事
・「ヘイトスピーチ、憂慮にたえない」―山谷えり子国家公安委員長が会見 - BLOGOS編集部