宇都宮氏、田母神氏、舛添氏、細川氏による主要候補者討論会ダイジェスト - BLOGOS編集部
※この記事は2014年02月02日にBLOGOSで公開されたものです
１日、宇都宮健児、田母神俊雄、舛添要一、細川護熙の主要候補者４氏による「東京都知事選 候補者ネット討論」が開催された。それまで、青年会議所による公開討論会が中止になっていた。放送終了後、ニコニコ生放送を運営するドワンゴは、視聴者数が17万人を突破したと発表した。
注目される様々な争点について、各候補者が自身の考えを視聴者にアピールした。討論会の模様をダイジェストでお伝えするので、投票時に参考にしていただきたい。【文責：永田 正行、写真：大谷広太（BLOGOS編集部）】
今回の企画には、ネット事業者7社によるネット選挙応援プロジェクト「わっしょい！ネット選挙」が協力。本プロジェクトは、各社のサービス連携を通じてよりスムーズな情報収集の機会を提供、若年層をはじめとしたより多くの有権者に有益な情報を十分に届け、投票時の候補者の判断の助けにしていただくことを目的に、昨年の参院選を機にスタートした。
参加社であるグリー、サイバーエージェント、Twitter Japan、ドワンゴ、ヤフー株式会社、Ustream Asia、LINEは、各社で展開するサービス（Ameba、BLOGOS、GREE、niconico、Twitter、Ustream、Yahoo!みんなの政治）の強みを活かし、生放送配信、ニュース記事配信、ユーザーへの告知等を行い連携した。
討論会の冒頭において、まず各候補者が２分の持ち時間で自らの政策について説明を行った。
宇都宮氏「世界一働きやすい・暮らしやすくみんなが希望をもてる街、東京」
宇都宮氏は、まず特別養護老人ホームに入れない高齢者や待機児童の数などを上げて、石原・猪瀬都政において福祉が切り捨てられてきたと主張。また、住宅政策や若者雇用の問題も深刻だと指摘し、これらの問題に対処して行く必要があると述べた。こうした状況を改善し、「若者が働きやすく、高齢者が暮らしやすい、みんなが希望もって生きられる街、東京を作りたい」と述べて、スピーチを締めくくった。
田母神氏「心のふるさと、東京をつくりたい」
田母神氏は、自身が福島県出身で、東日本大震災において、自身の友人も被害にあった経験から、近い将来に起こるとされる地下直下型地震の際に都民を守るために立候補したと述べた。続けて、「心のふるさと、東京をつくりたい。隣近所が助け合って暮らして行けるようにしたい」と話し、その上で、道路、橋といったインフラの強化、地震に伴う火災対策など震災に強い街づくりに力を入れると述べた。また、経済政策としては、アベノミクスにならって「タモガミクス」を展開すると主張。さらに、子どもを持つ母親や高齢者など弱い立場のひとを“１人ぼっち”にしないようにし、「ふるさと、東京」と呼ばれるような街にしたいと話した。
舛添氏「東京を世界一の街にしたい」
舛添氏は、オリンピックを一つのきっかけにして「東京を世界一の街にしたい」と語った。そのために、防災対策、自らが厚生労働大臣を務めた経験に基づき福祉対策に力を入れていきたいとアピール。ついで、治安対策や文化芸術の重要性について語り、これらの政策を実現する前提として、経済政策の重要性を強調した。具体的には、「特区を作って、東京で壮大な実験をやる。霞ヶ関の規制を排した思いきった改革をして、若者を含めて雇用を作りたい」と話した。
細川氏「心豊かな、知的興奮が得られるような首都東京」
細川氏は、原発再稼働などを含めた現政権の政治姿勢に危機感を覚えて、立候補を決意したと説明。その上で、心豊かな知的興奮が得られるような首都東京、世界の人たちが住みたいと思えるような街づくりを進めたいと思っていると話した。
―スピーチ後はテーマごとに、各参加者が自らの主張を語り、それについて簡単な討論を行う形式へと移行した。
2020年オリンピック・パラリンピックについて
写真一覧
可能な限り盛大に、「おもてなし」の心で世界中の人がもう一度東京に来てほしいと思えるようなものにしたい、と語った。また、デフレの現状を考慮すれば、こうした公共事業は経済政策にもなると主張した。
「スタジアムなどの設備が過大である」という意見については、「世界から見て恥ずかしくないものをつくるべきだし、その後の利活用を考えれば良い」と反論。具体的には、食料の備蓄などをして、災害時の避難所として利用できるようにすることや、選手村を高齢者と子持ち家族など三世代が利用する住宅にしていくなどの構想を披露した。
◆舛添氏
史上最高の五輪にすべく、努力すべきで、そのためには東京の交通網が他の先進都市に比べると遅れていると指摘。環境保護の観点から自転車の活用を進めるべきと主張した。また、こうした自転車のためのインフラを整備することは、災害時の防災対策の観点からも有用だと話した。
また、ボランティアが積極参加を促したいという自身の希望や、選手村だけは自然エネルギーや都民の生み出したエネルギーなどでまかなうなど、自身の考えを説明した。
さらに金メダリストへの報奨金がオリンピック300万に対して、パラリンピックが100万であることに言及。自身が厚生労働大臣の時に、引き上げに尽力にしたことにも触れ、寄付も含めて、これを同じにできるよう尽力したいと述べた。
バリアフリーについては、障がい者への配慮に加えて、駅の表示を外国語に対応するなど、外国人にとってもバリアフリーにあるべきだと話した。
◆細川氏
ロンドン五輪が、「持続可能性」をテーマとしていたことから、東京でもその精神を引き継ぎ、過大な施設は見直すべきだと主張した。選手村などの施設については、原発を使わないエネルギーでまかない、それでオリンピックを成功させることができれば、世界中を驚かすことができると話した。また、「オリンピックの果実」を東北と分かち合えるようなものしたい、としている。
また、「外交は国の専権事項であるが…」としながらも「現在のようにアジア近隣諸国とギクシャクしたままで本当に上手く行くのか」という懸念を示し、自治体レベルで出来ることをやっていきたいと話した。
◆宇都宮氏
コンパクトかつシンプルに環境に配慮したものにすべきで、あまりお金をかけずに、過大な計画は見直すべきだ、と述べた。現在８万人動員できるイベントは、嵐とAKBだけであるというエピソードを紹介し、ロンドン五輪において、メインスタジアムはスタンドの一部が仮設だったことから、東京も同様にすべきではないかと話した。さらに、環境への影響に配慮すると同時に、選手村を終了後、公営住宅として利用するアイデアにも触れた。
また、全国民が歓迎できるものにするべく、震災被害者や原発事故の被害者への支援をさらに強化する必要性を主張した。また、パラリンピックを成功させるためには、東京のバリアフリー対応が必要であるとした。
オリンピックが「平和の祭典」であるために、アジアにおける平和の重要性を強調。当選を果たした場合、ソウル、北京の首長に呼びかけて３都市間の平和都市会議を実施し、自治体外交を通じて、アジアに置ける平和外交を推進したいと述べた。カジノ誘致については反対。
―この後、宇都宮氏からオリンピックに関連して「カジノ誘致」についての質問があり、各候補者が考えを述べた。
カジノについて
◆宇都宮氏自身が、長年サラ金やクレジットの問題に取り組んできた経験から、ギャンブル依存症などの問題を指摘し、反対のスタンスを明確にした。
◆細川氏
経済に好影響を及ぼす可能性に触れながらも、やるべきではないと話した。
◆田母神氏
自身が「まだ、それほど勉強していないが」と断りながらも、「お金がない人が集まるような場ではなく、世界の富裕層を呼び込む場としてあってもいいのではないか」と述べた。
◆舛添氏
経済、国際交流面のメリットはあるが、ギャンブル依存症のような問題があるため、慎重に議論すべきと話すにとどめた。国によっては、自国民には許さないが、外国からの観光客にはカジノの利用を許可しているケースなどがあるので、そういった形も含めて、慎重に議論すべきだとした。
エネルギー政策について
◆舛添氏福島の事故以来、長期的には原発に依存する体制からは脱さないといけないと考えていると述べた。ただ、時期については「技術の進歩によって多少変わるかもしれないが、感覚値として、だいたい30～40年ぐらいかもしれない」と話し、即時脱原発には否定的な態度を示した。
また、「忘れてならないのは、現在の東京は電力の消費地であることだ」と述べて、生産地のためにどんなことができるかを考え、再生エネルギーの問題に、当事者意識をもって取り組むことの重要性を主張した。
さらに、「エネルギーは安定供給を考えなければいけない。また、燃料費の高騰のように経済を考えなければ行けない。あるいは、CO2対策も考えなければ行けない」とした上で、「きちんと代替案を用意しなければならず、それが出来ないのは責任あるリーダーの発言とは言えない」と強調した。
◆細川氏
「原発は都知事選の争点ではないという方がいますが、それは違う。一度大きな事故が起これば、東京も壊滅的な打撃を受ける」と話し、都民に取って重要なテーマであると主張した。
さらに、東京都は東電の株主でもあるので、ヨーロッパにならい、自然型・分散型・再生エネルギーに切り替えて行くことができれば、日本は飛躍的に成長できるという自説を披露した。
また、「原発が非常に高コスト、高リスクであることは世界の常識。これを継続して行くことはとんでもないことだと思う。『即ゼロ』ということを宣言すれば、企業も成長産業である自然エネルギーの方に切り替えて行くだろう」と話した。
◆宇都宮氏
「原発のコストが安い」という意見について、その場合のコストは事故が起きた場合の保証の費用も含めなければいけないと指摘。さらに廃炉の費用や放射性廃棄物の管理のコストなども含めれば、原発は非常に高い電力であると話した。
再稼働については否定的で、発送電を分離した上で自然エネルギーの普及を進めて行くべきだと述べた。ただし、一気に切り替えることは難しいので、「過渡期には火力などに頼らざるをえない」とした上で、その場合のコストについては、天然ガスの輸入などに際して、もう少し交渉努力をすることで多少は抑制することができるのではないかと主張した。
また、「脱原発」を進める際に被災者の救済と「脱被爆」を成し遂げることが重要だと話し、食品の安全管理などの取り組みを行っていく必要性についても主張した。
◆田母神氏
安全管理を徹底した上で、原発を利用して行くべきだと述べた。理由として、原発を止めているがために、４兆円も燃料費を海外に支払っており、それが中小企業の経営圧迫していることを挙げ、「原発を使えば、GDPを継続的に延ばして行ける」と話した。
さらに、「原発については非常に非科学的な議論が蔓延してる」と話し、「高濃度汚染水1リットル190ベクレル、基準値の19倍などといって騒いでいるが、日本の基準は世界と比べて100倍厳しいからだ」と述べた。さらに核のゴミについても「日本中が核のゴミに溢れてしまう」などということはあり得ないと話した。
また、「原発を使わないことが世界の常識」という細川氏の発言について、「そんなことはないし、中国も韓国も原発を持っている」と反論。「日本は世界一の原発技術を持っている」とした上で、脱原発により原子力に関わる人材がいなくなり、技術力も低下してしまうという懸念を示した。さらに、「日本は、50年使っていて、運転中の原発の放射能事故が原因で亡くなった方は一人もいない」と話し、それを考えれば安全管理は可能だ、と話した。
-ここで宇都宮氏から田母神氏に対して、「原発は安全だとおっしゃるが、現実に福島でああした事故が起きているではないか」との質問が投げかけられた。
<田母神氏と宇都宮氏が議論>
写真一覧
これに対し、宇都宮氏は「動物が元気に走り回っているというが、放射線の影響が表出するまでは何年か掛かる場合が多いので、継続的に何年か調べて行かないといけない。また、先ほど原発事故による死亡者は出ていないという話があったが、自殺などの震災関連死は既に何件もある」と主張した。
田母神氏はさらに「放射線医学の先生に聞いたところ、人体のDNAは２年程度ですべて更新される。なので現在の放射線医学では、現在出ていない障害や症状が５～10年後に出ることはない。これは専門家がみんな言っている」と主張。
また、放射線の蓄積についても「DNAの更新機能がない場合の実験結果であって、これは間違いだと既に明らかになっている。なので、２年以内にでないものは大丈夫で、4～５年たって出たものはこれは関係ない」と話した。
細川氏から「核のゴミもどうしたいいのか明らかではない。これについては、どう思うか？」と問われると、田母神氏は、「放射性物質が危ないと過度に煽られている。一昨年、世田谷の家の地下のラジウムから放射線が出ていたが、普通に人が暮らしていた。なので、数シーベルトでそれほど危険ではないというのは、自分がいっているのではなくて、放射線の専門家が言っている」と反論。
宇都宮氏が、「被爆してから数年後に発病しなければ大丈夫だと言ったが、長期間被爆しながら働いた被爆労働者が、白血病になったりした場合、労災が認定されている。これは日本の行政、政府機関が、労災を認定したということは、被爆の影響を認めたということなのですが、それを否定するということなのか？」と問うと、「それは行政が昔の科学に基づいているからです。現在の科学に基づいたものにするべきだ」と述べた。
少子高齢化の進展に伴う社会保障について
◆宇都宮氏冒頭のスピーチと同様に、石原・猪瀬時代における福祉切り捨てを批判した上で、在宅介護を望む高齢者に対しても、ヘルパーや看護師を２４時間巡回介護するシステムをつくるべきだと話した。さらに、高齢者への施策として、公共交通機関を無料化するシルバーパスや医療費の助成を復活させると考えていると述べた。
少子化の問題については、若い人たちが子どもを育てられる体制になっていないと指摘。住宅環境の整備として、都内にある空家を借り上げて、住宅として提供するなどのアイデアを披露した。さらに、保育園だけではなく、児童館など学童を充実させ、女性が社会進出しやすい環境を整えることの重要性を強調した。そのために、保育士の待遇も改善についても言及している。
加えて、女性の地位の向上を都としてアピールするために、女性の副知事を１人入れたいとも話した。
◆田母神氏
子育て支援策を強化し、働きたい女性を助けるために、保育所や託児所を必要数つくると述べた。一方で、子育てに専念したいという女性向けに、子どもの数によって、家賃を補助するなどのアイデアを披露した。
高齢者については、孤独を感じている老人が多いことから、低層界に高齢者が住み、上層階に子育て家族が住む三世代型の住宅を提案。子育て家族が、お年寄りに気を配る一方で、高齢者は子どもに気を配り、双方に絶えず配慮がなされているという街にしたい、と述べた。
また、このように町内会や子ども会などのつながりがゆるやかに機能していることが、災害対策にもなると指摘した。
◆舛添氏
自身の厚生労働大臣の経験から、社会保障分野の強みをアピール。保育所などについては、霞ヶ関の規制が障害になっている部分もあるので、連携を取りながら、規制緩和を進めていきたいと話した。また、東京は産婦人科の数が足りないので、これは改善したいと述べた。さらに、待機児童を４年間でゼロにすることを都民に約束する、と述べた。
若者向けには、国の制度に都が上乗せして、職業訓練などの手当を行いたいと話し、特別養護老人ホームに入れない老人、待機老人向けに、東京都がもっている土地を安く活用するなどの構想を明らかにした。
◆細川氏
都の資産を活用した保育所や老人ホームのアイデアに触れる一方で、隣組的なネットワークを行政も支援して、お年寄りがそこに頼れるような形にしたい、と話した。その際、公助だけではなく共助の精神にそって政策をすすめていくことが重要だと付け加えた。
また、女性の社会進出は非常に重要だと考えており、有資格者の支援や手当を出す可能性について触れた。さらに、こうした部門の都の担当職員の女性比率を現在の半分から2/3ぐらい増やすなどの施策が手を付けやすいのではないか、と話した。
待機児童の問題については、「数を必要性はあるが、その際に“保育の質”が保たれているかを議論する必要がある」と舛添氏の規制緩和論を牽制するような発言もあった。これに対して、舛添氏は「働きたいという奥さんたちのニーズは切羽詰まっているわけですから、最低限守らなければ行けない基準はあるけれども、ニーズに対応するための努力は進めるべきだ」と反論した。
◆田母神氏
「子育てコンシェルジュ」という横浜市のシステムが好評を得ているという例を挙げ、各地域に子育てを終えた世代の女性を配置し、展開して行くという政策を披露。さらに、同じイメージで、「高齢者コンシェルジュ」「障がい者コンシェルジュ」などの取り組みもあってもいいと考えていると述べ、「いわゆる“弱者”が気軽に相談できる環境が必要だ」と主張した。さらに介護の問題に着いては、介護士の待遇改善が必要だと話した。
また最後に、女性の副知事については、自分も考えており既に打診をしている人もいる、と述べた。
写真一覧
防災対策について
◆細川氏「脱原発の問題とも関わってくるが、現在の都の職員が『地域防災計画』という良いものを作っているので、それの精度とスピードを上げて行くべきだ」と述べた。その際、景観にも配慮したものにしたいということも付け加えた。
また、手を付けやすい政策の一つとして、拠点型のビルに、自家発電の設備を設置したり、食料を備蓄するなどの対策を挙げた。
◆宇都宮氏
直下型地震に対する対策は急務であるが、ここでも石原・猪瀬都政時代に予算が削減されていると指摘。耐震、不燃化工事に、現在助成が出ていない部分があるので、これを出すべきと話した。その際に、助成を出している静岡県の例を挙げて、比較すると20分の1しか対策が進んでいないと説明した。
また湾岸のコンビナート地帯や火力発電所に火災が発生すると大災害につながるため、近隣の神奈川、千葉県や国を巻き込んで対策を進めるべきだと主張した。
帰宅困難者対策については、民間の高層ビルと連携しながら、避難所として利用できるようにすると同時に、学校などの避難所については、ソーラーシステムを設置し、自家発電できるようにしておくというアイデアを披露した。さらに、火災の原因はだいたい電機関連のトラブルなので、その対策となるような装置を各家庭に設置するよう助成を行う、と述べた。
◆田母神氏
東京の耐震性を強化するための公共事業をやると同時に、木造エリアに防火対策を施すべきだと話した。その際、こうした事業に取り組む、個人や企業に対しては減税をすべきだと主張した。消費増税の負担をやわらげるためにも、１兆円規模の減税と１兆円規模の公共事業をやることで、２兆円規模の経済対策としたいとしている。
さらに、緊急時に即応できる体制づくりが海外と比べると遅れていると指摘。こうした体制を作るために、自身の自衛隊における経験が役立つとアピール。電線の地中化などもすすめ、災害に強く、いざ起きた際には有機的に動ける体制を作りたいと述べた。
また、現在、緊急時の食料などが220万人分備蓄されているが、想定されている帰宅困難者は700万人規模なので、これに対応できるようにしなければ行けないと述べた。最後に、こうした災害救助体制の整備は、地域のつながりなどの復活につながって行くのではないか、と主張した。
◆舛添氏
木造密集地域や公共施設の耐震化などハード面での対策に触れる一方で、防災マニュアルのようなものを各家庭に配布したり、防災教育に力を入れるなど、ソフト面の取り組みの重要性についても言及した。
また、東日本大震災の際には都内の渋滞が起きたことから、帰宅困難者対策として、自転車道路の整備のアイデアに再び言及した。
尖閣諸島寄付金について
ユーザーから寄せられた質問として、「尖閣諸島をめぐる寄付金」がテーマに上がり、各候補者が意見を述べた。まず田母神氏が「尖閣諸島に国有化されていない島が一つあるので、これを買えばいい。また、尖閣が日本の領土であることを英語でPRする事業につかえばよい」と話した。これに対して、舛添氏は「まず国がどういう立場をとるのかがわからないと、動けない。公務員を常駐させるとか、船溜まりをつくるとか色々あると思うが、もう少し、時間かけて慎重に検討したい」と話すにとどめた。細川氏も、同様に「私が石原さんの立場であれば、ああいうことはしなかったでしょう。国の対応もあるし、寄付した方の思いもあるので、衆知を集めたい」と慎重な態度を示していた。
また、宇都宮氏は「尖閣の購入と都政との関連がいまいちよくわからない。原則として寄付者に返すべき。返せないのであれば、その分については、別途検討する」と語った。
景気・雇用問題について
◆舛添氏国家戦略特区法案が通ったことをふまえ、「国と協力しながら、東京で大胆な実験をしたい」と話した。さらに「規制を緩和して、若い人にどんどん会社をつくって、もうけてもらいたい。そうすれば雇用が生まれ、先端技術が集まる、さらに職業訓練もしっかりして、スキルアップしてもらい、成長の果実が若い人の雇用につながるようになってほしい。」と述べて、最期に「東京モデルから世界を変えて行きたい」と締めくくった。
◆細川氏
冒頭に「自然エネルギーというものが、これからの成長の鍵を握っている」と述べて、トップとして、「脱原発」の意志を示すことの重要性を強調した。さらに、シーメンスやGEといった企業の例をあげて、「今まで原発を作ってきた企業が、自然エネルギーに転換しつつある。トップが意志を示せば、雪崩を打ったように、転換が進むと思います」と話し、これにより経済成長が進むと述べた。
◆宇都宮氏
「内需を拡大するためには、労働者の賃金をあげて、社会保障で所得を支えないと行けない」と指摘。にもかかわらず、ここのところ賃金が下がり続けており、生活保護費を削減するなど社会保障も削られ続けていることが、問題だと話し、「社会保障の充実がなければ、景気の本格的な回復はない」と主張した。
さらに、雇用については、福祉の充実、自然エネルギー、防災対策、特別養護老人ホームといった分野に可能性があると話し、こうした持続可能性の高い雇用に力を入れるべきだと話した。
◆田母神氏
「タモガミクス」と自ら名付けた経済政策を行うと主張。1本目の矢として、都民税の減税を実施。加えて、公共事業の拡大、3番目として、中小企業対策を行うと実施すると話した。現在9７％の人が中小企業で働いているため、「こうした人々に仕事が行き渡れば、景気が上向き、、雇用も生まれて、好循環が始まって行く」と話した。
有権者に向けて最期に一言
写真一覧
◆細川氏
福祉、防災、雇用については誰がトップについても大して変わらない。重要なのは原発です。これは誰がトップに立つかにより、国の形がガラッと変わる。成長に向かうか、衰退に向かうか。そこが非常に重要な今度の選挙だと思う。
◆舛添氏
世界の都市ランキングで東京はずっと４位です。６年後のオリンピック・パラリンピックに向けて、パリ・ニューヨーク・ロンドンの上位の3都市を抜く。防災、福祉、芸術文化、経済でもあらゆる分野で世界1位になる。「本当に東京に生まれてよかったな」と思える東京を作りたいと思っております。
◆田母神氏
東京都が何かをやろうとするときに、東京都の公務員、警察官、消防官、都の職員たちがそれぞれ、「よしやるぞ！」と思って仕事をしてくれなければ、最大の都民サービスは提供できないと思います。知事がどんなにやる気を出しても、ついてきてくれる人たちが、「やらしておけ」では良い仕事はできません。ですので、私は都に勤める人たちのやる気を出させるために努力をしていきたいと思っています。
◆宇都宮氏
安倍政権は成長戦略の一環として、国家戦略特区構想を考えているようです。首相はよく「企業が最も活動しやすい国にする」といっているが、この特区構想の象徴の雇用特区は、いつでも労働者を解雇できる、残業しても残業代を払わなくていい。企業にとっては天国でも労働者にとっては地獄の特区構想だと考えています。
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