【新聞チェック】大連立は幻に終わるのか? “谷垣首相”の奇策も浮上 - BLOGOS編集部

2022年3月30日 0時0分

※この記事は2011年08月18日にBLOGOSで公開されたものです

　民主党代表選に出馬する意向の野田佳彦・財務相が唱える大連立構想の雲行きが怪しくなってきた。秋波を送られた自民党から異論が噴出しているからだ。民主党に対して今まで以上に大きな政策転換を要求したり、解散総選挙を望む声が出ている。下手に落ち目の民主党を助ける形になると、次の選挙で大敗しかねないからだ。高めのハードルを課して、新代表の出方を見ようという雰囲気が濃くなってきた。（BLOGOS編集部・安藤）

大連立は「例外中の例外」

　自民党内では、民主党に対して今まで以上に大きな政策転換を要求したり、解散総選挙を望む声も出ている。下手に民主党を助ける形になると、次の選挙で大敗しかねないからだろう。18日の東京新聞によると、自民党のハードルは相当高いようだ。

自民党は、修正合意した子ども手当にとどまらず、米軍普天間飛行場移設問題など外交・安全保障、年金一元化や最低保障年金など社会保障政策でも、根本的な見直しを要求。

　また同日の産経新聞は、17日に開かれた自民党の臨時幹部会の様子を以下のように伝えている。

谷垣禎一総裁は「震災復興は協力しなくてはいけないが、大連立は『例外中の例外』であると肝に銘じるべきだ」と否定的な考えを表明、他の党幹部も民主党への不振感をあらわにした。

（略）

山本一太参院政審会長「民主党がマニフェスト（政権公約）を見直すならば解散だ。解散前の大連立はあり得ない」
小池百合子総務会長「民主党は意思決定のプロセスさえもわからない政党だ。そんな党との大連立は認められない」

昼食会を兼ねた臨時幹部会で、出席者の多くが谷垣氏に賛意を示し、強い口調で民主党を罵った。

　読売新聞によると石原伸晃幹事長は「大連立の可能性はゼロではないが、ほぼゼロに近い」と述べた上で、「（第3次補正）予算を通し、解散・総選挙ということであれば……」と言葉を濁した。石原幹事長は、衆院の解散総選挙の早期実施が、連立協議の条件となることも示唆しており、大連立の可能性が完全にゼロになったというわけではなさそうだ。一方、公明党は自民党に比べると柔軟姿勢。東京新聞では以下のような記事を載せている。

公明党幹部は「野田氏が新代表になれば、（連立に向けた）協議くらいは受けてもいいのではないか」とも指摘している。

「谷垣首相」という奇策も

　反発が強まる党内をなだめる奇策として、「谷垣首相」というぶっ飛んだアイデアも自民党内で検討されている。第一党の民主党ではなく、第二党の自民党から総理を出すという奇策だ。16日付の産経新聞は、次のように報じている（参考記事）。

自民党執行部が谷垣禎一総裁の首相就任を条件に、民主党との大連立を検討していることが１５日、分かった。党内には早期の衆院解散・総選挙の障害となる民主党との連立に反対論が強いため、民主党との交渉入りに際し、解散権を持つ首相ポストの獲得を条件とすることで党内の理解を得る狙いがある。ただ、衆院で圧倒的多数を占める民主党が首相を自民党に譲る可能性は少ない。民主党代表選に出馬する意向の野田佳彦財務相は大連立に意欲を示すが、実現は難しそうだ。

　果たして大連立構想は真夏の夜の夢に終わるのか……。