暑くなってくると、コンクリート、庭の石、外壁などに現れる赤ダニ。赤ダニが発生した場合、どのように駆除したらいいのでしょうか。この記事では、赤ダニの生態に触れたうえで、駆除方法や予防方法を紹介します。

赤ダニとはどんな虫か

大量発生している赤ダニを見つけたらゾッとしてしまいますよね。そもそも赤ダニはどのような生物なのでしょうか。ここでは、赤ダニの生態について解説します。

赤ダニの正体は?

赤ダニの正式名称はカベアナタカラダニ(画像素材:PIXTA)

一般的に赤ダニと呼ばれている虫の正式名称は「カベアナタカラダニ」です。ダニの仲間ですが、体が朱赤色である点が大きな特徴となっています。体はたくさんの毛で覆われています。体長は1~2.7mm程度で、マダニと同じくらい小さいです。

赤ダニは5~6月頃になると見られるようになり、7月頃にはその姿を見かけることが少なくなります。

赤ダニの幼虫は、昆虫類やクモ類などに寄生しています。発見されている赤ダニはすべてメスであるため、単為生殖が可能な虫だと考えられています。

健康被害はあるの?

赤ダニは人にとって見た目が不快な虫であるため、「不快害虫」に分類されています。基本的に、赤ダニに刺されても健康被害を受けることはほとんどありません。そもそも赤ダニはほとんど人を刺さないため、極端に心配する必要はないでしょう。人だけでなく、ペットに関する赤ダニの健康被害の報告も出ていない状況です。

ただし、赤ダニを駆除するために潰してしまうと赤い体液が出ます。この体液が皮膚につくと湿疹が出る恐れがあるため、注意しましょう。

赤ダニが発生する場所

赤ダニがよく発生するのは、日当たりがいいコンクリートやブロック塀などです。建物の屋上で赤ダニが見られる場合もあります。また、屋外にある乾燥した石や岩にも赤ダニが発生します。

赤ダニの食料は、花粉や小さい昆虫などです。赤ダニがコンクリートに現れやすいのは、コンクリートの表面に小さな穴が空いていて花粉が付着しやすいからです。

なお、コンクリートであれば、それほど日当たりがよくなくても赤ダニが発生する可能性があります。日が当たりにくいコンクリートには苔が生えやすく、赤ダニが敵から身を隠すのに適しているためです。

屋内の赤ダニ駆除方法

ベランダに干した布団・洗濯物や散歩中のペットに赤ダニが付着し、屋内に侵入するケースもあります。屋内に侵入した赤ダニの駆除方法は次のとおりです。

掃除機で吸い取る

赤ダニが室内に侵入したら掃除機で吸い取る(画像素材:PIXTA)

室内に赤ダニが侵入した場合、掃除機で吸い取ればすぐに駆除できます。すでに触れたとおり、赤ダニを潰せば赤い体液が飛び散ります。室内を汚す可能性があるため、赤ダニは潰さずに駆除することが大切です。特に布団や洗濯物に赤ダニが付着しているなら、軽く掃除機を当てるだけで簡単に取り除けます。

紙パックにゴミが溜まるタイプの掃除機であれば、赤ダニを吸い取った後に紙パックごと捨てましょう。

粘着テープを使う

赤ダニを潰さずに駆除するには、粘着テープを使用するのも一つの方法です。カーペットローラー(通称コロコロ)のような掃除用の粘着テープがあれば、小さい赤ダニも簡単に捕獲できます。赤ダニを捕獲できたら粘着テープを剥がし、そのまま捨ててください。

粘着テープを使用する場合は、なるべく力を入れないようにしましょう。赤ダニを捕まえるときに力を入れすぎると、赤ダニが潰れて赤い体液が出る恐れがあります。

屋外の赤ダニ駆除方法

赤ダニは、庭やベランダなどのコンクリートがある部分に大量発生する場合がよく見られます。

水で流す

赤ダニはとても小さくて軽いため、水で簡単に流せます。ホースを使って水をかけ、水圧により赤ダニを流してしまいましょう。赤ダニが大量発生している場合、高圧洗浄機があるとよりスムーズに駆除できます。

ただし、アパートやマンションのベランダで水を使用するときは、周囲にも配慮が必要です。大量に流した水が隣の部屋のベランダに流れていかないように気をつけてください。

殺虫剤を吹きかける

水を使用できない場合は、殺虫剤を吹きかけて赤ダニを殺虫しましょう。ダニ用のスプレーや不快害虫用のスプレーを使用すると、赤ダニを殺虫できます。スプレーの風圧により赤ダニが飛ぶ可能性があるため、赤ダニから少し離れた所からスプレーをかけるのがポイントです。

死骸はそのまま吹き飛ばしましょう。水が使えるなら洗い流すのも一つの方法です。掃除機で吸い取ったり、粘着テープにくっつけたりする方法もあります。

中性洗剤を薄めてスプレーする

中性洗剤を薄めてスプレー(画像素材:PIXTA)

殺虫剤を使用するのに抵抗がある人には、中性洗剤を薄めて赤ダニに向けてスプレーする方法がおすすめです。台所用の中性洗剤を水で薄め、スプレーボトルに入れましょう。薄めた中性洗剤を赤ダニにかけると窒息死します。

死骸は、殺虫剤を使用する場合と同じ要領で片づけましょう。水で洗い流すか、掃除機または粘着テープで回収してください。

赤ダニの発生を予防する方法

赤ダニを発生させないようにするには、どうすればいいのでしょうか。

発生しそうな場所を水で洗い流す

赤ダニが発生しそうな場所は事前に水洗いしておく(画像素材:PIXTA)

赤ダニが発生しそうな場所があれば、事前に水できれいにしておくといいです。春になったら、コンクリートや外壁など赤ダニがよく発生する場所を水で洗い流しましょう。

そのようにすれば、赤ダニの食料となる花粉や、赤ダニが身を隠そうとする苔などをしっかり落とせます。赤ダニの卵も除去できるため、発生を未然に防げます。ホースで水を流すだけでもいいですが、高圧洗浄機を使用するとより効果的です。

忌避剤を散布する

赤ダニが発生する前に忌避剤を散布しておくのもおすすめです。不快害虫が嫌がる忌避剤を散布すれば、赤ダニが発生しにくくなります。たとえば、ピレスロイドが含まれている「家庭用殺虫剤(虫ケア用品)」やプロポクスルが含まれている「ノビマックス油剤」などがあります。サッシにも散布しておくと、赤ダニが室内へ侵入しにくくなるでしょう。

小さな子どもがいて殺虫成分が含まれるものを使用したくない場合は、「ハッカ油」でも代用可能です。人や動物の体への害がなく、室内でも使用できます。また、布団・洗濯物などにもかけられます。

まとめ

赤ダニは、マダニやイエダニのように人を刺したり血を吸ったりするわけではありませんが、見た目が強烈なので、大量発生すれば不快に感じる人が多いことも事実です。赤ダニは簡単に駆除できるため、見つけたらしっかり駆除することが大切。発生を予防することも可能なので、できる範囲で対策しておきましょう。