障がいがあってもなくても、みんなで一緒に遊べるよう工夫されている公園「インクルーシブ公園」を知っていますか? 転倒してもケガをしにくいクッション性に優れた地面や、車いすのまま利用や乗り移ることができる遊具などが整備され、子どもを安心して遊ばせることができるこれからの公園の形として、今注目を集めています。

最近話題の「インクルーシブ公園」とは?

「インクルーシブ公園」とは、障がいがある子どもも、ない子どもも一緒に楽しく遊ぶことができる公園のこと。年齢や性別、身体的能力などを問わない、ユニバーサルデザインの遊具や施設が求められます。
インクルーシブな公園づくりに関する調査や協力、情報提供を行う市民グループ「みーんなの公園プロジェクト」では、下記の遊び場のユニバーサルデザイン5原則を掲げています。

アクセシビリティ
誰もが公平にアクセスでき、最大限に自立して遊びに参加できるよう、物理的環境を整える。
選択肢
誰もが自分の好きな遊びを見つけ、さまざまな力を伸ばせるよう、多彩な遊び要素とチャレンジの機会を提供する。
インクルージョン
誰もが対等に遊びに参加し関わることで相互理解が深まるよう、インクルーシブな環境をつくる。
安心・安全
誰もが重大な危険にさらされることなくのびのびと遊べるよう、細やかな配慮と工夫を凝らす。
楽しさ!
誰もがワクワクしながら自らの世界を大きく広げられるよう、遊びの価値の高い環境をめざす。

ほかの公園とはどこが違う?

出典:東京都建設局「『だれもが遊べる児童遊具広場』整備のガイドライン」「だれもが遊べる児童遊具広場」の基本的事項

具体的に、インクルーシブ公園と普通の公園はどのようなところが異なるのでしょうか。東京都建設局が「だれもが遊べる児童遊具広場」のガイドラインを作成しています。たとえば、利用を想定しているのは3~6歳の幼児と6~12歳の小学生で、その親や介添者、兄弟なども含みます。ユニバーサルデザインであること、具体的には「公平(だれもが同じように)、簡単(容易に)、安全(危険なく)、機能(使い勝手よく)、快適(気持ちよく)」の5つの視点をもとに整備することが必要です。

行ってみたい! 東京都内のインクルーシブ公園

インクルーシブ公園に興味はあるものの、実際に利用したことはないという人は多いでしょう。全国各地でインクルーシブ公園を設置する動きがありますが、東京都内にはどこに、どのような施設があるのでしょうか。注目のインクルーシブ公園を紹介します。

砧公園(東京都世田谷区)

みんなのひろばの船形遊具「みらい号」(写真提供:公益財団法人東京都公園協会)
みんなのひろばの車いすや歩行器のまま遊べる「複合遊具」(写真提供:公益財団法人東京都公園協会)
みんなのひろばの「ぐるぐるマウンテン」(写真提供:公益財団法人東京都公園協会)
みんなのひろばの「迷路」(写真提供:公益財団法人東京都公園協会)

インクルーシブ公園の先駆けと言われているのが、砧公園の「みんなのひろば」。幅の広いスロープを設置し、車椅子や歩行器で「乗船」できるようにした船型遊具「みらい号」や、みんなで乗れる回転遊具「ぐるぐるマウンテン」、皿型や椅子型のブランコ、車椅子でも通りやすい迷路などの遊具で遊べます。

おすすめポイント
約3,200平方メートルの敷地はクッション性に優れたゴムチップで舗装し、アスファルト部分は滑りにくい樹脂系舗装とすることで、ケガや事故のリスクを軽減しています。広場のシンボル「みらい号」をはじめ、多様な子どもたちが遊べる遊具を揃えています。ぜひ遊びに来てください。(砧公園サービスセンター)

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府中の森公園(東京都府中市)

もり公園にじいろ広場の「アドベンチャーキャッスル」(出典:公益財団法人東京都公園協会「府中の森公園に、誰もが遊べる遊具広場がオープン! 誰もが遊べる遊具広場の、オープンプログラムを実施します」)
もり公園にじいろ広場の「マシュマロ君A・B」(出典:公益財団法人東京都公園協会「府中の森公園に、誰もが遊べる遊具広場がオープン! 誰もが遊べる遊具広場の、オープンプログラムを実施します」)
もり公園にじいろ広場の「スーパーハイパーブランコ」(出典:公益財団法人東京都公園協会「府中の森公園に、誰もが遊べる遊具広場がオープン! 誰もが遊べる遊具広場の、オープンプログラムを実施します」)

府中の森公園内の遊具広場が2021年10月、「もり公園にじいろ広場」としてリニューアルオープン。車いすのまま利用できる複合遊具「アドベンチャーキャッスル」や3種類のブランコがそろう「スーパーハイパーブランコ」、大小2つの白いトランポリン「マシュマロ君A・B」など、子どもたちが名付けた遊具の数々で遊べます。

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としまキッズパーク(東京都豊島区)

としまキッズパークのミニSL「IKEDEN」(出典:豊島区広報課「『としまキッズパーク』9月26日(土)にオープン!」)
としまキッズパークの安全に楽しみやすいブランコ(出典:豊島区広報課「『としまキッズパーク』9月26日(土)にオープン!」)

2020年9月にとしまみどりの防災公園(IKE・SUNPARK)の横にできた「としまキッズパーク」。池袋を周遊するバス「IKEBUS」の監修者がデザインして整備された園内は、同じデザインのミニSLをはじめ赤がテーマカラーに。車いすの子どもも座って遊べる砂場や、横転の心配のない安全なブランコなどの遊具が設置されています。
入場は無料ですが、利用の際は事前にサイトで予約が必要。2週間前から利用の1時間前まで予約が可能で、1時間ごとの入れ替え制です。

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恵比寿南二公園(東京都渋谷区)

恵比寿南二公園の「ロックスオールシーソー」(写真提供:渋谷区土木部公園課)
恵比寿南二公園の安全バーのあるブランコ(写真提供:渋谷区土木部公園課)
恵比寿南二公園の車いすに乗ったまま遊べる砂場テーブル(写真提供:渋谷区土木部公園課)
恵比寿南二公園のプロペラを回転させる遊具「シャドーフラワー」(左)と次世代型のジャングルジム「スペースキューブ」(写真提供:渋谷区土木部公園課)

2021年にリニューアルした「恵比寿南二公園」。ぶたのオブジェがあることから「ぶた公園」の愛称で親しまれている公園ですが、高い背もたれ付きのシートに座って遊べる「ロックスオールシーソー」やプロペラを回転させる遊具「シャドーフラワー」、車いすに座ったまま遊べる砂場テーブルや、背もたれと安全バーのあるブランコも設置されています。

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国営昭和記念公園(東京都立川市)

国営昭和記念公園の「わんぱくゆうぐ」(写真提供:国営昭和記念公園)
国営昭和記念公園の「わんぱくゆうぐ」のスロープ側(写真提供:国営昭和記念公園)
国営昭和記念公園の「ふわふわドーム」(写真提供:国営昭和記念公園)
国営昭和記念公園の「ゆらゆらブランコ」(写真提供:国営昭和記念公園)

国営昭和記念公園には、車いすのままでも遊べるスロープが付いた大型複合遊具「わんぱくゆうぐ」が設置されています。車いすのまま乗り込み、ゆらゆらと揺れる船や、視覚に障がいのある子どもが音を出して遊べる仕組みも。その他、大型トランポリン「ふわふわドーム」やシート型の「ゆらゆらブランコ」も設置されています。園内のバリアフリー情報は公式サイトで確認できます。

おすすめポイント
障がいのあるお子さまもそうでないお子さまも、仲良く遊んでいただけます。「わんぱくゆうぐ」をはじめ数々の遊具を設置していますが、なかでも「ふわふわドーム」が大人気。ドームの縁が腰かけることのできるほどよい高さになっているため、車いすに座ったまま無理なく移乗できます。(広報担当・米山さん)

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新田さくら公園(東京都足立区)

新田さくら公園の「バラ花壇」(写真提供:足立区)

「新田さくら公園」には、スロープ状の園路沿いにバラ花壇があります。ここのバラは、一本の枝先から花束のブーケのように開花するフロリバンダという種類が多く、5月上旬に見頃に。フロリバンダは花数が多いので、車いすや子どもの低い目線でも、色鮮やかなバラを楽しめます。駐車場も併設しています。

おすすめポイント
新田さくら公園には18種類、約1,700株のバラがあり、5月上旬には一斉に見頃を迎えます。園内には、子どもがチャレンジせずにはいられないほどの大型の遊具や、区内一位の長さを誇る約20メートルのローラーすべり台も。さらに、区内最大級の約1万6,000平方メートルの芝生広場もあり、広い空を眺めれば、開放感もたっぷり味わえます。(足立区パークイノベーション担当課)

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まとめ

全国各地でインクルーシブ公園の整備が進んでおり、これからも徐々に増えていくでしょう。子どもたちにとって、インクルーシブ公園を日常使いできる環境は魅力的です。小さな子どもがいる人は、インクルーシブ公園がある街に注目してみてはいかがでしょうか。

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