【東日本大震災から11年】見落としがちなペット用の備蓄や避難方法
地震や台風といった災害時に備え、ハザードマップや避難経路の確認、備蓄などはもちろんですが、現代の生活様式に合わせた具体的な備えはできているでしょうか。
東日本大震災から 11 年を迎えた今年は、ケースバイケースの「備え」について、関西大学社会安全学部特別任命教授で岡山県防災アドバイザーも務める河田惠昭(かわたよしあき)先生のご意見と共に紹介します。
ペットと避難、準備はどうする?
コロナ禍で在宅時間が長くなり、ペットを飼う家庭も増加しています。しかし、災害時のペット用の備蓄や避難方法などについては見落としがちです。ペットも飼い主である人間と同じく、避難生活に備えた準備が必要です。ペットとの避難では、主に以下のものを用意しておきましょう。
ペットのための備蓄品
・療法食、薬(必要なペットには必ず用意)
・5日分以上のフードと水、食器
・予備の首輪、リード(伸びないもの)
・飼い主の連絡先やペットの情報を記録したもの
その他、ペットシーツ・トイレ用品・洗濯ネット(猫の逃げだし防止など)・好きなおもちゃ・においのついたタオル・ブラシ・ガムテープ・新聞紙・ブランケット(ペットの体を包める大きさ)など もあると便利。
(環境省 パンフレット「ペットも守ろう!防災対策」をもとに作成)
ペット専用の防災バッグは必要?
上記の備蓄品を入れる、ペット専用の防災バッグを用意しておくべきでしょうか。河田先生によると、「ペットの大きさにもよります。室内犬など小型の動物で、必要なものが飼い主の荷物と一緒に持ち運べるのであれば、別に用意する必要はありません。いずれにしても、“避難のために特別に用意する”のではなく、慣れ親しんでいるものを日常のストックとして多めに備えておくことが大事です」とのこと。普段食べているもの、使っているものなどを、スムーズに持ち出せるように準備しておきましょう。
ペットや避難所に連れて行ってもいい? 悪い?
災害の際、ペットを連れて避難する「同行避難」。しかし、避難所でペットと一緒に過ごすことはできるのでしょうか。河田先生によると、「飼い主と同じ避難所でペットが過ごせるかどうかは、自治体によって異なります。事前にチェックしておくことが大事です」とのこと。
ペットが飼い主と同じ避難所で過ごすことを「同伴避難」といいますが、この場合も「飼い主と同じ空間やスペースで一緒にいられる」ということではありませんので、注意が必要です。
「避難所では、ペットは飼い主とは別の場所で過ごすケースが多いですね。普段ペットを飼っていない人にとっては、鳴き声などがストレスになることもありますし、アレルギーの問題もあります。ペットは飼い主にとっては家族の一員ですが、皆が同じ生活習慣・価値観ではありません。避難所内のルールを守り、お互いに思いやりを持って生活することが大事です」(河田先生)
日ごろのしつけ(訓練)はどうあるべき?
災害時、スムーズな避難や避難所での暮らしのために、普段のしつけではどんなことに気をつけるべきでしょうか。
「首輪やリードなどを日常的につけておくことはもちろんですが、迷子防止の名札なども、普段から使ってないと避難時に突然着けようとしても嫌がる場合があります。ケージに入ることにも慣れさせておいた方がよいでしょう」(河田先生)
【取材協力】
関西大学
社会安全学部 特別任命教授 社会安全研究センター
センター長 河田惠昭先生
防災・減災、危機管理の専門家として、社会安全学の研究、国際・国内シンポジウム、セミナーなどで活躍。岡山県の防災アドバイザーも担当。