完成すれば「線路を横断する閘門レール」も見納めとなります。

堀田駅から高架を南へ延長


名鉄名古屋本線・呼続駅前にある、線路を横断する陸閘門(乗りものニュース編集部撮影)。

 名古屋市は2022年度の予算案を発表。その中で、名鉄名古屋本線呼続地区の立体交差化が盛り込まれています。

 この立体交差化には、完成間近となっている名鉄瀬戸線の喜多山周辺の立体交差化事業と合わせ、約8億3千万円の予算がつく予定です。

 名鉄名古屋本線では、桜駅〜本星崎駅間の連続立体交差化について、事業化に向けた検討・調整が進められています。交通のボトルネックとなっている3か所を含め、12か所の踏切が除却される見込みです。事業化は3工区に分けられ、本星崎駅地区はまず第1期事業として、桜・元笠寺工区が第2期事業として順番に進められる方針です。

 そして、今回予算がついた、最も北側の「呼続地区」についてはすでに事業化済み。設計など具体的な段階に進みつつあるのです。現在、堀田駅を出ると名古屋本線は地上に下りますが、事業完了後はそのまま呼続駅南側まで連続して高架となります。

 呼続地区は他工区とは切り離され、河川事業と一体で進められています。呼続駅北側で名鉄と交差する山崎川では、浸水対策事業により、河床掘削や堤防かさ上げなどが進められています。そして名鉄の橋梁も、流水を阻害することからかさ上げが必要となりました。それならば連続立体事業と一体で、呼続駅の高架化も行おうということになったのです。

 名古屋市河川部によると、名鉄の立体化事業に関する部分について、2022年度は設計業務の発注が中心になるとのこと。工事には線路を一旦横にどけるための用地確保が必要になってきますが、その影響範囲がどれくらいになるか、設計により明らかになります。なお、高架化完了後はその用地は道路に利用されますが、その都市計画決定はすでに完了しています。

 ちなみに、呼続駅北側の山崎川橋梁は、堤防を突き抜けて線路が通る構造となっています。そのため洪水時は、その穴から浸水するのを防ぐため、「陸閘門」により線路ごと遮断されます。普段は線路を横断するように、ゲートの"線路"が通っているのを見ることができます。似た構造は、阪神なんば線の伝法駅北側などにもあります。この珍しい風景も、かさ上げによって見納めとなります。