引っ越しの際には水道や電気、ガスの手続きや転出・転入届の提出など、やるべきことがたくさんあります。ペットを飼っている人は、それらに加えて行う手続きがあることを知っていますか? 引っ越しの際に手続きが必要なペットの種類や手続き方法、引っ越し先にペットを移動する方法を紹介します。

「犬」と「特定動物」は引っ越し時に手続きが必要

犬は犬種を問わず、引っ越しの際に手続きが必要です(画像素材:PIXTA)

引っ越しの際、猫や鳥といった小動物は基本的に手続きの必要がありませんが、「犬」は犬種を問わず登録変更手続きが必要です。
犬を飼う際は狂犬病予防の観点から、現在居住している市区町村に飼い犬の登録をすることが法律により義務付けられています。登録は基本的に生涯で1回ですが、引っ越しをした場合は移転先の市区町村窓口へ届出が必要です。詳しくは厚生労働省のホームページを確認してください。

また、「特定動物」も引っ越し時に手続きが必要となります。「特定動物」を飼う場合は都道府県知事の許可が必要となり、引っ越しの際は事前に届けを出し、飼育の許可を得る必要があります。特定動物とは人に危害を加える恐れがある動物のことを差し、ワニやマムシなど約650種が指定されています。該当の動物は、環境省の特定動物リストで確認しましょう。

どのような手続きが必要?

犬とともに引っ越す際は、引っ越す前に交付されていた鑑札をなくさないようにしましょう(画像素材:PIXTA)

犬の手続き
狂犬病予防法の第4条により、愛犬とともに引っ越しをする際は、転入から30日以内に引っ越し先の市区町村で届け出を行うことが義務づけられています(同一市区町村内で引っ越す場合も手続きは必要です)。「犬の登録事項変更届出書」に必要事項を記入の上、最寄りの役所や保健所に提出しましょう。年に1度の狂犬病予防接種を引っ越す前に受けている場合は「狂犬病予防注射済票」も必要です。引っ越す前に交付されていた鑑札は、引っ越し先の自治体で新しい鑑札と無償で交付してもらえる自治体が多いため、併せて持参します。詳しくは各自治体の公式サイトなどを確認しましょう。

特定動物の手続き
特定動物の手続きに関しては、引っ越し先の都道府県庁や政令市庁(動物愛護センター)に問い合わせの上、事前の手続きが必要です。「特定動物管轄区域外飼養・保管通知書」など必要な書類の一部は、環境省のホームページからダウンロードが可能です。

引っ越し先にペットを連れていく方法は?

引っ越しに際し、ペットの移動には細心の注意が必要です(画像素材:PIXTA)

ペットを新居へ連れて行く方法として主に「自動車や公共交通機関を利用して自身で連れて行く」「引っ越し業者に依頼する」「ペット輸送専門業者に依頼する」といった方法があります。

自身で連れて行く
近隣の引っ越しであれば、気心の知れた飼い主とともに移動したほうがリラックスして移動できるでしょう。業者に依頼する費用もかかりません。公共交通機関を利用する場合はペットキャリーでの移動となりますが、持ち込みの可否や持ち込めるペットキャリーのサイズ、持ち込み料金の有無などを事前に確認しておきましょう。
たとえばJRの場合、ペットは有料手回り品の扱いとなり「縦・横・高さの合計が120センチ以内の動物専用のケースに入れる」「ケースとペットを合わせた重さが10キロ以内」というルールで持ち込みが可能で、料金はペットキャリー1個につき290円です。詳しくは公式サイトを確認しましょう。

引っ越し業者に依頼する
引っ越し先が遠方の場合は引っ越し業者への依頼が便利ですが、ペットの移動を請け負っていない業者や、ペットの取り扱いに慣れていない業者もあるため、事前に相談のうえで依頼しましょう。
たとえばアート引越センターやサカイ引越センターは専門業者に依頼。ハート引越センターはペット輸送の専門ノウハウを持つ提携会社のスタッフが運んでいます。

ペット輸送専門業者に依頼する
ペットにできるだけ負担がかかりにくい方法で連れていきたい場合や、爬虫類や魚類など輸送が難しいペットを飼っている場合は、ペット輸送専門業者への依頼がお勧めです。別途費用が発生するため、早めに見積もりをとると良いでしょう。
たとえばアート引越センターグループの「ヤマトホームコンビニエンス」の場合、ゴールデンレトリバー(大型犬)なら東京から大阪までの移動で5万160円から、猫なら4万1,800円からとなります。詳しくは公式サイトで確認を。

ペットと引っ越しをする際に注意すべきポイントは?

ペットにとって引っ越しは大きな負担となるため、十分なケアを心がけましょう(画像素材:PIXTA)

住み慣れた場所から移動すること、新居で環境が大きく変わることは、ペットにとって少なからず負担となります。ストレスによって体調を崩すことのないよう、できる限りの対策をしておきたいところです。

物件選びの注意点
大前提として「ペット可」の物件を探しましょう。ペットを飼うことはできても、大型犬や複数飼いは認められていないケースも多いため、事前に確認します。分譲物件は基本的にペット可のケースが多いですが、中古マンションではトラブル回避の観点から禁止としている場合もありますので、注意が必要です。
新築の賃貸物件の場合、退去時に傷やニオイを指摘され、原状回復費用が高額になる恐れがあります。入居時に支払った敷金では足りなくなるケースも多いため注意しましょう。中古物件の場合も、内装の素材やメンテナンスのしやすさをチェックしておくとよいでしょう。
また、高層階の場合はペットが飛び降りてしまう危険性がないか、事前に環境を確認しておくことが大切です。

移動時の注意点
犬を公共交通機関で移動させる場合、車両内などで吠えたり暴れたりする心配があります。リスクを軽減するため、「日頃からペットキャリーでおとなしく過ごせるように慣らしておく」「前日には長めに散歩をして適度な疲労感で眠れるように調整する」「キャリー内にお気に入りのおもちゃやおやつなどを入れておく」「できるだけ乗客が少ない時間に乗車する」といった工夫をしましょう。当日は早めに食事を済ませ、出る直前にトイレを済ませておきます。乗り物に弱い場合は獣医に相談して酔い止めを処方してもらうといった準備も大切です。

到着後の注意点
引っ越し先に到着してから体調を崩してしまうこともあります。引っ越し先の動物病院はどこにあるのか、所在地や連絡先、診療時間を確認しておくと、いざというときも安心です。

引っ越した際はご近所にあいさつをすると思いますが、鳴き声を発するペットとともに暮らす場合は、事前にその旨を伝えておきましょう。マンションの場合は足音が響く可能性も考慮し、やや広い範囲であいさつをしておくと、後でトラブルになる可能性を軽減できます。

まとめ

引っ越し先でペットと安心して新生活をスタートできるように、必要な手続きやその方法は事前に確認しておきましょう。リスクを回避するにはどのような対策が必要なのか知っておけば、いざというときも安心です。人もペットも新しい環境で快適な生活ができるように、万全の体制で引っ越しに取り組みたいところですね。