2022年提出分(2021年分申告)の確定申告は、新型コロナウイルスの影響で申告・納付期限が延びた昨年までとは期限も異なり、e-Taxやスマートフォン申告も簡略化されました。

特に保険料控除など還付申告だけの人、ふるさと納税を確定申告で行う人は、アプリをダウンロードして、スマートフォンで自動入力できる範囲が広がりました。今回は2022年提出分の確定申告の期限や申告方法、昨年との変更点についてお伝えします。

2022年提出分(令和3年度分申告)の申告期間は?

2021年(令和3年)分確定申告の書類受付と納付期間は、2022年2月16日(水)から2022年3月15日(火)までとなっています。税金の還付を受けるための還付申告は2月15日以前でも申告可能です。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、提出期限、納付期限とも4月16日まで延長された昨年とは異なりますので、気をつけましょう。

特に確定申告義務のある個人事業主などが、期限が過ぎてから申告を行うと「期限後申告」となり、納税額に加えて「無申告加算税」等ペナルティが課されますので注意しましょう。

ただし、医療費控除など還付申告は翌年の1月1日から5年間遡って申告できます。

確定申告の方法は?

確定申告は、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」(以下作成コーナー)から、画面の案内に沿って金額等を入力して作成することができます。

「作成コーナー」は、毎年1月上旬からサービスが開始され、所得税や贈与税の申告書、個人事業主の青色申告決算書や収支内訳書等の作成とe-Taxによる送信(提出)ができます。

2022年提出分のe-Taxは「マイナンバーカード方式」「ID・パスワード方式」に加え、「二次元バーコード方式」の3つの方式が利用できるようになりました。「マイナンバーカード方式」はマイナンバーカードを読み取るための外付けICカードリーダライタが必要となり、「ID・パスワード方式」は税務署の職員と対面で本人確認を行って取得するID、パスワードの「届出完了通知」が必要です。しかし、今年からスマートフォンのアプリをインストールするだけで、外付けICカードリーダライタもIDやパスワードもいらない「二次元バーコード方式」も始まりました。詳しくは次の項目で解説します。

入力が完了した書類は、e-Taxで送信する以外に、印刷して税務署に直接持参する、時間外集積箱に投函する、郵送するといった方法も可能です。また、所得の種類が給与所得、雑所得、一時所得の人はスマートフォン(スマートフォン)での申告も可能です。

ここからは、2022年提出確定申告の変更点についてポイントを解説します。

前年度からの変更点

前年度からの主な変更点は以下の通りです。

e-Tax等申告方法に関する変更

(1)スマートフォンがあれば外付けのICカードリーダライタは不要に
「ICカードリーダライタ方式」と「ID・パスワード方式」に加え「二次元バーコード方式」が加わりました。

「二次元バーコード方式」は、パソコンにアプリをダウンロードし、表示される二次元バーコードをスマートフォンで読み取った後、マイナンバーカードをスマートフォンにセットして内容を読み取ります。外付けのICカードリーダライタがなくても、スマートフォンでマイナンバーカードを読み取ることができます。

(2)スマートフォン申告の対象範囲が拡大
上場株式等の譲渡所得や配当所得、前年繰越分の譲渡損失額、外国税額控除がスマートフォン申告の新たな対象となります。

(3)給与の源泉徴収票をスマートフォンで撮影自動入力
源泉徴収票の中身を入力しなくても、スマートフォンのカメラで撮影するだけで自動入力できるようになりました。

(4)マイナポータル連携で申告書の自動入力対象が拡大
マイナポータルサービスと連携して控除証明書等の情報をまとめて取得し、自動入力できる対象が増えました。令和2年度分申告は株式の特定口座、住宅ローン控除関係、生命保険料控除の自動入力が可能でしたが、今年からふるさと納税、地震保険、医療費控除の情報加わりました。

ただし、すべての事業者がマイナポータルに連携可能なわけではありません。現在、連携事業者は下記サイト※2から確認できます。今後随時増えていくと思われますので、入力時に確認してみましょう。

※2 国税庁「マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧」

ふるさと納税の申告では、昨年まで自治体ごとの寄付金の受領書の添付が必要でしたが、代わって指定業者が発行する「寄付金控除に関する証明書」の添付でも申告が可能になりました。2022年1月23日時点で、「さとふる」「ふるなび」「楽天ふるさと納税」「ふるさとチョイス」が指定業者となっていますのでチェックしてみてください。

その他の変更点

・確定申告書や決算書などの押印不要
確定申告書や収支内訳書、青色申告決算書などの税務関係書類に押印義務がなくなります。

・雑所得欄に新区分
これまでは、雑所得欄は「公的年金等」と「その他」の2種類でしたが、新たに「業務」という欄が加わりました。これは、2022年(令和4年)申告分以降、副業収入の金額に応じて領収書等書類の保存義務や書類の添付義務が3段階に分かれるためです。2022年提出分(2021年/令和3年分申告)では使用しません。

また、2020年(令和2年)までベビーシッターや認可外保育園等の利用料の助成を受けたときは雑所得として確定申告が必要でしたが、2021年(令和3年)分から助成に対する所得税や住民税が非課税となったため、確定申告の必要がなくなりました。

まとめ

新型コロナウイルス感染症の影響が長引き、税務署では密を避けるため、申告や相談のオンライン化が進んでいます。それでも、対面相談は電話予約、電話相談も混み合うことが予想されます。

税務署に電話をかける前に、まずは国税庁のタックスアンサーや確定申告特集で調べる、あるいはチャットでオンタイム相談ができる「チャットボットふたば」を利用することから始めましょう。

e-Taxやスマートフォンで申告の対象が広がったことを機に、早めにアプリのダウンロードやマイナポータルとの連携など事前準備を整えて、申告に備えましょう。

参考サイト:国税庁 確定申告書等作成コーナー