アルバイトやパートで働いている場合でも、確定申告が必要になるケースがあります。納税が必要な場合もありますが、確定申告することで納め過ぎた税金が還付される可能性もあるため、確定申告が必要かどうか必ず確認しておきましょう。今回は、アルバイトやパートの確定申告について解説します。

アルバイトやパートでも確定申告が必要?

自分が確定申告をする必要があるのか悩む人は多い(画像素材:PIXTA)

正社員でなくてもアルバイトやパートで給与を受け取っている場合、通常は確定申告は必要ありません。ところが、以下のケースに当てはまる場合は、確定申告が必要になります。自分が該当するかどうか確認しておくことをおすすめします。

年末調整をしていない場合

年末調整とは、毎月の給与から引かれている概算の所得税を年末に再計算し、多く納め過ぎている分は還付され、少なければ追加で納める手続きのことです。アルバイトやパートで働いている場合も、勤務先の会社が年末調整を行い、個人が納めるべき税額を正しく計算して所得税を納めています。

しかし、アルバイトやパートを始める時期によっては年末調整の手続きが間に合わなかったり、年の途中で辞めたため年末調整を受けられなかったりするケースもあります。年末調整をしていない人で課税対象に該当する所得がある場合は、個人で確定申告が必要です。

では、所得税の課税と非課税の分岐点の金額はいくらなのでしょうか。以下に解説します。

複数の会社で働いている場合

たとえば、会社員が副業でアルバイトをしている場合は、複数の会社から給与を受け取っていることになります。しかし、年末調整は本業で働いている方の会社1社でしかできません。そのため、副業の収入が20万円を超えていれば確定申告が必要になります。

同様に、アルバイトやパートを掛け持ちしている場合も確定申告が必要になるケースがあります。1月1日から12月31日までのすべての給与を合算して103万円(勤労学生に該当する場合は130万円)を超える場合は、確定申告をして税金を納めなければなりません。

参照元:パート収入はいくらまで所得税がかからないか|国税庁
参照元:勤労学生控除|国税庁

税金が戻ってくる場合

会社は年末調整で、基礎控除や配偶者控除、社会保険料控除、生命保険料控除などを加味したうえで所得税の計算を行います。しかし、個人や家族の事情により流動的な性質を持つ、医療費控除や雑損控除、寄附金控除などの手続きは、会社が関与できません。そのため、これらの控除を受けたいときは、会社で年末調整をした場合でも確定申告が必要です。

また、配偶者控除や社会保険料控除、生命保険料控除などを年末調整で申告し忘れたり、年末調整のあとに状況が変わったりした場合にも確定申告が必要になります。

個人が自分で確定申告をして還付請求手続きを行うことで減税が認められ、金額によっては納め過ぎた税金が還付される可能性があります。

確定申告をしないとどうなる?

本来は所得税が発生する金額の所得がありながら、確定申告をせずに納めるべき税金を納めなかった場合、追徴課税を課される可能性があり注意が必要です。ここでは、確定申告をしないとどうなるのかを解説します。

追徴課税が課せられる

アルバイトやパートの短時間勤務で、月額給与が非課税限度内であれば、年末調整を行わないという会社もあるかもしれません。そのような会社を複数掛け持ちしている場合、合算した年間の収入が103万円(勤労学生の場合は130万円)を超えることもあるでしょう。

その場合は税金を納める必要があります。確定申告をしなかったり忘れたりして、期限後に確定申告をした場合、無申告加算税や延滞税という名目のペナルティがあり、本来納めるべき税金よりも余計に納めなければならなくなるため注意が必要です。

納め過ぎた税金が戻ってこない

年間の収入が103万円以下で、源泉徴収されているにもかかわらず年末調整も確定申告もしないと、納め過ぎた税金を取り戻すすべがありません。そのため、自主的に確定申告により還付請求手続きをして納めた税金を戻してもらう必要があります。このように、納め過ぎた税金を戻してもらうために確定申告することを還付申告といいます。

このほかにも、医療費控除や住宅ローン控除が適用される場合も還付申告が必要です。還付申告は翌年の1月1日から5年間可能なので、過去に申告していない分も見直してみましょう。対象となる還付金を一度にまとめて請求できます。

確定申告ってどうすればいいの?

アルバイトやパートの場合、確定申告をする際に必要な書類を解説!(画像素材:PIXTA)

ここでは、確定申告の時期や必要書類、手続きの方法などを解説します。一度流れを覚えてしまえば、翌年からはスムーズに進められるでしょう。

確定申告の時期はいつ?

確定申告は、1月1日から同年12月31日までの1年間の所得を、翌年の2月16日から3月15日までの1ヶ月間に管轄の税務署に必要書類を提出します。過去には、新型コロナウイルスの影響で1ヶ月延長されるなど、災害などで期間が変更される場合もありますが、原則として毎年全国一斉にこの期間に行います。

確定申告により納税をする必要がある場合は、期間内に手続きをして納税を済ませましょう。確定申告の期間中は税務署が混み合うため、質問や書類の準備は早めにすることが大切です。

ただし、前述のとおり還付申告の場合は、翌年の1月1日から5年間ならいつでも手続き可能です。

確定申告に必要な書類は?

アルバイトやパートの場合、確定申告をする際に必要な書類は次のとおりです。

・源泉徴収票
12月頃に勤務先から渡されます。年の途中で退職した場合は、退職してから1ヶ月後くらいに送付されてくることが多いようです。(添付書類としては不要)

・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
会社から給与を受け取っている人が提出する書類で、会社から配布されます。学生の場合は、在学証明書や学生証の提示を求められることがあります。そのほか、生命保険料や医療費など、各種控除を受けるための証明書がある場合は提出します。

・マイナンバー
マイナンバーカードの表裏のコピー、マイナンバーカードを作成していない場合は、身分証明書とマイナンバーが確認できる書類(通知カードやマイナンバーが記載された住民票などが必要です。ただし、身分証明書と住所や氏名が一致しているものに限ります。

確定申告の手続きの方法

アルバイトやパートの人が自分で確定申告する際の手続きの方法を解説します。

1.「確定申告書A」を作成する
確定申告書は国税庁のホームページからダウンロードするか、税務署の窓口で入手できます。印刷した用紙に手書きで作成することも可能ですが、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、作成の手引きの資料や動画に従って簡単に作成できます。

2.確定申告書Aと添付書類を管轄の税務署へ提出する
提出方法は、窓口へ持参、郵送や信書便で提出、e-Taxによる電子申告の3つがあります。

3.納付期限までに納税する
決められた期限までに、窓口納付、電子納付、クレジットカード、インターネットバンキング、コンビニ納付、口座振替などで納付します。還付申告の場合は、後日自分の口座に振り込まれます。

まとめ

アルバイトやパートでも確定申告をして納税が必要になる場合があります。本来納めるべき税金より多く源泉徴収されていた場合で会社での年末調整が受けられない場合は、還付申告をすることで、税金の還付を受けられます。確定申告が必要かどうかは、収入金額だけでなく本人の状況によっても異なるため、必ず確認しましょう。