全国「トンネル抜けたら絶景」3選 海!山!日本の原風景! 大パノラマに息をのむ!
見知らぬ土地でトンネルをくぐる時、抜けた先にどんな光景が広がっているかと、ワクワクするかもしれません。川端康成の小説では、トンネルを抜けると景色が「雪国」に一変していましたが、日本にはたくさんの「トンネル抜けたら絶景」があります。
トンネルの先、視界は青!
トンネルを抜けた先の絶景は、海あり山あり、どこか懐かしい原風景ありと、日本全国様々です。出会うたびにきっと、この国の自然の豊かさを感じられることでしょう。
トンネルを抜けたら「積丹ブルー」の絶景(北海道)
北海道西部の積丹半島。日本海に突き出したその北端近くに、通り抜けると絶景が待っているトンネルがあります。背の高い人なら頭がついてしまいそうに天井が低く、人がすれ違うのもやっとなほど狭い「島武意(しまむい)海岸トンネル」(積丹町)です。
島武意海岸トンネル(画像:写真AC)。
内部は照明もなく真っ暗ですが、抜けた先は展望台になっており、一気に視界が開けます。そして目の前に広がるのは「日本の渚百選」にも選ばれている島武意海岸の広く、青く、澄んだ海! 海底まで見通せる美しさには、まるで南国の海のようだという人もいるほど。この海の色は「積丹(しゃこたん)ブルー」と呼ばれています。夏には特に美しく、それは海が穏やかで透明度が高く、海藻が少ないからなのだそうです。
積丹ブルーの海と多くの奇岩が神秘的な光景を造り上げている島武意海岸は、展望台から遊歩道が整備されており、波打ち際まで下りて行くこともできます。ただし階段は急で、帰りにはその分の上りが待っており、降りてから後悔する人もいるとか。
ちなみにこの辺り、明治時代はニシン漁に沸きました。島武意海岸トンネルは、もともとは海岸からニシンを運ぶために手作業で彫ったトンネルだったのだそうです。海岸近くにはかつてのニシン番屋の跡地(石垣)も残っています。
トンネルを抜けたら「白銀」の絶景(長野県)
長野市鬼無里と白馬村の間にある国道406号のトンネル「白沢洞門」も、絶景が望めるスポットとして有名です。
鬼無里側から向かう山道は、幅が狭いうえ延々とカーブが続くため、運転していても緊張が途切れることはありませんが、白沢洞門の出口付近にさしかかると、その先には北アルプスの峰々が連なる大パノラマが! それまで張りつめていた緊張の糸を一瞬にして解放してくれる雄大な光景です。
トンネルを抜けると駐車スペースが備わった「白沢峠展望台」があり、ここが絶好のフォトスポット。目の前には、鹿島槍ヶ岳、五竜岳、唐松岳、鑓ヶ岳、杓子岳……と、雄々しい名峰が連なります。どの季節に訪れても素晴らしいのですが、やはり最も見応えがあるのは、峰々が雪をいただき白銀に輝く時季でしょう。例年、10月の初雪から翌5月頃までが雪化粧の季節です。
白沢洞門(画像:PIXTA)。
特に春先には、雪解けで山肌に現れる模様「雪形」が見られるのも魅力です。人や動物などに見立てられることが多いのですが、ここから見える五竜岳山頂には「武田菱」が現れます。「武田菱」とは菱形4つを組み合わせ、さらに大きな菱形にした紋様で、武田信玄に代表される武田氏の家紋として知られる印(マーク)です。武田氏の領地は甲斐の国でしたが、戦国時代には白馬村にも勢をなしていたため、人々は身近な存在として雪形に名前をつけたのかもしれません。
トンネルを抜けたら「日本の原風景」の絶景(広島県)
広島県の安芸太田町では、小さなトンネルの先に、海外でも注目された絶景が待っています。アメリカのニュース専門局「CNN」のウェブニュースで「日本の最も美しい場所36選」にも選ばれた「井仁の棚田」です。
もともと人道トンネルだったという狭く薄暗い「井仁トンネル」を抜けて目の前に広がるのは、324枚の小さな田んぼが段々に集まる棚田。四方を山に囲まれ、ぽっかりと存在する日本の原風景のような光景を目にすると、おとぎ話の世界に紛れ込んだような気分になるかもしれません。
それぞれの田の法面は、山を開拓したときに出た石を積んだもので、もっとも古い石垣は室町時代後期のものとされています。約500年も前から変わらぬ景色がここにはあるようです。
棚田には季節ごとに異なる美しさがあります。田植えの水を張った春、青々とした稲が風になびく夏、稲穂が頭を垂れる秋、そして再びの春を待ち雪に覆われる冬。324枚の小さな田んぼそれぞれに四季が訪れるさまが、絶景を生み出しています。
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日本各地にはまだまだ、「トンネルを抜けると絶景だった!」と目を見張る光景があることでしょう。そんな感動を探しに、旅先でトンネルを見つけたら、あえてくぐってみるのも良いかもしれません。