警視庁&運輸局の年末年始「暴走取締り」に密着 不正改造車を強制“ピットイン” かなり厳しい!
警視庁などが年末年始の深夜に実施した「暴走族等対策」のひとつ、不正改造車の取締りに密着。首都高の都心環状線で、サーキットのピットを思わせるような光景が繰り広げられました。
大人数の検査員に囲まれる改造車
年末年始の暴走警戒が都内で実施されました。警視庁が実施した「暴走族等対策」は暴走行為の検挙や走行阻止を目的とするもの。2021年12月31日から22年1月3日までの4日間、延べ455人、車両約213台を使って警戒が続きました。
警察官と検査官がぐるりと車両を取り囲んで、一斉に検査に取り掛かる。運転者が感じる圧迫感は相当だ(中島みなみ撮影)。
首都高速C1都心環状線内回り、京橋料金所近くで実施された対策は、不正改造を中心にした取締りが、大晦日23時〜元日2時までの深夜にかけて実施されました。暴走車両の多くが不正改造をしていることから、年末年始には必ず実施されています。
ここは警視庁高速道路交通警察隊と国土交通省関東運輸局との合同実施で、関係者総勢40人近い大がかりな態勢が取られています。
本線から検査場への誘導は、さながらサーキットでのピットインを思わせます。笑える話ではなく、それほど組織的に取締りが実施されているということです。
対象となった車両は、パトカーを先頭に車列ごと安全に停止できる速度まで抑えこまれて、車線規制で絞り込まれた本線から支線へ、警察官によって誘導されます。
ひとまず駐車場に留められた車両は、車検証や免許証の確認が実施されたのち、さらに別の場所にある検査所に入ることになります。レースではピットに入った車両の周囲をメカニックが取り囲んでタイヤ交換などに取り掛かりますが、この取締りの様子もほとんど同じ。警察官に加えて、車両検査の専門知識を持つ運輸局などの職員が取り囲み、排ガスや騒音検査、タイヤがタイヤハウスからはみ出ていないか、最低地上高が確保されているかなどを分担して調べます。ドライバーとクルマは、普通なら見たこともない数の制服職員に取り囲まれることになります。
ほとんど車検!? な厳しさ
レースのピット作業は時間との勝負で、あっという間に本線に戻りますが、取締まりではそうはいきません。特に時間がかかるのは排ガス検査や騒音検査で、型式ごとに違う基準に一定時間、エンジン回転数をあわせて測定します。そのために運輸局では街頭検査で使用する排ガス測定器、騒音測定器を持ち込んでいます。車検で実施されるチェックの一部を行っているので1台に10分以上。整備不良のポイントが増えるほど、時間は長くなります。
車検証や免許証なども念入りにチェックを受けることになる(中島みなみ撮影)。
今回の取締りは、外出自粛が要請されていた前回より通行車両が少なく、対象車両も多くありませんでした。そのため検査の待ち時間も少なく比較的平穏でした。近年は集団での暴走も激減しているため、緊迫した雰囲気になることは少なくなっています。
今回の首都高速での取締りは、四輪車台に対して、マフラー不備などを適法に整備する整備命令4件でした。オートバイはありませんでした。
不正改造を中心とした同様の取り締まりは、中央道八王子本線料金所(東京都八王子市)でも2021年12月29日23時〜30日4時まで実施されました。
整備命令は、四輪車1台とオートバイ4台に対して5件。マフラーやバックミラーの取り外しのほか、車枠からはみ出た“竹槍マフラー”やリヤウイングの取り付けなどが指摘されました。
基準不適合で整備命令を受けたオートバイ。中央道下り八王子本線料金所で(提供:関東運輸局)。