JALでもっと小さい旅客機でした。

席配置もユニーク

 2021年12月26日(日)に定期旅客便ラストフライトを終えたJAL(日本航空)グループの地域航空会社、HAC(北海道エアシステム)の旅客機「サーブ340B-WT」。同社からの退役をもって、日本から「サーブ340B」旅客機は姿を消すこととなります。退役後、スタッフの手で「北海道の名機」などと手書きメッセージが書かれたラストフライト担当機「JA02HC」。同機の総飛行回数に相当する総サイクル数は、6万2543。その機内はどのような特徴があるのでしょうか。


HAC「サーブ340B-WT」商用ラストフライトの様子(2021年12月26日、乗りものニュース編集部撮影)。

 HACでは、サーブ340B-WTを1998(平成10)年に導入。軍用機や自動車メーカーとしても知られるスウェーデンのサーブ社が製造したターボプロップ機です。

 席数は現在のJALグループで最も少ない36席。機体の全長19.7m、全幅22.8mです。座席配置は横1-2列を標準とし、最後部のみ右側に3席を寄せたレイアウトとなっています。そのため、そのため最後部は、バスのように中央席があります。

 乗降口付近もターボプロップ機らしさが見られます。同機には格納式の階段「エアステア」を装備。このことで地上の支援設備なしで旅客の乗り降りが可能です。CA(客室乗務員)が座るジャンプシートと最前方の客席との距離も、大型ジェット機ではありえないくらいの近さです。

座席もクラシック! と思いきや?

 ー方でHACのサーブ340B-WTのシートは2017(平成29)年に導入された革製のもの。当時のJALの国内線仕様機のものと似たようなテイストが感じられます。シートポケットの位置が上にあることから十分な足元スペースをもっているそうで、そのコンパクトな外観のわりに、1席あたりのスペースは、広めに確保されているといえるでしょう。


HAC「サーブ340B-WT」の機内(2021年12月26日、乗りものニュース編集部撮影)。

 一方コクピットは最新鋭機と違い、画面と計器がならぶややクラシカルなスタイルのものです。機長席側には、手が出せる程度の小さな扉「ウイスキーハッチ」があります。この丸い「ウイスキーハッチ」をあけて、書類の受け渡しを行うシーンが、ある意味一種の「サープ340B名物」でもありました。

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 HACでは、後継主力機として欧州ATR社製のATR42-600の導入が完了。サーブ340B-WTは、これと入れ替わる形で退役となります。