『ARUHIマガジン』では2021年も毎日さまざまな記事を配信してきました。2021年に配信した1,000を超える記事の中から、特に反響が大きかった記事をジャンル別に紹介していきます。今回は「住まいの制度」に関する人気記事をピックアップしてお届けします。

2022年の固定資産税はどうなる?

地価公示価格の推移 出典:国土交通省「変動率及び平均価格の時系列推移表」

2021年は、3年に1度「固定資産税の評価替え」をおこなう年にあたります。固定資産税や都市計画税は、価格(評価額)を基準に算出します。評価額は固定資産税と都市計画税を算出する基になる価額です。そのため、原則として評価替えで自宅の土地の評価額が上がれば、多くの場合は税額も上がります。

上記の表は、地価公示価格の推移です。2021年度の評価替えでは、評価額が変わらなかった2019年、2020年に土地価格が上昇していたことから、多くの地域で評価額が上昇する可能性がありました。大多数の人の固定資産税が上昇すると思われましたが、2021年度は新型コロナウイルスの影響を鑑み、評価額が上がった人も固定資産税の納付額は据え置きとなりました。

2022年度以降は、2021年の評価替えで評価額が上がっていれば、固定資産税と都市計画税が上がります。2020年度と2021年度の課税明細書を見比べ、課税明細書の価格欄の数字が増えているのか、減っているのかが確認し、2022年度に備えましょう。

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固定資産税が2021年に限り変わらない理由、来年以降はどうなる?

固定資産税額に間違いは意外と多い?

出典:総務省「固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果」

住宅を購入すると、固定資産税が課税されます。納税通知書が届き、記載の金額を振り込みなどの方法で支払うことになりますが、実はこの税額が間違っているケースもあることを知っていますか?

上記の表は、総務省が発表した固定資産税や都市計画税に関する税額修正の状況です。2009~2011年度の3年間で税額を修正した(間違った通知内容のまま納めていた)納税義務者が1人以上いた市町村は、調査に回答した自治体のうち97%に上りました。かなり多くの自治体で修正が発生していることがうかがえます。

固定資産税はその土地の利用方法や面積、建物の有無などにより税額が変わります。たとえば、住宅用地は特例により、200平方メートルまで固定資産税が通常の6分の1に軽減されますが、特例の対象なのに適用されていないケースがあります。実際の地積と登記上の地積が異なっていて、余分な固定資産税を払っているケースも少なくないようです。過徴収が続かないように、課税明細書が届いたらしっかりとチェックをしましょう。

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「固定資産税」払い過ぎていませんか? 課税額が間違っていたケースと注意点

【フラット35】Sが利用できない「レッドゾーン」とは?

【フラット35】Sが利用できないケース(出典:住宅金融支援機構)

近年、土砂災害の発生件数が増加しています。そこで、危険が大きい区域については都道府県が通称イエローゾーンと呼ばれる「土砂災害警戒区域」を指定しています。「土砂災害警戒区域」のなかでも、とりわけ建物の損壊や住民の命にかかわる区域は「土砂災害特別警戒区域」(通称レッドゾーン)に指定されます。

土砂災害による危険防止の流れを受け、2021年10月から、レッドゾーン内で新築住宅を建設または購入する場合、【フラット35】Sが利用できなくなりました。【フラット35】Sとは、国が定めた基準を満たし認定された長期優良住宅や省エネルギー性、耐震性などが高い住宅を購入する場合に、全期間固定金利の【フラット35】の金利を一定期間引き下げる制度です。2022年3月31日までに申し込んだ場合、住宅の性能によって当初5年間、または10年間、金利が年0.25%引き下げられます。

対象となるのは、2021年10月以降に【フラット35】の設計検査申請を行って建設、または購入する住宅です。敷地の一部分でもレッドゾーンに含まれていると利用できなくなりますので、【フラット35】の借り入れを予定している人は注意が必要です。

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2021年10月制度改正、一部住宅ローンが利用できなくなる「レッドゾーン」とは?

2025年度から新築住宅に「省エネ義務化」へ

脱炭素社会に向けて、新築住宅の「省エネ義務化」が現実味を帯びてきました

政府は、脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策として「省エネ対策の強化」の検討を続けてきました。そうしたなか、2021年5月19日の国土交通省による有識者会議で、新築住宅に対し、断熱性を高めるなどすることで省エネルギー基準に適合させるよう義務付けることで合意しました。

住宅の性能が高まることは喜ばしい反面、住宅購入検討者にとってはコストアップが心配です。しかし、不動産コンサルティング会社・さくら事務所の長嶋修会長は、制度がスタートする際は緩和措置として減税や補助金などの政策が並行することが多いため「それほど心配する必要はないのではないか」と予測しています。
もし、建築費が多少割高になったとしても、住宅の省エネ性能が上がれば、冷暖房効率の向上などが期待でき、毎月の光熱費を抑えることができるでしょう。長い目で見れば、地球にも財布にもやさしい結果となりそうです。

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2025年度から新築住宅に「省エネ義務化」へ。住宅を購入する人に影響は?

2022年4月から「マンション管理計画認定制度」がスタート

マンション管理計画認定制度の流れ(出典:国土交通省ホームページ)

建物の維持管理をしっかりとしているマンションは、築年数が経っても資産価値を大きく下げずに維持することができます。老朽化が気になるマンションが増え、所有者や居住者も高齢化が進む中、マンション管理の重要性に注目が集まっています。そうした背景から、マンション管理の向上を図るべく、2022年4月から「マンション管理計画認定制度」がスタートします。

マンションの管理組合が主体となり、公益財団法人マンション管理センターを通して適切な管理が行えているかマンション管理士に確認してもらい、適切な管理が行われていれば、適合通知が届きます。適合通知を全国の市や東京特別区(町村は都道府県)に申請して認定を受ける仕組みになります。
今後は、この認定を受けているかどうかが、購入を決断する際の重要な指標となりそうです。認定外の場合はなぜ認定されていないのかを明確にしたうえで、決断するのがよいでしょう。

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2022年から「マンション管理」の制度開始、マンション選びにどう影響?

まとめ

住まいに関する制度は日々変化をしています。常に最新の情報をチェックすることが、賢く住宅を購入し、維持する秘訣です。定期的に情報を収集することを心がけていきたいですね。