リモートワークのための部屋が欲しい! 間取りに余裕がないときはどうすれば?
コロナ禍の副産物の一つにリモートワークの拡大があります。働く場所・時間の柔軟性が高まる「働き方改革」が進みましたが、一方でいろいろな課題が目立つことにもなりました。なかでも、自宅でのリモートワーク環境が整っておらず、専用の部屋が欲しいという声には根強いものがあります。そこで、今回は仕事をしやすい部屋とはどんな部屋なのか、リモートワーク専用のスペースについて解説します。
リモートワーク環境で悩む人が増えている
リモートワークを経験することで、自宅での仕事環境に不満を持つ人が増えています。一体どんなところに悩んでいるのでしょうか。
アンケートの結果では?
株式会社リクルート住まいカンパニーが実施したアンケートによると、リモートワークに対する不満として「オンオフの切り替えがしづらい」が35%となり、不満を感じる項目として一番高くなりました。
また、6歳以下の子どもと同居する既婚者においては、「子どもを見つつ仕事ができる環境(部屋やスペース)がない」「一人で集中できるスペースがない」という意見を挙げる割合が、そのほかの家族構成の人と比べると少し高い傾向です。
今後、自宅の環境を整備したい内容としては、1位が「仕事用の部屋を作りたい」、2位が「仕事用のデスクや椅子を設置したい」となっていて、仕事に集中できる部屋や設備を導入したい声が多いことがわかります。
出典:株式会社リクルート住まいカンパニー「コロナ禍を受けたテレワークの実態調査」
生活音が仕事のジャマに
オンオフの切り替えがしづらい理由の一つが、生活音です。自分の子どもはもちろん、近所に住む子どものはしゃぎ声や泣き声が聞こえてきたり、人の話し声が聞こえたりするとどうしても集中できなくなってしまいます。また、家族が家事をするときのキッチンで食器を洗う音、掃除機の音なども気になるものです。特に、Web会議や商談中となると、スムーズに会話するためにも静かな環境を整えることが重要になるでしょう。
趣味や娯楽が誘惑する
会社では人の目もあり、休憩時間も決められているため、あまりだらだらと休憩してしまうことはないでしょう。しかし、自宅には手を伸ばせば届くところにあらゆる誘惑があります。好きなテレビ番組を見られたり、動画やゲームを気兼ねなくできたりします。「少しだけ休憩…」とスマホゲームを始めてしまうと、思いのほか時間が経ってしまい、仕事が進まなかったという経験がある人も多いのではないでしょうか。
リモートワークスペースのタイプ
効率的にリモートワークを進めるためにも、仕事用の部屋が欲しいという人も多いでしょう。リモートワークのためのスペースには、大きく分けてクローズ型とオープン型があります。ここでは、それぞれの特徴について解説します。
クローズ型
クローズ型のワークスペースとは、独立した個室を仕事場にするタイプの部屋です。はじめから書斎として用意してある部屋をワークスペースにしたり、空き部屋を仕事場にしたりする方法です。ほかにも、納戸やクローゼットを改造してワークスペースにする方法もあります。部屋数にゆとりがある家なら問題ありませんが、なかには間取りに余裕がない場合もあるでしょう。そういった家では、各社から販売されている後付けの個室ボックスを設置してみるのも一つの方法です。
オープン型
オープン型のワークスペースは、個室ではなく部屋の一角に仕事場を作ったものです。リビングの一角にワークデスクを置けば、簡易的なワークスペースにすることができます。また、ダイニングテーブルなど生活用のテーブルの一部をリモートワークスペースにすることも可能です。この方法なら新たに家具を置く必要がないので、スペースが限られている場合や一時的なリモートワークの場合でも負担が少なくすみます。
クローズ型のメリット
仕事専用の部屋を作ると居住スペースを圧迫してしまいますが、それでもクローズ型のワークスペースが欲しいという人が増えています。クローズ型の仕事部屋にはどんなメリットがあるのでしょうか。
仕事に集中できる
クローズ型にする大きなメリットは仕事に集中できることです。生活するスペースと仕事場が別になっているので、テレビやゲームも視界に入らず誘惑も多くありません。壁で仕切られているので家族の生活音もそれほど気にならないでしょう。独立したオフィスの空間になり、この部屋に入ることで「仕事モード」のマインドに切り替えられます。そして、プライベートの空間に仕事を持ち込まないことで、しっかりと休息をとることができるでしょう。
書類や仕事道具を整理できる
ダイニングテーブルの一席をワークスペースにすると、収納スペースが不足してしまいがちです。その結果、ダイニングテーブルに書類が溜まってしまい、毎回片付けるのも一苦労。しかし、クローズ型にすれば収納スペースを十分に確保できます。キャビネットや棚を作れば、書類や仕事道具を整理できて作業もはかどるでしょう。
セキュリティ対策になる
リモートワークをしていると、社外秘の資料や個人情報を持ち帰る機会もあるかもしれません。その場合、セキュリティ対策が必須となります。もし、誰もが触れられる場所に機密情報が書かれた書類を置いていると、家族が誤って捨ててしまったり、子どもが書類を破ってしまったりするリスクもあります。しかし、クローズ型ならこのようなリスクも回避できます。逆に、セキュリティ対策のためにはクローズ型がマストといえるでしょう。
オープン型のメリット
オープン型のワークスペースにもいろいろなメリットがあります。両方のメリットを比較して、どちらが自分に合っているか考えてみてください。
家族とのコミュニケーションがとれる
オープン型の場合、仕切るものがないので家族とのコミュニケーションを取りやすいのが大きなメリットです。仕事をしながらでも小さい子どもや介護をしている親の様子が見られるので安心です。ただ、様子見ているだけというわけにはいかないので、仕事に集中する時間ができるように工夫も必要になります。夫婦が交代で子どもや親のお世話をして、どちらか一方に負担がかからないように配慮することが大切です。
費用がかからない
もし、間取りを変更して一から個室の仕事部屋を作ろうとすると、大がかりなリノベーションが必要になります。壁やドアを作ったり、場合によっては音が漏れない設計にしたり。そのためには、当然一定の費用がかかります。
しかし、オープン型なら椅子やデスクを用意すれば仕事ができてしまいます。専用の部屋を作る場合と比較すると、かかる費用の差は一目瞭然です。リモートワークが一時的である可能性が高いなら、オープン型のほうがメリットも大きいかもしれません。
クローズ型とオープン型の中間タイプ
賃貸住宅など、完全なクローズ型の導入が難しいこともあるでしょう。しかし、オープン型だと集中できない…という人もために、クローズ型とオープン型の中間ともいえる小道具が、各社から販売されています。
パーテーション等で区切る
リノベーションができない賃貸住宅などでは、取り外し可能なもので仕切るのがおすすめです。たとえば、パーテーションや間仕切り、カーテンなどです。これらを使って部屋と部屋を区切れば、周りからの視線を遮れるワークスペースができあがります。
なかには、吸音素材でできているものもあり、仕事に集中できる工夫がされています。この方法なら、将来的にリモートワークがなくなったとしても元に戻しやすいでしょう。
室内テント
書斎がないなら、室内テントでパーソナルスペースを作ってしまうのも一つの方法です。テントというとアウトドアのイメージがありますが、室内でテントを張るように専用スペースを作れば、すぐに仕事場の完成です。
室内テントは商品名「プライバシーテント」などがリリースされており、インターネットで購入できます。手軽に生活空間からの視線を遮ることができる優れもので、必要ないときはコンパクトに畳んで収納でき、部屋も広く使えます。ただし、素材的に音が漏れてしまうので音への配慮は必要です。
まとめ
仕事の効率性から考えると、クローズ型の個室がベストだといえますが、いろいろな事情で導入できない場合もあります。そんなときは、パーテーションや室内テントを活用してみましょう。音が漏れてしまうことを考えるとオープン型に近いかもしれませんが、工夫次第でオンオフの切り替えは可能です。自宅に合ったものを取り入れて、生産性を向上しながらリモートワークを進めてみてはいかがでしょうか。