秋冬は特に警戒! 空き巣に狙われやすいマンション・戸建ての共通点
警視庁のデータによると、侵入窃盗は2003年より18年連続で減少していることが明らかになっています。しかしながら、2020年の侵入窃盗の発生件数は4万4,093件と、1日当たり約58件発生しており、未だ多くの住宅が被害に遭っていることも事実です。
発生件数の3分の1を占めているのが、住人の留守中に住宅へ忍び込み、金品を盗む「空き巣」です。空き巣の被害に遭わないためには、どのような対策が必要なのでしょうか。今回は、引っ越しの際に知っておきたい、空き巣の嫌がる物件の共通点や対策を戸建て、マンション別に紹介します。
空き巣に狙われやすい立地とは
戸建て、マンションを問わず、空き巣に狙われやすい立地は特に注意が必要です。引っ越しの際はどのような立地は避けるべきなのでしょうか。
・公園に隣接している
公園に隣接している物件は、お子さまがいるご家庭にとって「すぐに遊びに行けるからいいかもしれない」と魅力的に見えるかもしれません。しかし、公園は人が溜まりやすく、物件のすぐ近くで家族構成や侵入口を確認、犯行後に人混みに紛れて逃げられる可能性もあります。
・街灯が少ない
空き巣が何よりも嫌うのは、犯行時の自分の姿が人目につくことです。街灯が少ない立地は、夜間の侵入を許してしまうため、空き巣被害に遭いやすいといえるでしょう。そのため、駅から自宅までのルートにどれほどの街灯があるのか、昼間だけでなく夜も実際に自分の足で歩いて確認するのが重要です。
・新興住宅街
新しい住宅地は住人が引っ越してきたばかりで近所付き合いがなく、相互監視状態がまだ確立されていない状態です。不動産会社の社員や工事現場の人物になりすました不審な人物がいたとしても、敷地内への侵入を見逃してしまうリスクもあります。
・線路沿い
線路沿いは電車の走る音が聞こえるため、窓の割れる音も簡単にかき消すことが可能です。さらに駅が近いと、人混みに紛れたまま空き巣が堂々と電車で遠くまで逃走することも考えられます。
空き巣に狙われやすいマンションの共通点
警視庁のデータでは、侵入窃盗の発生場所認知件数のうち戸建て住宅が37.0%と最も多く、3階建以下の共同住宅が9.3%、4階建て以上の共同住宅が4.3%と続いています。
たとえ、4階建て以上のマンションやアパートであっても、空き巣が足場や非常階段から侵入すれば被害に遭うことは避けられません。引っ越す物件を選ぶ際は、空き巣に狙われやすいマンションの共通点をもとに十分な検討を行いましょう。
参考:警視庁「住まいる110番 侵入犯罪の脅威」
・単身向けのマンション
単身向けのマンションは、住民が学校や会社で外出していることも多く、人の目が少ない時間帯が生じやすい傾向があります。また、近隣の住民との関わりが薄く、不審な人物の侵入に気付きにくいといった弱点も。
もしも「すぐに戻るから」と鍵をかけ忘れてしまえば、空き巣の侵入を許してしまうでしょう。短時間の外出であっても、油断せずに必ず鍵をかけるよう注意が必要です。
・防犯設備がないマンション
入り口やエレベーター、廊下に監視カメラがある物件は、空き巣の抑止に効果的です。最近は防犯カメラそっくりに作られたオブジェもありますが、明らかにプラスチックの質感が目視できたり、配線が見当たらないものは空き巣に偽物だと見破られてしまいます。
・足場があるマンション
垣根や塀、エアコンの室外機や物置など、足場となるものがあると、2階以上の部屋にも空き巣は侵入します。内見時には部屋の中だけでなく、マンションの周囲も併せてチェックしておきましょう。
・オートロックのマンション
オートロックのマンションは一見セキュリティ性が高いように思えますが、過信するあまり鍵をかけ忘れる住人も見られます。また、オートロックの物件であっても、住人が鍵を開けたタイミングで空き巣が侵入するケースも。オートロックだからといって甘く考えずに、施錠を心がけなければなりません。
空き巣に狙われやすい戸建ての共通点
戸建ては、マンションやアパートよりも空き巣に狙われやすいことが警視庁のデータからも明らかになっています。デザイン性や周囲の環境だけにとらわれず、空き巣の侵入を防ぐポイントを有した物件を選ぶことが対策において重要です。
・高い塀がある
プライバシーを守るために塀を高くしている物件には、空き巣の侵入を隠してしまうといったリスクがあります。高い塀の家は侵入に時間がかかることから嫌うように思えますが、一度侵入した空き巣の姿は外から気づきにくくなります。
・車庫が丸見え
車庫に車がないことが外からもわかると、不在だと判断した空き巣に侵入されやすくなります。車庫には人の存在を探知して点灯するセンサーライトや、防犯カメラの設置が有効です。
空き巣に狙われないための対策
空き巣が多発する時期は、秋から年末年始だと考えられています。その理由は、行楽シーズンで家を空ける機会が多くなること、クリスマスや年末年始のために現金を手元に置いておく人が増えることにあります。
空き巣の被害を防ぐためにも、以下のような対策を行いましょう。
・不在を悟られないための工夫
帰省や旅行で長期間家を空けていると、郵便ポストに大量の郵便物やチラシが溜まっていきます。このように郵便物であふれた郵便ポストは、空き巣に不在を知らせてしまうでしょう。長期間の不在時には、新聞を一時的に休止することや、実家に郵便物を転送するといった手続きが有効です。
同様に、昼間でもカーテンを締め切ったままにすると、不在だと判断されて空き巣に狙われやすくなります。外から内部の様子が見えないような遮光カーテンだけにしておき、不在を悟られないようにすると良いでしょう。
・砂利を敷く
戸建ての場合、砂利を庭に敷いておくと侵入者が踏んだときに音がするため、防犯になります。ホームセンターには、一般的な砂利よりも粒が大きく、より大きな音が発生する“防犯砂利”が販売されています。
防犯のために砂利を敷く際は、飛び越えられないよう、敷く位置を考えながら設置してください。
・防犯フィルムを貼る
窓からの侵入を防ぐには、防犯フィルムが有効です。防犯フィルムの貼られた窓は割れにくくなり、侵入にかかる時間が長くなります。犯行を素早く行う空き巣にとって、侵入が難しい家は見つかるリスクが増大します。
防犯以外にも、製品によってはUVカットや目隠しになる効果もあります。事前にサイズを確認し、窓の大きさに合ったものを購入するのがおすすめです。
・防犯性の高い鍵を取り付ける
空き巣は、ドアの鍵に針金のような専用工具を差し込んで解錠する“ピッキング”で侵入するケースもあります。古い物件は、シンプルな形状の鍵を現在でも使用している傾向に強く、空き巣にピッキングを許してしまうでしょう。
そのため、ピッキングが難しい複雑な構造のディンプルシリンダーキーに取り替えるのは空き巣被害を未然に防止できます。個人で鍵を取り替えるのは難しいため、専門の業者に鍵を取り替えてもらいましょう。賃貸マンションで鍵を取り替える場合は、管理会社に許可を取る必要があります。事前に必ず管理会社に相談するようにしましょう。
まとめ
新しい物件に引っ越す際、外観や金額に気を取られて防犯性を確認できていないこともあるかもしれません。しかし、大切な財産を盗まれるのは、心にも大きな傷を残します。そのようなことが無いよう、冷静に立地や物件の防犯性を見極め、必要に応じて防犯対策を行うようにしましょう。
【監修者】
京師 美佳さん
防犯アドバイザー、犯罪予知アナリストとして、情報番組やニュース番組などメディア等多数出演。セキュリティー全般の知識を生かし講演や啓発活動も行う。2005年、京師美佳セキュア・アーキテクト設立 2009年、一般社団法人全国住宅等防犯設備技術適正評価監視機構理事就任。建物の防犯診断、プロデュースなど幅広く活動を行う。「防犯アドバイザー京師美佳の安心生活をつくる自己防衛の心得35ヶ条」など著作多数。