さんまをおいしく焼く5つの鉄則!魚屋の焼き方で理想の皮パリジューシーを実現

ネオ鮮魚店の店長直伝。さんまの正しい焼き方

秋の味覚といえばさんま。ふっくらとした焼きたてのジューシーなさんまは、食欲をそそります。今年は1尾の価格が高騰していることもありますし、せっかく食べるならおいしく焼きたいですよね。「いつもなんとなく焼いているけど、正しい焼き方はいまいちわからない」という方も多いのではないでしょうか。

そこで、“ネオ鮮魚店” と呼ばれる「sakana bacca(サカナバッカ)都立大学」の店長である岡田勇気さんに、プロならではのノウハウを教えてもらいました。

皮パリジューシー!さんまをおいしく焼く5つの鉄則

「さんまは少しのコツを押さえるだけで、断然おいしく仕上がります。用意するのはさんまと塩と水だけ。内臓は取り除かないのでさばく必要もなく、初心者でも安心です。さんまはお腹に脂があるので、内臓は残しておいたほうがジューシーさを保てますよ」

1. 細かいうろこをとる

「さんまの場合は見えづらいですが、うろこがあるので取ります。表面にいくつか点在している鮮やかな青色の部分ですね。ただ全体的に包丁を当てる必要はありません。よく注意して見てもらいたいのは、さんまの腹びれからお尻のあたり。包丁を軽く当てて、やさしくこそげ取ってください」

2. 海水よりも濃い塩水で洗って汚れをとる

「まずは、さんまを水でよく洗います。水道水でもかまいませんが、理想は海水よりも少し濃度が高めの塩水で洗うのがよいですね。海水の濃度は3%、ですから水500mlに対して、塩は15g程度。それよりも少し多めに塩を入れてください。指で撫でるように洗いながら、残ったうろこも流していきましょう」

3. キッチンペーパーで水気とエラの血を取り除く

「洗い終わったら、キッチンペーパーやふきんで水分を拭き取ります。頭のえらのところを押すと血が出るので、きれいに取り除いてください。染み出した血は、くさみの元になってしまいます」

4. 思いきってきつめに塩をふる

「ここがおいしく焼くための最大のポイント!水気をとったら、全体的に塩をふります。個体にもよるので何gとはお伝えできないのですが、みなさんが思っている量の2~3倍くらいでしょうか。思いきって多めにふりかけてください。きつめに塩をふることで、皮がパリッとして香ばしく焼き上がります」

5. 魚焼きグリルの中火でじっくり焼く

「塩をふったら、いよいよ焼きの工程!ご家庭に魚焼きグリルがある方は、かならず使ってください。焼き時間については諸説ありますが、中火で時間をかけてじっくりと焼いていくのがおすすめです」

「焼き時間は一概にはいえないので、目利きが大切。ときどき様子を見ながら、皮目にしっかりと焦げ目がついて、脂がポトポトとたれてきたら取り出すタイミングです。ひっくり返さなくても大丈夫。焼き上がったら、やさしくお皿に移していただきましょう!」

秋の食卓を制す。さんまの塩焼きをマスター

パリッと焼き上がった塩気のある皮、脂のしたたるジューシーな身……。たった5つの手順を守れば、完璧なさんまの塩焼きの出来上がりです。最大のコツは、塩を多めにふってグリルでじっくりと焼くこと。

「アルミホイルをしいてフライパンで焼く方法もありますが、ご家庭の場合は魚グリルを使うことを大前提にしていただきたいですね。やはり焼き上がりがまったく違います。まあ、もっと欲を言うのであれば七輪なのですが……(笑)。バーベキューなどで機会のある方は試してみてください」と岡田さん。

さんまの旬は残り1カ月ほど、お腹も心も満たされる旬魚を食べて秋を満喫しましょう。

取材協力

取材・文/辻 有可
撮影/那須顕代