対談した梅沢富美男(左)と原田龍二(右)

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 お茶の間の人気者から、一転。文春砲が見事に当たり、急降下の展開になってしまった原田龍二(50)。ただひたすら反省をし続ける彼が、同じく世間を騒がせた有名人と語り合う! 第29回は大衆演劇の花形ながら、いまや芸能界のご意見番である梅沢富美男(70)。芸能界の表も裏も見尽くした梅沢は、原田に何を問う?

 犯した罪と向き合い、重い十字架を背負いながら歩き続ける漢・原田龍二。今回、そんな原田とアツい時間を過ごしたのは“下町の玉三郎”こと、舞台役者の梅沢富美男だ。若き日に流した浮名は数知れず、70歳を迎えた今では歯に衣着せぬ発言でお茶の間をにぎわす御仁。人生という夢芝居を演じる梅沢から見た、役者・原田龍二とは?

【写真】梅沢富美男が乱入しようと考えていた、原田龍二の謝罪会見はコレ!

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原田 梅沢さんとは腰を据えてお話ししてみたかったので、とても楽しみにしてました!

梅沢 お互いにTOKYO MXで『バラいろダンディ』に出演してるけど、曜日が違うから顔を合わせないもんなあ。

原田 そうなんですよ。この対談は2年前に女性問題を起こした僕が、さまざまな苦境を乗り越えてきた諸先輩方にお話を聞くという企画なんです。梅沢さんは役者としても大先輩なので、ぜひいろいろ伺いたいです。

梅沢 最近は、芸能人の不倫や素行の悪さが叩かれるけど、やっぱり芸能界は特殊な業界なんだよな。品行方正が求められるサラリーマンとは勝手が違う。世間は芸能人を「特別扱いするな」って言うけど、やっぱり芸能人に“襟を正せ”っていうのは、なかなか通用しないと思うよ。

 そもそも、芸能人にクリーンさを求めることに違和感があるんだよな。原田さんなんてそうとうモテたでしょ! 俺は化粧してなんぼだけど、原田さんは素の顔が男前だもの。立ってるだけで女性が寄ってくるよ。

原田 なんと答えればいいか……(苦笑)。じゃあ、梅沢さんは清廉潔白さが求められる昨今の芸能界には歯がゆさを感じますか?

梅沢 そうだね。昔の芸能人は好感度なんて気にしてなかったから。役者はしゃべらずカリスマになれ、と教えられたんだよ。

 昔、旅芸人として小さい劇場を回っていた俺を高橋一郎監督が拾ってくれて、ドラマ『淋しいのはお前だけじゃない』に出演して『夢芝居』がヒットしたら、テレビのトーク番組にも呼ばれるようになったんだよ。そのときに「役者はベラベラしゃべるな」って言われたから、ほとんど黙ってなきゃいけなかった。

原田 トーク番組なのに!

芸能界は周りからはみ出ないと生き残れない

梅沢 MCに「好きな食べ物はなんですか?」って聞かれたら、しゃべりたいことをのみ込んで「別に……」と答えてたんだから(笑)。前に沢尻エリカが映画の舞台挨拶で「別に」ってコメントして大騒ぎになったけど、昭和50年代の役者はあれが普通だったね。

原田 今とは完全に真逆の世界ですね。

梅沢 ただ俺はテレビで売れたあとすぐに舞台に戻っちゃったから、昔の芸能界しか知らないわけ。それから10年近くたってテレビに出たら雰囲気がガラッと変わっててさ。それでも俺はあのころと同じ不遜な態度のままでいたら、逆にそれがウケちゃったんだよな。

原田 今は梅沢さんのように、自分の気持ちを素直にズバッと言う人がいないから、見ていて痛快なんですよね。

梅沢 やっぱり、芸能界はそうやって周りからはみ出ないと生き残れない世界なのよ。格闘技と同じで、強い者しか残らない。俺だって逮捕されないなら同業者の水に毒を盛りたいくらいだよ。

原田 すごくわかります! 僕も同業者は全員ライバルだと思っているので、役者の友人はいないんです。

梅沢 そうそう。役者同士は本当の意味で仲よくなんかできないよ。俺は小さいころから旅芸人と呼ばれて、いろんな差別も受けてきたから自然とハングリー精神が身についたのはありがたいと思うよ。おかげでどれだけ売れても天狗になったことがない。周りが変わるっていうけど、本人が流されなきゃいいだけの話だもんな。

原田 おっしゃるとおりだと思います。梅沢さんは自分らしく人生を歩んでいるイメージなんですけど、何か悔いていることってありますか?

梅沢 高倉健さんの映画『居酒屋兆治』の出演依頼を断ったことだな。それが俺の人生唯一の後悔だよ。

原田 えー! どうして!?

梅沢 そりゃあ高倉健さんから「一緒にやりませんか?」って電話で誘われたときはうれしくて「はい、わかりました!」って言いましたよ。

 それからすぐに恩人の高橋一郎監督に報告したら、監督に「主役か?」って聞かれて「いえ、高倉健さんの映画です」と答えたんだよ。そしたら「せっかくスターになったんだから脇役はやるな。きっとすぐに主役の話が来るから」って諭されて断っちゃった。

原田の会見に乱入しようと思っていた

原田 安売りはするな、と。

梅沢 以降、映画の出演交渉は一切来なかったね。それから何十年もたって60歳で映画に初出演したときに「あのころ、高倉健の映画を断った役者がいるとかなり噂になってた」って映画会社の人が言ってたよ。

原田 それで声がかからなかったんですね。

梅沢 本当は出たかったんだけどな……。それが唯一の後悔。でも若いころは舞台を一生懸命やりたいと思っていたから、今となってはよかったのかもしれないね。

梅沢 実は原田さんが女性問題を起こしてMXで会見するって聞いたとき、俺も乱入しようと思ったんだよ。

原田 噂で聞きました(笑)。

梅沢 昔はさ、芸能人の謝罪会見には“仕切り屋”がいたんだ。俺も30代のころに結婚していることが世間に知られて謝罪会見を開いたんだけど、そのときは仕切り屋が来て台本も書いてくれたんだ。

原田 台本があったんですか!? でも、レポーターには台本がないですよね?

梅沢 ないよ。でもこれが、筋書きどおりに行くんだよ。まず、座長のアニキは俺の結婚に反対している敵役、俺はずっと笑顔で謝るだけ、おふくろはずっと泣いてる……という役を与えられて、練習して本番に臨むの。

 レポーターがワーッと騒いだら、おふくろが「これでやっと、晴れて私は孫が抱けます」ってさめざめ泣くのよ。そしたらみんな黙っちゃう。

原田 まさに芝居ですね!

梅沢 そう。その自分の会見を思い出して、原田さんの会見を俺がプロデュースしようと思ったの(笑)。

原田 あはは! それはそれで非難されますよ!

梅沢 でも仕切り屋は必要なかったね。会見でのあなたの表情は非常によかった。まるでコントを見てるようだったよ(笑)。視聴者の笑いを誘いながら「そうか、反省してるんだな」って思わせたんだから、うまくやった。名優だね!

原田 コント……。真剣に謝ってたのに!(笑)

芸能界3本の指に入る女好き

梅沢 いい芝居だった。まず、あのローカルテレビ局のMXを会場にして、記者でいっぱいにしたのが前代未聞。いざ会見が始まったら見てる人が「プッ」と笑っちゃう内容なんだから、大成功だよ。

原田 その日は僕がMCをしていた『5時に夢中!』で、自分のスキャンダル記事を紹介した直後の会見でしたからね。本当にMXに救ってもらいました。

梅沢 たしかに、小さい局だから自由にできる部分はある。その後も『笑ってはいけない』に出て、仕事も続けて2年たったら世間の好感度もコロッと変わっちゃった。

原田 そうなんですかね……。

梅沢 そもそも2年間も同じネタで引っ張れる人なんてそういないから! 原田さんは自分で自分のネタを大きくしたのよ。

原田 僕自身がネタにしてたんですか!?

梅沢 不倫スキャンダルなんて新しい話題が出ればどんどん興味が失われていくはずなのに、ひとつのネタでテレビに出たり週刊誌で連載したり、どんどん話が大きくなってるじゃない。

 これは原田龍二という役者が持つ魅力によるものだと思うよ。

原田 ありがとうございます! でもこれ以上は無理ですよね。

梅沢 いやいや。もう、芸能界3本の指に入る女好きだと思われてるよ!

原田 先輩に比べたら僕なんか全然ですよ!……

梅沢 今度は奥さんと一緒に青汁のCMに出たじゃない。 不倫してスポンサーが離れた芸能人はいっぱいいるのに、なんなのよそれって。

原田 そうなんですよ。僕自身、こんな展開になるとは思ってなかったです。

梅沢 誰も予想できないよ(笑)。俺なんて自分の浮気話に自ら色をつけてネタにして一生懸命やってきたのに……。悔しい! 本当に許せない!

原田(手元のペットボトルを持ちながら)梅沢さん、これに毒入れてないですよね?(笑)

【本日の、反省】梅沢さんとずっとお話ししてみたかったので、うれしかったです。僕みたいな後輩がやらかしたことを笑い飛ばせるのは、梅沢さんが険しい道を歩んできた証拠ですよね。正直に生きるとはどういうことなのか、梅沢さんに学ばせていただきました。正直な自分を堂々と表に出しつつ、世間に求められている役もしっかり演じる、まさに役者ですよね。すごくカッコよかったです!

梅沢富美男(うめざわ・とみお)●1950年、福島県生まれ。初舞台は1歳7か月。2012年から「梅沢富美男劇団」の座長を務める。女形の艶めかしさが話題となり、下町の玉三郎と呼ばれる。1982年に小椋佳作詞・作曲『夢芝居』が大ヒット。近年では第2次梅沢富美男ブームが到来し、幅広い世代に人気。公式サイト「梅沢富美男チャンネル」にてお悩み相談や格言、料理レシピなどさまざまなコンテンツを配信中!
原田龍二(はらだ・りゅうじ)●1970年、東京都生まれ。第3回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで準グランプリを受賞後、さまざまな作品に出演。司会者として『バラいろダンディ』(TOKYO MX)金曜日を担当。芸能界きっての温泉通、座敷わらしなどのUMA探索好きとしても知られている。現在、YouTubeチャンネル「原田龍二のニンゲンTV」を配信中!

《取材・文/大貫未来(清談社)》