AFXニュースによると、ECB(欧州中央銀行)は8日、スペインの首都マドリッドで開かれた定例理事会で、政策金利を0.25%ポイント引き上げ、年2.75%とする決定を行ったが、ECBのトリシェ総裁は、会合で、ECBは政策金利を経済とインフレの両リスクに対して「中立的な」水準まで引き上げることは意図していないとした上で、経済状況に合わせた適切な水準に設定することを恒久的に志向すると述べ、金利を一定水準のレンジに押し込めることよりも、そのときどきの経済状況や経済に大きなインパクトを与えるような出来事に対応できる柔軟な金融政策を目指す考えを明らかにした。

  同総裁は、中立的な金利の概念は、市場金利が中央銀行が適切と考える水準から大幅にかい離している場合にだけ有効だとし、(金利に関する)戦略を恒久的に運用することを念頭に置いているECB理事会の考え方にはあてはまらない概念であると強調した。

  さらに、同総裁は、「ECBの適切な政策スタンスは、常に経済と金融の両面に関する情報や経済に打撃を与えるような衝撃的な出来事の詳細な分析を基にする」とした上で、ECBは常にこうした動きに眼を光らせている、と述べた。

  トリシェ総裁によると、ECBが分析するのは予想の可能なもの、不可能なもの双方を含めた経済事象とデータの組み合わせであり、それにより将来の金融政策の軌道を描くことができるのだという。同総裁は、ユーロ圏域内での景気回復が期待通りに推移した場合、追加利上げがありうることを示唆した。【了】