「久保以上に素晴らしい!」 2連勝の日本、中国人記者が絶賛したキーマンは?
【中国が見た日本サッカー】中国人記者は久保の実力を認めつつ、遠藤航を高評価
日本のサッカーファンの皆さま、初めまして。
中国サッカーメディアにて活動をしている久保田嶺です。中国サッカーの魅力、関係者の思い、ファンの素顔などを、これから皆さまへ届けていけたらと思います。
カタール・ワールドカップ(W杯)最終予選の抽選会が7月1日に行われ、日本と中国が同じグループBに入りました。サッカーが好き、なおかつ中国も好きという私にとって、この抽選結果は今年最大の喜びでした。それからというもの、ずっと興奮しています。
「本気の日本代表との試合が見られるのは、いったい何年ぶりだろう。久保(建英)選手、冨安(健洋)選手……、アジアサッカー最強チームとの試合が心から楽しみです」
これは組分け抽選会の同日、私へ寄せられた中国サッカーファンからの言葉です。彼らは、W杯常連国になり、代表選手の多くがヨーロッパでプレーする日本サッカーを非常に尊敬しています。実は、Jリーグと中国スーパーリーグは1993年発足と94年発足と、わずか1年違いでスタートしました。しかし、この20年にも満たない時間で、なぜこのような差がついてしまったのか。それに憤慨しているファン、原因を追究しているサッカー関係者も数多くいます。
さて、初回となる今回は、東京五輪で好スタートを切った日本の男子サッカーを、中国はどう捉えているのかについて書きたいと思います。
まず中国ですが、出場は女子チームのみで、男子チームは五輪予選を兼ねたU-23アジア選手権で3戦全敗を喫し、本大会に出場できませんでした。当時、中国紙「新民晩報」が「東京オリンピック予選、1ゴールもできず、1ポイントも獲得できず、3戦全敗!」と厳しく報じ、私も東京で日本対中国の一戦が実現しないことを非常に悔しく思ったのを覚えています。
遠藤航は東京五輪での活躍により、遠藤保仁を上回るほど中国での知名度が上昇
日本は久保建英選手の2試合連続ゴールもあり、南アフリカ、メキシコと破って2連勝。好調のチームをどう見ているのか、大手サッカーメディア「懂球帝」のシュエ・ハン記者に尋ねると、ある選手への称賛が始まりました。
「もちろん久保建英は凄いが、それ以上に遠藤航が素晴らしい。中国にもウー・シーという素晴らしいボランチがいる。W杯予選での対戦が楽しみだ」
ハン記者は終始、遠藤航選手への称賛を口にしていましたが、中国ファンの間でも、「遠藤航はさすがドイツのデュエル王。あのフィジカルはメキシコチームが戦える相手ではない」「アジアナンバーワンの腰を持つ」といったコメントであふれていました。
中国ファンも日々ヨーロッパサッカーを見ており、ブンデスリーガで活躍する遠藤選手を知っている人も、少なくないのでしょう。“デュエル王”というフレーズが「対抗王」という言葉で表現され、漢字にしてもデュエル感があり、非常にかっこいいなと感じました。
最後に一つだけ余談を。
東京五輪前まで、中国で一番有名な遠藤選手は、遠藤航選手ではありませんでした。そう、あの元日本代表の遠藤保仁選手です。この理由は、中国でも大人気の「名探偵コナン」に2回も参加しているからです。しかし、2021年7月27日現在、中国最大の検索エンジン「百度(バイドゥ)」にて「遠藤」と検索すると、予測変換1位は「遠藤航」で、「遠藤保仁」は3位、そして「遠藤保仁 名探偵コナン」は8位です。やはり、五輪の力は凄まじいようです。
これから先、遠藤航選手が“デュエル王”として活躍を続け、知名度1位を守るのか。それとも“名探偵コナン”遠藤保仁選手が返り咲くのか。中国における遠藤“知名度対決”からも目が離せません。
[著者プロフィール]
久保田嶺(くぼた・れい)/1991年生まれ、埼玉県出身。中国最大のサッカーメディア「懂球帝」にて、日本人初の公認アカウントとして活動をしている。(久保田嶺 / Rei Kubota)